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【前編】”どマイナー”スポーツをどう盛り上げる? コーフボール&フレスコボール対談

2015.07.28 森 大樹

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今回は過去にインタビューにもご協力頂いたコーフボール・信時盛人さん(コーフボールクラブ名古屋)とフレスコボール・澤永遼さん(日本フレスコボール協会)をお招きして初の対談企画をお送りします。いずれの競技も日本においては発展途上で、お二方とも知名度や競技人口を増やすべく、普及活動をしながら選手としてご活躍されています。

コーフボール:オランダ発祥のスポーツ。バスケットボールにも近いが、試合は男女混合で行い、ドリブルが禁止されている。ゴールはコートの中にあるため、360度どこからでも得点を狙うことが可能。

フレスコボール:ブラジル発祥のラケットスポーツであり、ビーチで行う。ブラジル版の羽子板のイメージ。相手とラリーを行うのではなく、味方同士でラリーを行い、その回数や技術などを審査する採点競技。

 

互いの競技への印象

 

-まず初めにですが、お互いの競技についてご存じでしょうか。

信時:だいたい知っています。

澤永:実は元々コーフボールはTwitterで見かけたことがありました。練習会にも実際に参加しようかと思いましたが、なかなか行けないままになっていました。今回コーフボール選手との対談のお話を頂いた時に、頭の片隅にあったのを思い出して、ピンと来ましたね。

信時:YouTubeにアップされているフレスコボールのプロモーション動画、見させて頂きましたが格好いいですよね!うちにはそういった部分が欠けているんです。メディア業界の人と会話する機会もあるのですが、オシャレさがないと言われてしまいました(笑)

 

 

-こちらの動画はブラジルで作成されたものなのですか。

澤永:そうですね。動画の使用許可を取るために連絡したところ、ぜひ使用してくれ!と言われました。それだけでなく、もし日本でも動画を作るようなことがあったら連絡してくれ、と言ってくれたんです。すごくフレンドリーで驚きました。

 

-互いのスポーツを初めて知った時の印象を教えてください。

澤永:初めにコーフボールという名前を聞いた時はどのような競技かイメージできなくて、ポートボールを連想しました。実際に競技を見てからはバスケットボールにもポートボールにも近いと感じました。コートの中にゴールがあるというのも面白いですよね。

信時:僕はただただオシャレだなと思いました(笑)ラケットを自分好みにできるというのが楽しそうですよね。あとは採点競技だということを聞いてどうやるのかな、と興味を持ちました。ビーチテニスなどの似た競技がある中でどのような歴史を辿ってきたのかも気になったところです。

 

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フレスコボールのラケットには様々なデザインがある

 

両選手が語る普及へのアイディア

 

-それぞれまだ日本においては発展途上のスポーツだと思いますが、互いの競技の普及活動にアドバイスをするとしたら、どのようなアイディアを出しますか。

澤永:コーフボールは現状どのような普及活動をされているんですか?

信時:基本的には全国で体験会を開催しています。2020年までに47都道府県を回って開催するというのを目標にやっています。

澤永:この前も石川で開催していましたね。特にどこかの地域で重点的に普及させようといった動きはしていないのですか。

信時:メインの拠点から各々の活動地域の近くに広げていくという感じです。福島であれば東京から、石川であれば名古屋から、といった形で対応しました。

澤永:体験会の依頼が来るということですか。

信時:石川の場合は珍しく先方から依頼が来たパターンです。基本的には自分達からアプローチしていきます。地域の人の繋がりを辿っていって、広げてもらいます。

 

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コーフボールは男女で楽しめ、かつ接触プレーが禁じられているので安心してプレーできる

 

-体験会には毎回かなりの人数の方が参加されていますね。

信時:だいたい25人は最低でも集まります。口コミとTwitterで広めていきます。大阪の場合、参加した40人中4人はTwitter経由で参加してくれました。

 

-東京で開催しているものに参加させて頂いたことがありますが、リピーターの方も多くて驚きました。

信時:見た目がどうしても地味なので、まずは実際にやってもらおうという考えから体験会中心の活動になっています。

澤永:やってもらうところから入るという点では、フレスコボールも一緒です。動画ではスムーズに打ち合っていますが、当然初めはそんなにうまくいきません。でもそのうちにラリーが10回、20回と続くようになっていくとみんなでハイタッチをして、ペアとしての一体感が生まれる瞬間があります。今まで参加してくれた人達もその一体感やラリーが続くという達成感が楽しいと言ってくれます。

 

-信時さんからフレスコボールの普及に関してアイディアはありますか。

信時:まず、最近錦織選手が話題になっていたりするので、プロテニスプレーヤーにやってもらったらいかがでしょうか。きっと技術はあると思いますし、フレスコボールのオシャレさとも合わさっていいと思います。

澤永:先日ビーチテニスの大会があった時に、ビーチテニスの日本代表選手と一緒にプレーする機会があったのですが、とても上手でした。常に僕の打ちやすいところに返していると言っており、10分やっただけでその適応力だったので、錦織選手がやったらどれだけすごいのか確かに気になりますね(笑)

フレスコボールの世界大会の時にもアルゼンチンのプロテニスプレーヤーがやっていましたが、やはりうまかったです。テニス打ちで、バックの時も両手で打ち返していました。フットワークや打ち方はさすがに格好よかったです。

 

-先日インタビューにお伺いした時にフレスコボールの道具セットをプレゼントして頂きました。実際に道具をもらったらやりたくなると思います。僕も持ち帰って早速やってみました(笑)

澤永:ありがとうございます。でも道具をもらってもなかなかできないというのが実情です。理由は大きく分けて3つあります。まず1つ目に、一緒にやる相手がいないこと。元々テニスなどをされていた人ならいいのですが、運動されていなかったりすると、一緒にできる友人がなかなかいないそうです。次にやる場所が分からないということ。初めのうちは、いろいろなところにボールが飛んでいってしまうので、人に迷惑をかけないでできるような場所が必要になりますが、それがなかなかないんです。ビーチだとそうはならないのですが、中々夏以外は足を運ぶ機会がありません。そして最後に、遊び方が分からないということです。ラケットスポーツをやったことがない人だとそもそもラケットの持ち方が分からなかったり、全然ラリーが続かなくて面白くないから辞めてしまったりするわけです。そこは協会のホームページやブログにて分かりやすく掲載するなどして、改善すべき点ですね。

信時:他にもいろいろフレスコボールの普及戦略を考えてきたので、出してもいいですか。

 

-ぜひ!どんどん伝授してください(笑)

 

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信時:羽子板と近いですよね。下手だとボールが飛んでいってしまうという話がありましたが、ビーチ以外の場所でもいいということだったので、例えば神社や寺でやってみたりするのはどうですか。

澤永:確かにすごく絵になるかもしれませんね。

 

-ボール自体に何か手を加えて飛びにくくするというのもいいかもしれません。やってみるとラケットをそこまで振る必要はなく、簡単にボールが飛ぶように感じました。

信時:あとはセレブがやっていると聞いたので、そこをターゲットにしたイベントや夏以外の季節の人がいないビーチで企画を開催したらどうでしょうか。

澤永:ビーチでの企画は実際に動き始めています。今、鳥取県大山町で地域おこし協力隊として勤務している友人がいるのですが、木材海岸というビーチの清掃活動とフレスコボールをセットで行っています。毎月1度開催されていて、6月には招待して頂き、僕も参加してきました。もちろん、全国各地に広げていきたいという気持ちはありますが、まずは日本の東と西に拠点を1つずつ作ろうと動いています。その競技のメッカを作ることができれば人も集まりやすくなりますから。

 

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実際に6月に鳥取で体験会が開催された

 

信時:採点競技だと聞いたので、フィギュアスケートのように打ち方に技名が付いていても面白いと思います。2人で格好いい技ができたらいいですよね!その技ができるようになることで成長の度合いも見ることができます。

 

-技に自分の名前を付けられますね(笑)今は技の名前があったりしないのですか。

澤永:打ち方に名前が付いているものもあります。ただポルトガル語を日本語に訳すと、ダサい名前になってしまうんですよ(笑)

信時:あえて訳さず、ポルトガル語のままにした方がいいかもしれませんね。コーフボールには技名などは特にないのですが、ポジションに動物の名前が使われています。

澤永:それは初耳です。ホームページに載せていたりしますか。

信時:どこまで公式で呼ばれているのか分からないので、ホームページには載せていませんが、本場オランダのチームは使っていました。bear(熊)がリバウンドを取る人、wolf(狼)がポストに入る人、tiger(虎)がスーパーシューター(点取り屋)で、panther(ヒョウ)が第2シューターと役割が分かれています。

 

発展途上の競技だからこそ感じられること

 

-コーフボールのまだ知られていない意外な部分が出てきたところで次のテーマに行きます。まだ発展途上の競技ということで、苦労する場面も多くあると思いますが、その中でもやっていてよかった!と思う瞬間を教えてください。

澤永:今だとまだフレスコボールのコミュニティは狭いので、日本だけでなく、世界規模で競技関係者は仲がいいです。そのおかげで頻繁に世界各国からメッセージが来たり、電話がかかってきたりします。でも当然時差があるわけです。だいたい電話は地球の裏側のブラジルからかかってくるので、日本は夜中です。こんな時間にかけてくるなよ!とは思いますね(笑)でも世界中の人々と一緒に競技を作り上げていっていることを感じられます。これは大規模なスポーツでは味わえない感覚なので、魅力の1つです。

信時:それは僕も一緒です。おそらく日本のコーフボールの競技レベルは世界的に見ればサッカーよりも低いはずです。それでも世界との距離がここまで近いのはマイナースポーツだからこそだと思います。一般的にはサッカーがワールドスポーツだと言われていますが、僕はマイナースポーツこそがワールドスポーツではないかと考えています。実際にこの前も大阪まで香港の選手がわざわざ来て、試合をしてくれました。

これは世界に限ったことではなくて、日本国内にも同じことが言えます。普段の生活の中で、長崎や石川の人と交流する機会はなかなかないですよね。日本も含めた世界との距離の近さはマイナースポーツ特有のことだと思います。

澤永:あとは技術の伝導についても惜しみなくしてくれます。敵という視点ではなく、世界的に一緒に同じ競技をやっている仲間、ファミリーとして扱ってくれるんです。

信時:コーフボールもそうですね。オランダまで行く機会はなかなかありませんが、台湾や香港では現地に行くと教えてもらえます。

 

【後編】へ続く