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サルエットとは何か? ボールを使って楽しく痩せるエクササイズ

2017.05.17 / 森 大樹

サルエット。サッカーとエクササイズを組み合わせダイエットだ。ボールに触れる魅力を感じた人が、フットサルを始めたケースも。考案者の吉川健太氏(元愛媛FC・カターレ富山など)、奥谷尚哉氏に話を伺った。

吉川健太氏、奥谷尚哉氏

一般的にダイエットには有酸素運動が有効とされており、ウォーキングやランニングなどを始めようとする人もいると思うが、「1人だとなかなか続かない」というのはよく聞く声だ。

そんな中、仲間と楽しく汗をかく運動プログラムとして、サッカー(フットサル)とエクササイズを組み合わせたものが開発されているのをご存知だろうか。それがフット“サル”とダイ“エット”を合わせた、その名も「サルエット」だ。この考案者は愛媛FC、カターレ富山で活躍した元Jリーガーである吉川健太氏(写真左)と吉川氏の大学時代の後輩である奥谷尚哉氏(写真右)で、共に普及を始めとした活動を行っている。

【SALET・サッカーエクササイズ】中目黒・ダイエット・フィットネス・ヒップアップ・スタイル from FC.OXALA on Vimeo.

サッカー×エクササイズの発想。吉川氏の引退を機にスタート。

2人は阪南大学の先輩と後輩という関係で、吉川氏が2学年先輩にあたる。

吉川氏は大学卒業後に愛媛FCへ入団し、富山への移籍などを経て2015年まで現役を続けた。一方で奥谷氏はこれまで現在12校まで拡大しているサッカースクール事業や整体院の運営などを手がけてきている。

学生時代から2人は仲が良かったというが、本格的に一緒に事業をし始めることになったきっかけは吉川氏の引退だった。

「選手時代、怪我で動けない時期が続いた時に(奥谷氏と)仲が良かったので相談したら、『サッカースクールをやっているから一緒にやらへんか?』という話をもらいました。僕自身ずっとサッカーに没頭してきて、いきなりサラリーマンという話も違うな、と思っていて、だったらできるところまで一か八かサッカーでやってみようと考えました。そこでスクールをやっているところから、今度はもっとサッカーを広めていきたいということでサルエットという女性限定のサッカーエクササイズを立ち上げることにしたという形ですね。」(吉川)

サルエット

サッカーとエクササイズを組み合わせるという発想は、奥谷氏が運営するサッカースクールの稼働率を上げるというところから生み出されたものだ。

「僕たちがサッカースクールをやる上での課題は平日の昼間の稼働率を上げていくことなんです。サッカースクールのコーチは給料が安いと言われることもあるのですが、それは教える時間が短いからです。小学生が来るのは学校が終わってからなので、スクールが始まるのは早くても15:30〜16:00くらいで、終わるのは20:00ごろ。そうするとコーチは平日4時間程度しか働いていないことになってしまいます。僕は元々整体院をやっていたので、日中はそこで働いて、夕方以降にスクールに行くという形を取っていましたが、そういう形で昼間の時間もできる仕事を生み出していければコーチたちが働く時間も長くなっていくと思っていました。でも整体を一から学ぶというのはコーチにとってはなかなか難しい。

一方でサッカーというスポーツは1試合で5kg痩せる人がいると言われるくらいなので、それを生かした有酸素運動をすればダイエットに繋がるのではないかと考えたわけです。例えばスクールに通う子供のお母さん向けにサッカーを絡めたエクササイズを提供できれば、より競技にも興味を持ってもらえるだろうし、サッカーコーチたちの昼間の稼働にも繋げていけるとも思ったので、始めることにしました。」(奥谷)

競技そのものへの入口のハードルを下げる効果も。

メニューを作っていく過程ではサッカーの視点だけでなく、より専門的な有酸素運動や体幹トレーニングなどの知識を取り入れていくためにパーソナルトレーナーも関わっている。

元Jリーガーがプログラムの開発に関わっていると聞くと、サッカー色が強いように感じてしまうこともあると思うが、決してそういうことではない。むしろサッカーという側面を押し出しすぎず、より幅広い人にサルエットを体験してほしいと2人は考えている。

「例えばフットサルコートでサルエットをやる、ということもできますが、いきなりやってしまうと参加のハードルが高くなってしまうんですよ。サッカーらしい服装を揃えていかなきゃいけないんじゃないかとか、行ったことがない人にとっては結構壁ができると思っています。

だから現状僕らは室内で鏡のある、普通のスタジオでやっています。それならヨガとかで行ったことがある人もいるでしょうし、来やすいんじゃないかと。エクササイズ目的で来てもらって、たまたま使うものがボールだったという形であればサッカーと自然に触れ合ってもらえるじゃないかと思っています。

そこでサッカーの奥深さと体が鍛えられて痩せることを同時に感じられる形に持っていきたくて。」(奥谷)

「とにかくハードルを低くしているというのは一番の強みかもしれません。僕らは競技としてサッカーをやってきたので高い強度が有用な人にはそれに応じた練習メニューを提供できますし、パーソナルトレーナーとも相談しながら強度の低いメニューを行うこともできます。

女性にとって痩せるっていうのは永遠の課題じゃないですか。ただ、有酸素運動を嫌がる女性は多いですけど、しっかり走ったりすれば2、3kgくらいは簡単に落ちるんですよ。

ただ、ジムに行ってただ単に走るっていうのは多分めちゃくちゃきつくて。一方でサルエットは、ボールに触れて楽しくコミュニケーションをとりながら有酸素運動ができます。サッカーのトレーニングを取り入れた有酸素運動を通じて、女性に楽しみつつ効率よく脂肪を燃焼してもらう、っていう一石二鳥の形のメニューを行うことを大事にしています。」(吉川)

サルエットを通して、ボールに触れる魅力を感じた人が実際にフットサルを始めたという声も出てきているという。結果としてサッカーやフットサルの新たなプレーヤーを生み出すというところにもサルエットは貢献しているのだ。

サルエット

サルエット

サッカーのチームプレー要素が生み出すメリット

プログラムの中ではボールを使用するということに加え、サッカーの競技的要素の1つである、チームプレーという側面も重視している。

「結構ペアやチームを組んでやってもらうメニューが多いんです。初めはなるべく友達同士で組んでもらって、次は初めまして同士で組んでもらいます。他にもボールタッチの練習要素を入れているのですが、それはチームを組んでリレー形式にしてやったりするんです。すると全く知らない人同士が順番どうする?なんていう話をし始め、そこにコミュニティが生まれて、めちゃめちゃ盛り上がるんですよ。僕たちは、サルエットを通してコミュニティを作っていければと思います。一人でもサルエットに行けば友達がいて、そこにそれぞれが元からの友達を一緒に連れていけばまた新たな繋がりができていくという環境を作りたいです。」(奥谷)

エクササイズに留まらない、サルエットが持つ可能性

今後、サルエットの普及と並行してインストラクター資格を創設する構想もある。インストラクター資格のターゲットは今スクールで指導をしている選手・コーチやメインで別の仕事をしつつ、土日の空いた時間だけ子供にサッカーを教えている指導者だ。さらにはサッカーエクササイズの認知が今後高まり、指導のニーズの場が広がれば、サルエットが選手のセカンドキャリアの受け皿となっていく可能性もあると2人は考えている。

「スタジオやジムは全国どこにでもあると思うので、各地域のサッカー選手やコーチたちに資格を取ってもらい、サルエットのメニューを導入させていくことで、昼間の仕事を作っていきたいです。いい指導者を残すためには、まずは彼らの給料が安定して家庭も持てるっていう環境を作らなきゃならないので、僕たちだけじゃなくて、全国のコーチたちにサッカーに関連した昼間の仕事を持ってほしいですね。お金を生み出せる環境がサッカーにリンクしていくのが一番理想的だと思っています。」(奥谷)

「サッカー選手はその道を極めた人ですから、セカンドキャリアも競技で生きたい気持ちは持っているはずです。自分も好きなサッカーに関わることでお金を稼げていて、結果として子供にとっていい指導ができていると思います。

一般的には軸はサラリーマンで、土日の空いた時間にサッカーのコーチをするという形がほとんどですけど、仕事のストレスや疲れを持ったまま指導するのは子供にもコーチにもよくないと思っていて。でもここで昼間の仕事として彼らにサルエットを落とし込めれば、夢のある子供たちに対し、より情熱を持ってしっかりとサッカーを教えられるようになるんじゃないかと考えています。」(吉川)

現在、サルエットは女性限定で行われている。男性からもやりたいという声は上がっているようだが、運動強度の問題や汗をかいている姿を見せることに抵抗がある女性もいるため、今は絞って開催している。

ただ、今後やり方次第では様々な層に楽しめる形をつくっていけそうだ。

「例えば男女でやるなら婚活イベントみたいな形にしてやるとか、あとは会社の新人研修のレクリエーションにおいてみんなで何かを追いかける一体感を出すためのコミュニケーションツールにするとかでもいいかもしれないですね。

僕たちには、老若男女問わずサッカーの楽しさを広げたいっていう思いが一番にあるので、その軸さえブレなければ、赤ちゃん相手でもお年寄り相手でも何でもやってみたいなって思います。」(吉川)

「海外に行くと言葉が通じなくてもボールがあれば通じるっていうくらい、ボールはコミュニケーションのツールになります。それはサッカーのいいところの一つなので、その楽しさをもっともっと広げたいし、自分たちもその中で成長していけたらいいなと思いますね。」(奥谷)

サルエットには参加者の楽しいダイエットと人との繋がりの創出、コーチや元選手のサッカーに関わる仕事としての活躍の場、サッカーという競技そのものへの興味関心のきっかけづくり、と様々なポジティブな要素が含まれている。今後その活用の幅が広がっていくことに期待したい。

2017年6月10日(土)、11日(日)に開幕戦を迎える、DUARIG Fリーグ2017/2018 第1節に合わせて開催される、アウトドアやフットボールに関する体験や様々な食事が楽しめるイベント「ソトアソビフェスタ」にサルエットの体験ブースが設置されます!

休日のレジャーの1つとして会場に足を運び、フットサル観戦と合わせてサッカーエクササイズを体験してみてはいかがでしょうか?

ソトアソビフェスタ