音、水、人の融合。シンクロスイマーが競技の美しさの裏側を語る

2015.04.23 AZrena編集部

糸山真与

 

今回はシンクロナイズドスイミング・糸山真与選手のインタビューです。糸山選手は茨城県出身で、現在アクラブ調布に所属されています。平成20年世界ジュニア選手権のチームで3位入賞、アジア大会のチームで2位入賞、平成23年世界選手権代表、24年ロンドン五輪のチームで5位入賞など世界の舞台でご活躍されています。シンクロナイズドスイミングの魅力に迫ります!

 

小学校1年生からシンクロナイズドスイミングの世界へ

 

–  糸山選手のスポーツ経歴を教えていただけますか。

父と母が水泳をしていたこともあって、生まれてすぐに赤ちゃん向けの水泳教室に入っていました。シンクロを始めたのは小学校1年生のときです。競技として本格的に始めたのは2年生からで、茨城の実家の近くにあるクラブで競泳とシンクロどちらもしていました。中学校からは東京のクラブに移ってシンクロ1本でやっています。

 

–  茨城から通うのは大変だと思いますが、東京のクラブが強いのでしょうか。

高校までは学校から東京のクラブまで片道2時間かけて通っていました。茨城のクラブでも全国大会に出られるようにまでなっていましたが、先生からもっと上を目指すなら東京のクラブでやったほうがいいと言われて、移籍することにしました。

 

–  やはり当時の夢はオリンピックに出場することですか。

小学生の頃は思っていませんでした。東京に移籍し、全国大会で優勝した頃から目指したいと思う気持ちが出てきました。

 

–  日本代表になって、実際に日の丸をつけた気持ちはいかがでしたか。

初めて代表のジャージをもらった時は、嬉しさと緊張どちらもありました。父はシンクロについてあまり話す方ではありませんが、代表に選ばれた時は家族みんなで喜んでくれました。

 

シンクロナイズドスイミング日本代表

 

–  シンクロナイズドスイミングはチームとしての動きが重要だと思いますが、合わせることは難しいのではないでしょうか。

シンクロには個人競技もありますが、団体競技においてはやはり全員が動きを合わせることは難しいです。日本代表に選ばれると、毎月合宿が行われて試合に向けて動きを合わせていきます。

 

–  シンクロナイズドスイミング選手にもプロがいるのでしょうか。

シンクロだけで生活している選手はいないと思います。シンクロ選手として会社に入る環境もあまりないので、地元や家族に協力してもらって競技を続けているという状況です。私は今、ピーエヌエフシーテックという会社で、スポーツ選手や一般の方のトレーニングのお手伝いをしています。

 

–  競技だけに集中できる人はごくわずかですよね。

–  糸山選手の競技におけるアピールポイントを教えてください。

身長が高いほうなので、技を大きく表現できることが自分の魅力だと思います。あとは怪我も少ないところも自分の良いところだと思っています。

 

–  世界中のプールで泳がれていると思いますが、プールによって違いはありますか。

日本国内だけでもプールによって違いがあります。深さや会場の作り方でも違って、泳ぎにくいと感じるプールもありますが、その中でも慣れていくように心がけています。

 

シンクロナイズドスイミング

 

観客の目を引く独特のメイク

 

–  シンクロナイズドスイミングの魅力を教えてください。

水を使いながら演技するところです。音だけではなく、水や人と合わせるのが、ダンスとの違う魅力だと思います。

 

–  水中で逆さになったりして、鼻に水は入ってしまいそうですよね。

ノーズクリップ(鼻栓)をしているので基本的には入らないです。でも、演技中にぶつかったりするとそれが外れてしまうこともあります。そういうときは水が入ってくるので痛いですね。私は試合では外れた時の為に予備を持っています。

 

–  独特のメイクが見ていると目を引きますが、専門のメイクさんがおられるのですか。

専門のメイクさんは特にはいません。化粧品は提供してもらっていますが、実際に化粧は自分でします。演技中に化粧が落ちてはいけないので、普通に見ると濃すぎると思うくらいべったり塗っています。

 

シンクロナイズドスイミング選手のメイク

 

–  チームで化粧も揃えるのでしょうか。

そうですね。合宿中に音楽、演技、水着の特徴を踏まえて、選手で考えて化粧も練習します。

 

–  一人だけ化粧が違うなどのハプニングは起こらないのですか。

化粧が終わったら一列に並んで、先生に確認してもらいます。そこでみんなと違う人は修正します。

 

–  競技として踊る上で好きな音楽とプライベートで聞く音楽を教えてください。

シンクロでは明るい曲が好きです。暗く強い曲も好きですね。プライベートでは、ナオトインティライミさんやゆずさんの曲をよく聞いています。でも、練習や試合前はシンクロの曲をよく聞きます。自分で振り付けを考えたりもするので、聞きながらどのような振り付けがいいか考えています。

 

–  水の中でもしっかりと音楽は聞こえているのでしょうか。

聞こえます。実は水中にもスピーカーがあります。演技中には水しぶきで聞こえにくいこともありますが、基本的にはっきり聞こえています。

シンクロナイズドスイミング

 

–  足技やジャンプなどをしている時の水上での動きは見えますが、水中ではどのような動きをされているのでしょうか。

足技のときはずっと手を漕いでいます。ジャンプの時は肩に乗ったり、2人で手を組んでその上に乗ったり、足の上に乗ったりします。

 

–  水中では、何分くらい息を止めることができるのでしょうか。

人にもよりますが、じっとしている時には息を長い時間止めることができても、足技をして激しく動くと20秒ほどで苦しくなります。演技が終わると手がしびれたり、酸欠で頭が痛くなったり、立ちくらみがすることもあります。

 

–  演技行うのにも相当な体力が必要ですね。アクロバティックな動きは陸上でも練習するのでしょうか。

上に乗る人はトランポリンで練習することもありますし、体操教室に通う人もいます。

 

シンクロナイズドスイミング

 

絶対に達成するという気持ちを持っていれば、結果はついてくる

 

–  ここからは糸山さん個人についてお伺いしていきます。糸山選手の趣味を教えてください。

趣味は調べることです。インターネットで調べておいしい食べ物屋さんに実際に行ったりします。本屋さんに行くことも好きです。

 

–  好きな食べ物は何ですか。

和食が好きです。甘い物も食べたくなるので、テレビとかでやっているお店も気になりますね。

 

–  本はどのようなものを読まれますか。

小説も読みますし、アスリートの方の本も読みます。競技が違っても勉強になることがたくさんあります。

 

–  海外で試合をすることもあると思いますが、遠征に必ず持っていくものはありますか。

お気に入りのぬいぐるみを持っていきます。また、キットカットをジュニアのときに食べて、良い結果が出たので、そこから毎回持っていくことにしています。今は抹茶味がおすすめです(笑)

 

糸山真与

 

–  シンクロナイズドスイミングの他に好きなスポーツはありますか。

競泳や水球を見にいくこともあります。最近ではバレーボールも見に行ったのですが、すごく楽しかったです。

 

–  憧れの選手はいますか。

フランスのヴィルジニー・デデュー選手です。現在は引退されていますが、表現力が飛び抜けてすごいと思います。自分は表現することが少し苦手なところもあるので、素敵だと思います。遠征でフランスに行った時、泳がれている姿を見たことがありますが、本当に感動しました。

 

–  オリンピックはテレビで放映されていますが、国内の大会などはどのようにしたら観ることができますか。

オリンピック以外のテレビ放送では、基本的に夜中に放送されています。日本選手権はインターネットで生中継されています。

 

–  夏はプールや海に行ったりもしますか。日焼けにもより気を使わないといけなかったりしそうですね。

日焼けは大丈夫です。変に日焼けの跡が残るといけないですけど、海やプールにも行きます。一度プールで泳いでいると、周りの人に注目されてしまって、いてはいけないのかと思いました(笑)

 

糸山真与

 

–  今年から新しく男女混合のシンクロナイズドスイミングができますが、女性だけの演技とは何か変わるのでしょうか。

初めてのことなので競技としてどうなるのか自分でも楽しみです。男性と女性では体つきも足の形も違うので、合わせるというよりは、より魅せる演技になると思います。女性だけの演技よりも更に迫力が増して、魅力的になるのではないかと思います。

 

–  競技をしていたからこそ起こった、シンクロ選手特有の出来事はありますか。

街中で自分が演技で使ったことのある音楽が流れていることがあります。その時は勝手に体が動いていることがあるので、周りの人には変な目で見られてしまいます(笑)

 

–  最後に読者の方に向けて一言お願いします。

シンクロをしていて、自分が満足できる結果が出せる時は達成感もすごく大きいですが、それまでの練習でうまくいかないことや、失敗が続いて気持ちが落ちてしまうこともあります。何回も辞めたいと思っても、目標に向かって諦めずに、絶対に達成するという気持ちを持っていれば結果はついてくると思うので、これからも挑戦し続けていきたいと思います。

泳ぐことが好き、踊ることや音楽が好きな人にシンクロはおすすめなので、一度体験してみてください。

 

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