野球選手のそっくりさんとして、女子プロ野球の練習に参加してみた

2016.04.01 森 大樹

 

プロ野球のそっくりさんたち

プロの練習に参加!

今年で7年目を迎える女子プロ野球。近年では女子硬式野球部を設置する高校も増え、全国高等学校女子硬式野球連盟に加盟する学校も24校(準備校含む)に上り、彼女達が目指してプレーを続ける場所としての存在意義も年々高まっている。

そんな女子プロ野球の練習に参加することになった。というのも、元巨人・桑田真澄投手のモノマネで数々のメディアにも登場している桑田ます似さんからお誘いを受けたからである。行ったチームは埼玉アストライア。

ちなみに、筆者も“そっくりさん軍団”の一員として参加した。以前よります似さんとは交流があり、かねてからロッテ・井口資仁選手に似ていると言われていたこともあったからだ。顔が濃いだけのような気もするが…この機会に挑戦すべく、わざわざQVCマリンフィールドに行き、一通り服装を揃えて今回の練習参加に臨んだ。もちろんネタは1つも持っていない。(似てないという苦情も一切受け付けない)

そっくりさん軍団は野球経験がない桑田ます似さん、スリム上原さん(レッドソックス・上原浩治投手)。野球経験者である似とる松井さん(楽天・松井稼頭夫選手)、松井弱気さん(楽天・松井裕樹選手)、似関本賢太郎さん(元阪神・関本賢太郎選手)、そして私、似口資仁の6名。

 

プロ野球のそっくりさんたち

なぜそっくりさんが女子プロ野球チームの練習に?

そもそもなぜそっくりさんと女子プロ野球チームに関わりがあるのかという点に疑問を持つ方もいると思うので、補足しておく。

「昨年の夏頃からアストライアさんとは関わらせてもらっていて、実際に試合を観たのは神宮球場でした。そこから昨年10月3日に始球式に呼んで頂いたりもしていた中で、10日ほど前に練習参加のお誘いをもらいました。」(桑田ます似さん)

「始球式と野球教室を開催することで、また新たな層のお客様にご来場頂く1つのフックになるのではないかと思ったんです。試合にご来場頂いた時もます似さんがモノマネをすると人集りができていたので、より多くの方に注目してもらえるのではないかと考えたわけです。
当日は始球式に加えて、どうやったら本物のプロ野球選手っぽくできるのか、という趣旨の野球教室にもご協力頂きました(笑) 実際、50人の定員もオーバーするくらいの人気ぶり。選手もその様子が気になったみたいで、野球教室の様子を後ろから見に来ていましたね。」(埼玉アストライア広報・片岡氏)

こういうことだ。しかし、その始球式に呼ばれた時、当然自分はそっくりさんの中は入ってないわけで…不安は増すばかり。

 

いよいよ練習開始!

我々の集合は朝7:50。しかし、アストライアの選手は練習前の7:30〜8:00に北浦和駅前で清掃活動をしていたとのこと。…早い。チーム名に「埼玉」と入れ、地域密着を謳っているだけある。

8:10になり、チームミーティングの中でそっくりさん軍団が紹介され、練習へ。この時選手の間から「あぁ、確かに井口に似てるかも…」という声が出て、ちょっと嬉しかった。

 

埼玉アストライア春季キャンプ

今日の練習テーマは「繋がり〜意思疎通〜」

 

初めはウォーミングアップとして3種類の腹筋を数セットと2種類の柔軟、そしてアルティメット(フリスビーを使ったスポーツ)を行った。そっくりさん軍団も自ら率先してメニューに参加したまではよかったのだが…早くも苦悶の表情を浮かべる我ら。自分からやりに行ったことを少し後悔。

 

プロ野球のそっくりさんたち

 

ウォーミングアップの後はランニングのトレーニングメニューに入っていく。

様々な体勢からスタートする変則ダッシュを行ったのだが、その辺りからそっくりさん軍団の言葉数は減っていき、松井弱気さんに至っては途中で座り込む始末。似とる松井さんは離脱し、グラウンドの端で一人がっくり崩れ落ちていた。

そしてそっくりさんが決められたラインまで走らないのを見つけると、「ここまでですよ!」と昨年まで現役だった中島梨紗コーチに檄を飛ばされる。厳しい。

 

埼玉アストライアランニングメニューをこなす選手達

 

松井弱気さん崩れ落ちる松井弱気さん

 

松井弱気さん離脱して座り込んでしまう似とる松井さん

 

一通りダッシュメニューが終わった後は自分の陣地に一番早く3つ球を集めてきた人だけが一抜けできる、ボール取りゲーム。

この時、進んで順番を譲ってくれたのは中野菜摘選手。アルティメットの時もルールが分からないそっくりさんに声をかけてくれたりして、ありがたかった。

 

元阪神の関本賢太郎のそっくりさんパッと見、元阪神の関本選手がグラウンド整備をしているように見える。何ともシュールな光景。

 

一旦水分休憩を取った後はキャッチボール。早めに距離を取って遠投をする選手と近くでしっかり投げる選手、かなり人によって違っていた。それはどういう風にキャッチボールをしたいか、好みが合っている選手同士で決まったペアを組むからだそうだ。取材などで選手が抜けない限り、基本的に同じ相手と行う。

キャッチボールの後は投手・内野手連携練習、ケース(実戦)ノックへと突入。そっくりさん軍団はランナー役に入った。

 

埼玉アストライア

 

そしてバッティング練習へ。そっくりさんはボール拾いに入ったのだが、似関本さんと似とる松井さんの守備がうまかった。

全体メニューはここまで。あとは各自特守、特打に入っていき、それ以外の選手は昼食を取る。そっくりさん軍団もお弁当を頂くことに。

この日は午後から平成国際大学との合同練習が組まれていた。あのメニューをすべてこなした後にまた練習とは…さすがプロ野球選手。

 

そっくりさん一押し選手は?

そっくりさんの間で特に話題になったのは松永栞選手。女子プロ野球最小身長・149cmでありながら走攻守すべてにおいて光っていた。守備位置も捕手と一塁手以外はすべて守ることができるというユーティリティープレーヤーだ。

他にも首位打者奪還に燃えるキャプテン・川端友紀選手(過去インタビュー記事)、ルックスや音楽の才能だけでなく、ぜひプレーに注目したいルーキー・加藤優選手、捕手として一番声が出ていた熊崎愛選手の名前が上がった。

 

松永栞

走攻守揃ったプレーで定位置奪取を目指す松永選手

 

川端友紀首位打者そして女王奪還へ燃えるキャプテン・川端選手

 

ちなみにこの日の強化練習については埼玉アストライアの公式ブログでも紹介されている。その記事を書いてくれたのは広島出身でカープファンのルーキー・坂東瑞紀投手。背番号は憧れの黒田博樹投手から取った15番。投球フォームは母親がファンだった野茂英雄投手を参考にしており、投球スタイルは野球教室で指導をしてもらった桑田真澄投手とのことだ。

練習参加日の埼玉アストライア公式ブログ記事

 

坂東瑞紀

先日初登板を果たしたルーキー・坂東投手

 

練習に参加してみて

さて、実際にプロチームの練習に参加したそっくりさんはどう感じたのか。

「私は野球未経験ですが、それでももっとやりたいと思えるようにうまく練習メニューが組まれているなと感じました。それが結果として集中して取り組むことに繋がっているのかもしれません。そして何より、選手達が練習を楽しそうにやっているのが印象的でした。
今日嬉しかったのは別に担当が決まっているわけでもないのに選手の皆さんが僕らに練習の説明をしに来てくれるんですよね。そうしてもらうとより応援したくなります。」(桑田ます似さん)

ます似さんが語ったように、練習参加を通じ、彼女達は純粋に野球が大好きで楽しんでいるということを強く感じた。冒頭に述べた地域の清掃活動を行い、興行として広めるためにファンと積極的に交流をしているのも、全ては大好きな野球を続けるため。

 

埼玉アストライア地域交流・貢献活動の一環で、振り込め詐欺防止運動の舞台で演技をする選手達。

 

熊崎愛このイベントへの出演は熊崎選手の「バットを振り込んでも打てなかったら、振り込み詐欺になっちゃう」という一言が全ての始まり。

 

では、そっくりさん軍団が入ったことによって、普段の練習と違った点はあったのだろうか。

「当然ながらいつも女子の選手しかいないわけですが、今回練習の中で男性の声が飛んでいたのは新鮮でしたね。あとはそっくりさんの方々も手を抜かずに真剣に練習に取り組んでくださったことで、選手達もよりしっかりやらないといけないという意識が持てたと思います。
あとは一野球ファンとしてすごく楽しませて頂きました。似関本さんはバッターランナーの時もスイングをしっかりモノマネしてから走り始めていましたし、そもそも上原投手が練習でランナー役をやることなんてないですから、いろいろシュールだなと思って見ていました(笑)スタンドで見ていたファンの方も楽しんでくれていたのではないでしょうか。」(埼玉アストライア広報・片岡氏)

我々が参加したことで、練習に新鮮な雰囲気が流れ、それが選手達にいい影響を与えていたなら幸いだ。

 

今年のホーム開幕戦は4月9日(土)、10日(日)に川口市営球場で行われる。ここは昨年7月、関東開催の試合で初めて柵越えの本塁打(萱野未久選手が記録)が出た球場だ。チームは川口市と今年からホームタウン協定を結んでいることもあり、開幕戦で白星を飾って、市に向けてアピールしたいところ。

ホーム開幕戦・試合詳細はこちら

 

たしかに迫力の面で女子野球は男子に劣る部分はあるだろうが、この競技の本質はそこにはないと断言できる。

女子野球の魅力は1つひとつのプレーに全力な彼女達の必死さだ。選手の中には野球を続ける環境がなく、途中ソフトボールに転向せざるを得ないなど、「プレーをする」という当たり前のように思われがちな部分で苦労してきた人も多い。だからこそ、自分達の手で競技を盛り上げ、「女子野球」ができる環境作りに貢献していきたいという必死な想いが行動に現れる。

なので、“男子と比較して”という考えは捨てて、フラットな視点で観てほしい。そうすれば、その魅力を感じ取れるはずだ。

今後も埼玉アストライアと桑田ます似さんを中心とした野球選手そっくりさん軍団は様々な形で交流を深めていく予定である。こうした取り組みがより多くの人々に女子プロ野球に関心を持ってもらう、1つのきっかけになることを願っている。