× 森 大樹

【後編】”どマイナー”スポーツをどう盛り上げる? コーフボール&フレスコボール対談

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対談【前編】はこちら

 

競技を普及させてオリンピック種目へ

 

-いわゆる「マイナースポーツ」とやっている競技のことを言われたりすることも多いと思いますが、そう呼ばれることに抵抗はありませんか。

澤永:僕の中では抵抗があります。マイナーとメジャーの線引きは結局お金になるかならないかで決められているような気がして、それが嫌なんです。市場としての大小や競技人口でスポーツが切り分けられているような気がして、そこが変だと思います。

 

-誰もが名前を知っているような競技であったとしても、マイナースポーツと呼ばれているものは存在しますね。信時さんはいかがですか。

信時:コーフボールのことを珍スポーツと呼ばれるとさすがに不快に思うこともありますが、マイナースポーツと言われることに関してはネガティブなイメージを持ってはいません。むしろ仕事でお客さんと会った時にマイナースポーツは興味を持ってもらいやすいですし、話のネタになります。

澤永:人に紹介される時は「この人はフレスコボールというマイナースポーツをやっているのですが、どのような競技か知っていますか」といった言われ方をするわけです。そうすると自然と競技の説明をすることになるので、話のネタとしては使えますね。あとはやはり日本代表になりやすいというメリットはあると思います。

 

-お二人は今からやってみたいスポーツはありますか。

澤永:昔からスカッシュはやってみたいと思っていました。あの競技はボールの跳ね返りの角度などを読んだりする必要がありますよね。どうやったら相手が打てない角度でボールを打ち返せるかを考えるのが面白そうです。今までサッカーというチームスポーツしかやってこなかったので、1対1で頭を使って相手と駆け引きしながらやれるという点に惹かれました。あとはカバディをやってみたいですね。僕は浪人して大学に入っているのですが、現役の時に受かったところはカバディ部が強かったんです。もしそこに入ることになったらカバディをやろうと思っていたくらいでした。それからたまに僕の頭の中では「カバディ、カバディ、カバディ…」と言っています(笑)

信時:僕もフレスコボールはもちろん、スポーツ鬼ごっこ、インディアカ、セパタクローなどいろいろな競技に興味はあります。

コーフボールであればドリブルが禁止であったりするわけですが、最近は他にも様々な制限を設けた「ゆるスポーツ」が流行っていますよね。制限があるスポーツは参加する対象が広がるので、興味がありますし、今後スポーツそのものをする人を増やしていくための取り組みとして面白いことだと考えています。

澤永:フレスコボールは、腕さえ動けばプレーできます。半身マヒを抱えている人をサポートしている方からもお声がけを頂いていて、今度実際に体験会を開催することになっています。フレスコボールはこれから新しい展開を見せていくことになりそうです。

 

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-まだ発展途上の競技を続ける中で感じるジレンマもあるのではないでしょうか。

信時:たくさんありますよ。1つは結局メジャースポーツを目指しているということです(笑)

澤永:それはそうですね。より多くの人と楽しみたいというのはありますから。

 

-今後ご自身がやっている競技の知名度をどの程度まで上げていきたい、という目安はありますか。

信時:オリンピック種目にはなりたいです。

澤永:それは同じです。やはり1つの目標として分かりやすいですよね。

信時:75カ国以上に協会が存在している競技であれば、ある程度世界中で行われているスポーツとして認められ、オリンピック種目になれるそうです。今コーフボールは68カ国まで来ています。

澤永:一方のフレスコボールは協会があるのがブラジル、メキシコ、日本だけという状態です。オリンピック種目になるには国際組織も必要ですが、現状設立されていません。実際には険しい道のりです。

 

-コーフボールは68カ国とオリンピック種目まであと一歩のところまで来ていますが、世界的に普及が足りていない地域はどの辺りですか。

信時:オランダ発祥ということもあって、ヨーロッパでは盛んです。一方北中米地域ではまだあまり広まっていませんね。ただ世界的な普及戦略については国際コーフボール協会の仕事なので、僕らはまず日本国内で広めていければと思います。

ただ国際コーフボール協会にはお世話になっています。実のところ、僕は仕事も辞めてオランダに住もうと考えていた時期がありました。まだ仕事を辞められる状態ではなかったので断念しましたが、僕の相方は今年の夏からオランダに1年間行く予定になっていて、それに合わせて自分も9連休を取って行くことにしました。その時に協会を通してオランダのプロチームの練習に参加させて頂けることになっています。

澤永:オランダにはそんな多くのプロチームが存在するんですか。

信時:結構あります。月給は30万円程だと言っていました。他にも中学や高校で教えながら生計を立てているそうです。

 

-テストを受けてプロになることもできるということですよね。

信時:今コーフボールは台湾が世界ナンバー3なのですが、この前まで台湾人選手がオランダプロリーグに数年間在籍していました。

 

-プロリーグとして成立しているということは興行としてもうまくいっているということでしょうか。

信時:だいたい会場には3000~4000人程は入っていると思います。

 

-仕事をしながら競技を続けることに対してはどのようにお考えですか。やはり競技に集中したいのでしょうか。

澤永:僕はいろいろなことに触れてみたいという気持ちがあるので、競技だけというのは少し違うと感じています。

信時:もちろん競技だけという生活もしてみたいですが、僕はビジネスにも興味はあるので、仕事は続けたいと考えています。なので、今の生活スタイルでいいと思っています。

澤永:今は協会の仕事をしながら選手としての活動もしていますが、これから普及が進んで、協会としての業務が増えてきたら選手としてやっていくのは難しいと思っています。将来的にはどちらかを選択せざるを得ない時が来るでしょうね。

信時:ジレンマの部分で言うと競技を真剣にやりたい人と楽しみたい人、2つに分かれてくるというのがあると思います。これはコーフボールに限った話ではないと思いますが、特にチーム数が少ないマイナースポーツでは、うまくやらないといけない部分です。

澤永:体験会でもラケット競技経験者がうまくやっていると他の参加者の気が引けてしまうことがあります。でも僕自身がラケット競技を経験しているわけではなかったので、それはフォローを入れる時に説得力になっていると思います。ちなみにですが、コーフボールをやる人は元々どのようなスポーツをやっていた方が多いですか。

信時:これは名古屋の場合ですが、バスケットボール、サッカー、アルティメット、ラクロスなどの出身者がいて、結構バラバラです。

 

男女一緒に楽しめるという強み

 

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男女一緒にできるというところがコーフボールの強みの1つ

 

-体験会にお伺いした時に意外と女性も多かったことに驚きました。

信時:一応それは男女半分ずつくらいになるように声かけをしています。やはり女性がいるだけで雰囲気が違います。女性がいることでいい意味で真剣になり過ぎない空気感を作ることができます。

澤永:そこはうちも同じですね。男女が半々になるように意識はしています。

 

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フレスコボールも男女関係なく一緒にプレーできる

 

-フレスコボールはペアを組む時に男女の組み合わせに決まりがあるのでしょうか。

澤永:男性同士、女性同士、男女混合それぞれの部門に分けられます。

信時:プレーにおける男女差もあるんですか。

澤永:ラリーのスピードは男性の方が若干速いですが、技術面に関してはほとんど差はないです。比較的男女平等なスポーツだと思います。ブラジルには、僕より力強いショットを打つ女性選手も大勢いますからね!

 

-コーフボールの場合はいかがですか。特定の役割を男女どちらがやるか決まってしたりしますか。

信時:役割に男女どちらが付くというのは特に決まっていません。シューターやリバウンドに女性が行く場合もあります。基本的にマンツーマンディフェンスをする競技なのですが、女性のマークには女性しか付くことができないのでその辺りはあまり関係ないということです。今は混合でフットサルをやったりもすると思いますが、どうしても気を使う部分があると思います。コーフボールはルールでそのように決まっているので、気を使う必要がないのがいいところです。ボディコンタクトやスチールも禁止されています。

 

-次のテーマに移りたいと思います。何かコラボしてみたいスポーツや他分野はありますか。

澤永:やはりフレスコボールとブラジルは切っても切り離せないとものがあると思います。今も実際にブラジルに関係するビジネスを行っている会社から物品提供して頂き、体験会の時に参加者にプレゼントしたりもしています。今までブラジルを象徴するものといえばサッカーやサンバ、コーヒーだったりしたと思いますが、もうそれが当たり前になりすぎていて面白くないというのがあって、最近はブラジルに関する新たなカルチャーとしてフレスコボールに興味を持って頂いています。日本にブラジルの文化を伝える1つの方法としてフレスコボールに注目してもらっています。

 

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ブラジルの文化として今後フレスコボールに注目

 

-一方でコーフボールはオランダというのを押し出してやっているような感じはしませんね。

信時:まだやっていませんが、来年やる予定です。長崎の出島は鎖国時代からオランダと結びつきが強く、日蘭協会というものもあります。そこで毎年イベントを開催しているそうなのですが、まだ来年の予定が決まっていないので、コーフボールをやろうという話が出ています。今年の秋に記者会見で発表する予定になっています。まだオランダと言えばこれ!というものが日本には浸透していません。長崎にはハウステンボスがありますが、あとはチューリップくらいだと思います。

 

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澤永:言われてみるとオランダは自転車やサッカーオランダ代表のオレンジのユニフォームのイメージくらいかもしれません。

でも実はフレスコボールとオランダは少し関わりがあるんです。今回のブラジルW杯期間中、オランダ代表がフレスコボールをやっていたという記事がブラジル国内では記事になって話題になりました。実際にロッベンがプレーしている写真が出ていたんですよ。あとはドイツ代表の宿舎にもラケットが置いてあったそうです。意外とサッカー選手はやっているみたいです。

 

-それはすごいですね!でも誰が持ち込んだんですかね。営業をしている人がいるということでしょうか。

澤永:誰かが営業をしたか、元々やっていた可能性もあります。ブラジルのロナウジーニョがフレスコボールをやっているので、そこからヨーロッパの選手に広まったのかもしれません。

 

-もっとそういった有名な選手がやっていることを発信してくれればいいですよね。

先ほど澤永さんがTwitterでコーフボールのことを知っていたという事例のようにまだ知名度が低い、競技人口が少ないスポーツはより発信力が問われているように思います。

澤永:実現しませんでしたが、友達と話をしている中で、マイナースポーツだけを切り取って発信するようなサイトを作ろうといった話も出ていました。

信時:発信するためにメディアに出るということは重要だと思います。

澤永:実際にメディアに出ると協会HPの観覧者数が伸びたり、ラケットが売れたりするんです。目に見えた成果として出るので、それを継続的に行っていくのは大切ですね。

 

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協会監修のラケットセット(日本フレスコボール協会ラケットストアより引用)

 

-ちなみにラケットはどういった形で販売されているのですか。

澤永:インターネット上で販売しています。協会のものや海外から輸入してきたものを取り扱っています。これは1つの参考ですが日本フレスコボール協会監修のものだと、ボール2個とラケット2本セットで税抜き5,800円です。安いテニスラケット1本買うくらいの値段でフレスコボールを始められるようにしています。フレスコボールのラケットは中には10年以上同じものを使う人がいるほど長持ちするんです。

 

-コーフボールの道具の取り扱いについてはいかがですか。

信時:今は全て輸入でボール自体は約8,000円しますし、ゴールも15万円します。ボールとゴール、両方必要ですからなかなか買う人はいません。

コラボの話に戻るのですが、名古屋の場合はピラティスを取り入れることをしています。ナノ・ピラティスさんというプロ野球選手も通う専門のトレーニングスタジオの方に出張で来て頂いて、サポートしてもらっています。もちろん僕らも個人的にスタジオにお伺いすることもあります。最近ピラティスも流行っていて、知られてきていると思いますが、どちらかというと筋肉量を増やすよりもインナーマッスルや筋肉の使い方そのものを変えるようなトレーニングとして効果的で、正直もっと早く知りたかったくらいいいです。自重だけなのですが、とにかくきついです。早いうちから体の使い方を学んでほしいという想いから学校教育にピラティスを広めていきたいそうで、僕らもより広い世代に普及したいと考えていることから重なる部分があり、互いに告知し合っています。他にもそういった普及をしていきたい企業や団体と組んでいければと思っています。だからこそ今回のようにフレスコボール協会の澤永さんやLink Sportsさんと一緒に何かをやって繋がりを作っていくことが大切なのではないでしょうか。個の力には限界があると思うので、それを集約させて新しいものをどんどん生み出していけたらいいですね。

他のスポーツとのコラボでいくとこの前石川県で開催した体験会は競技自体が近いバスケットボールの選手ばかりを集めて初めて開催しました。それでバスケットボールvsコーフボール対決を行ったんです。ギリギリ引き分けだったのですが、負けなくてよかったです(笑)

澤永:フレスコボールは最近ビーチテニスの方とご一緒させて頂いています。ビーチテニス選手はすごくうまいので、このままだと代表の座を奪われてしまうのではないかと感じます(笑)逆にビーチテニスの大会に出るように誘われたりもしているところです。

 

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-それでは最後に本日の対談の感想をお願いします。

信時:外からの視点でいろいろなアイディアが出てきて参考になりました。競技の特性が全く違っているので、僕らが思い付かない切り口の発想を持っていると感じました。結局僕らはオシャレさが足りないですね(笑)特にボールのカラーリングについてはすごく言われる部分なので、今後はそういったところでも楽しんでもらえるような形を作っていきたいと思います。

澤永:競技特性が全然違っているからこそ、学べるものがあったように思います。明日から使えるアイディアも頂きました。あとは1度合同体験会をやりたいですね。そうやって1つずつ繋がっていった先にまた別の繋がりが生まれていくと思います。その大きな一歩を今日踏み出せたと思います。

 

【前編】はこちら

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今回取り上げたのは…
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信時 盛人

(のぶとき もりと・コーフボール)

コーフボールとは、男性と女性が平等且つ一緒にプレーする機会を持つように作られた世界唯一の男女混合チームスポーツで、リング状のゴールにボールをシュートして得点を争います。バスケットボールにも似ている印象を受けますが、ドリブルは禁止で、360°どこからでもゴールを狙えるのが特徴。 信時氏はコーフボールを日の丸を背負いたい想いから始め、現在はコーフボールクラブ名古屋に所属し、日本代表にも選出されている。

コーフボール・信時盛人さんインタビューはこちら

コーフボールクラブ名古屋HP

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澤永 遼

(さわなが りょう・フレスコボール)

フレスコボールはブラジル生まれのビーチで行うラケットとボールを用いたスポーツ。澤永氏は神奈川大学在学中に留学先のブラジルでフレスコボールに出会う。現在は日本フレスコボール協会に勤務しながら、選手としても世界選手権に出場している。

フレスコボール・澤永遼さんインタビューはこちら

日本フレスコボール協会HP