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あなたの中にも眠っている?競技&語学の上達に共通するライフスキル[PR]

2018.10.23 / 小田 菜南子

椎名純代さん、大山俊輔さん

一流アスリートは語学も得意?テレビを見ると、母国以外の国で競技生活を送るアスリートが、地元メディアからのインタビューに通訳なしで応えているシーンをよく見かけます。スポーツもできて語学もできるのは才能が豊かだから、なのでしょうか。その答えとなるのが、「習慣化」というキーワードです。

 

一見シンプルに聞こえますが、「習慣化」とはつまり歯を磨く、食事を摂ることと同じように新しいことを生活の一部にすること。この「習慣化」こそが英会話習得のメソッドと語る、初心者の女性向け英会話スクール「bわたしの英会話」を運営する株式会社by ZOO代表の大山俊輔さんと、スポーツチーム向けにライフスキルの研修を行うGood Sport association 代表の椎名純代さんに、語学習得と競技力向上に共通する力について、語っていただきました。
(写真:瀬藤 尚美)

スポーツと英会話。異なる世界に住む二人の共通点

―お二人の現在のお仕事について教えてください

大山:女性のためのマンツーマン英会話スクール「bわたしの英会話」を運営しています。なかでも、英会話を初めて習うという方が始めやすく、続けやすいスクールを目指しています。僕自身、実は学生時代は英語が苦手だったのですが、留学を経て外資系の投資銀行に勤め、苦手意識を克服した一人。そのときに培った、習慣化をベースにした成功メソッドを活かして、お客様の理想と現実のギャップを埋めるサポートをしています。

大山さんの詳しいプロフィールと、英会話習得のメソッドについては、こちらをご覧ください。

椎名:私も学生時代に、スポーツとメンタルの関係に興味を持ち、この道を志しました。スポーツチームを対象にした、ライフスキルプログラムの研修などを行っています。ライフスキルとは、メンタルコントロールや目標設定、課題解決、対人関係スキルなど、分野や業界を問わず必要とされる「生きる力」を指します。アスリートは、競技を通じてこうした力を知らず知らずのうちに身に着けているのですが、そのことを自覚している人は非常に少ないのです。それらを顕在化させることで、競技のパフーマンスをさらに高めたり、引退後も社会で活躍できる人材に育てることがミッションです。現在は主にラグビーチームのクボタスピアーズでライフスキルカウンセラーとチームの通訳を担当しています。

椎名さんの詳しい経歴や仕事内容についてはこちらをご覧ください。

―お二人とも自身の経験を生かして、人の成長をサポートする立場にあるのですね。

大山:そうですね。僕も長年ジムでトレーニングを続けていますが、前回MLB・サンフランシスコ・ジャイアンツのトレーナーである渡邊亮さんと対談をしたときに、自分がうっすら感じていた英会話と筋トレの共通点について確信に近いものを感じました。今回もスポーツ、そしてメンタルにまで踏み込んだ育成というテーマでお話ができることをうれしく思っています。

 

大山俊輔さん、椎名純代さん

 

英語を”習慣化”させる。「bわたしの英会話」はコチラ

 

―アスリートの競技生活と語学習得に親和性はあるのでしょうか?

椎名:私が今担当しているクボタスピアーズでは、英語と日本語がメインの言語で、加えてアフリカーンスとトンガ語も飛び交う環境です。選手たちは自然と外国語を耳で覚え、通訳の私無しでもコミュニケーションを取っています。

大山:語学を身に着けるには絶好の環境ですね。

椎名:他にも、チームでバズワードと呼ばれる共有言語を作り、この単語を言われたらこうプレーする、といった決まりのもと、コミュニケーションをとっています。

大山:シンプルに聞こえますが、言語を一から覚えるようで、非常に高度な仕組みですね。

椎名:そうなんです。バックグラウンドが異なる人と共通の言葉で会話をすると、世界が広がりますよね。アスリートはそれをスポーツを通じて当たり前に行っています。ただ、その経験をセカンドキャリアに結びつけるという発想は、日本ではまだ弱いのが現状です。

 

椎名純代さん

 

―確かに、アスリートが現役中に引退後を見据えた活動をするというのは、タブー視されがちかもしれません。

椎名:海外のラグビーをはじめとするスポーツでは選手が自分のセカンドキャリアのために1日4時間を費やすことが求められていたり、そのサポートが協会の義務となっていたりします。NZのスーパーラグビーのチームでは元オールブラックス(ラグビーニュージーランド代表の愛称)の弁護士をセミナー講師として呼んだり、インターン先を紹介するなどしています。

大山:僕の経験では、忙しい人ほどいろんなことを同時に続ける力があり、スクールにも定期的に通うことができている。きっと自分の時間割を持っていて、それぞれの時間に全力を注ぐことができているからだと思うんですよね。同じように、アスリートのような一つのことに集中して取り組んでいる人が言語学習を始めたら、競技への集中が50%になるのではなく、どっちも100%のパワーで取り組む力があるはずです。逆に、時間がある人ほど、時間ができたらこれをやろう、と言っている間に何もしていないパターンが多い(笑)

椎名:私も常に選手たちに言っているのは、「自信は、自分で決めたことをやり切ったときにしかつかない」ということ。やりきるためには、今日お話しする「自分をコントロールする力」をコツコツ身に着けて、行動を習慣化していくしかないんです。

大山:1つのことをやり切ることができたら、他のことも同様にやり切ることができる。これはキーストーン・ハビットと呼ばれ、小さいことでも1つの目標を達成した人は次の目標も達成しやすい傾向にあるそうです。アスリートにも同じことが言えるかもしれませんね。

―競技を通じて目標達成の力が身についているということなのでしょうか。

椎名:はい、そしてそれは競技だけでなく何事にも応用できるスキルというのは言わずもがなです。私の研修では、目標達成のプロセスと、その過程で必要なスキルの習得を見える化する仕組みをつくっています。

 

目標達成の第一歩は、目標の「明確化」

―その研修はどのように行うのですか?

椎名:たとえば、Jリーグの川崎フロンターレのアカデミーを担当していたときは、私が考案した目標設定シートを導入し、(シートはこちらからダウンロード可能 )「競技のスキル・テクニックに関するもの」「メンタル(気持ち・心構え)に関するもの」「コンディショニング(食事・睡眠)に関するもの」「学校/その他に関するもの」という4つの項目に、その月の目標を立ててもらい、毎日達成度を記録して、1か月経ったときにフィードバックを行うということを繰り返していました。

大山:すごく細かいんですね。小中学生くらいの子どもだと、なかなか埋められないんじゃないですか。

椎名:泣きながらやっている子もいましたね(笑)このプログラムは最初が一番肝心なんです。まず選手に目標を聞くと、「プロになりたい」とか、「W杯に出たい」とかまずは漠然としたものが返ってきます。じゃあどうしたらそれを達成できるのかをとことん掘り下げていく。何歳まで現役だとするとW杯はあと何回しかない。その期限までの年ごとの目標を立て、さらに月ごと、日ごとに落とし込んでいく。完成するまで帰れないよ!と盛り立てながら、大体8時間くらいはかかります。

大山:私のスクールのカウンセリングにも少し似ていますね。入会を希望する方とは、最初に面談を通じて「なぜ英語を話せるようになりたいのか」という目標を明確にしています。英語が話せるか、話せないかどちらがいいかと聞かれれば、それは話せたほうがいいに決まっていますよね。でもその理由を探っていくと、実は家族旅行で海外に行ったときに全くコミュニケーションが取れずに困ったとか、家族や友達に助けてもらうばかりで悔しかったとか、モチベーションの源泉が見えてきます。

 

大山俊輔さん

 

椎名:そうなんです。でも一度目標やモチベーションが明確になれば、あとはそのシートに沿って日々の行動を行えばいい。いわばルーティンができるので、目標達成までの道のりがシンプルになります。

大山:人って意外と、自分が何をしたいのか、ほしいものが何かということを自覚していない場合が多いと思うんです。特に子どもの頃は、スポーツを始めるきっかけって些細なことだったりしますよね。

椎名:だから、目標が見つけられない子も当然出てきますね。適切な期限と目標を設定するのも一つのスキルなのですが、これが身に着くまでに3、4年かかる子もいました。

大山:私がそれに気づいたのは40歳の頃でした(笑)それまで漠然と仕事をしていたので、自分の目標や目的が咄嗟に浮かばなかったんです。そこで人生に期限を設けることから始めました。僕の場合85歳までは仕事を続けたいので、それまでの年齢を5年ごとに区切ってそれぞれの目標を考えていきました。

椎名:手間のかかる作業ですが、その場しのぎでは結局続きませんからね。なぜそうなりたいのか、という気持ちを強く持つためにも、目標設定と現状把握には時間をかけます。

―最初のハードルを越えられるかどうか、が目標達成を左右するということですね。

椎名:そうですね。私は8年ほどフロンターレのアカデミーを担当していて、そこではジュニア、ユースなど常に6チーム、合計130人くらいの子どもたちを毎年見ていました。そこでもやっぱり、「始められない」子が多い。目標設定とそのための日々の行動なんて難しいことを考えなくても、楽しくサッカーはできますからね。新しいことを「始める」ことのハードルは高いのだなと感じていました。

大山:僕がスクールを女性専用にしたのは、そのハードルを少しでも下げたかったから。誰しも、理想の自分を思い描くことがあると思いますが、現実とのギャップを埋めるために行動する人は非常に少ない。でも、死ぬ間際の人が後悔していることの8割は、やらなかったことへの後悔だというデータもある。だから、仲間意識を持ちやすい人たちが集まる空間を提供して、まずは始めることへのハードルを下げようと思ったのです。思いきって英会話を習おうとした矢先、すでにビジネス英語を使いこなしていそうな男性サラリーマンとすれちがったら心折れそうじゃないですか(笑)。

椎名:新しいことを始める、新しい世界に飛び込むというのは、すごく勇気がいることですよね。わたしも、スポーツ心理を学びたいという気持ちは高校生の時から持っていたのですが、留学したほうがいいのかどうか、悩んでいた時期もありました。でも短大時代に先生からアメリカ留学を勧められ、決心してからは、周囲に「絶対に留学する」と言いふらして自分を追い込んでいました。

 

後編へ続く>

 

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