日の丸に憧れ競技の世界へ。コーフボール日本代表が説く、マイナースポーツのメリットとは?

2014.11.17 AZrena編集部

信時盛人

今回はコーフボール日本代表でコーフボールクラブ名古屋に所属されている信時選手のインタビューです。日の丸を背負いたい想いから出会ったコーフボール。その魅力に迫ります。

※コーフボール:男性と女性が平等且つ一緒にプレーする機会を持つように作られた世界唯一の男女混合チームスポーツで、リング状のゴールにボールをシュートして得点を争います。バスケットボールにも似ている印象を受けますが、ドリブルは禁止で、360°どこからでもゴールを狙えるのが特徴です。

 

日の丸を背負いたいという思い

 

–  なぜコーフボールをはじめられたのですか。

中学校までは野球、高校、大学と陸上競技の短距離をしていました。コーフボールを始めたのは大学院に入ってからです。男ならやっぱり上を目指したい。と、ずっと思っていました。陸上も国立にしては強い大学で、専門の100mでは10秒8までは走れるようになりました。それでも、短距離の世界では戦えなかったです。7年間やってもこれだけトップとの差はあるのかと思い知らされました。4年の引退試合にベストが出たのですが、これ以上、伸びしろを感じて練習をしていけないと思いました。

でも日の丸を背負うことへの憧れがずっと残っていて、引退してからテレビでW 杯やWBCで活躍している選手を見ているとちくしょうと腹が立つんです。そのとき、たまたまニュース番組の特集でクレー射撃の特集がやっていて、お金のかかるスポーツだから社会人になってから始める人が多く、30代の選手が多く活躍している、という内容でした。それを見て、こういうニッチな種目なら日の丸を背負えるのではないかと思って、すぐにインターネットで調べました。そこで、コーフボールのHPに行き着きました。そこには「日本代表募集中!」と書かれていました。これ、いいな。と思っているときに、Twitterを通してコーフボールの会長から、遊びにきませんか。と連絡が来ました。当時、コーフボールの会長はTwitterで選手集めの為に、プロフィールにスポーツと書いている人にはアタックしまくっていたそうです。僕もそれにひっかかって遊びに行ったというのが、コーフボールを始めたキッカケです。

 

–  コーフボールは球技ですが、信時さんのされてきた野球とも陸上競技とも違うものだと思うのですが、不安はなかったですか。

ありましたね。コーフボールはバスケに近いのですが、僕はバスケットもあまり得意ではなかったです。でも、日の丸を背負いたいパワーが上回りました。

 

–  日の丸を背負いたいという思いはいつから持たれていたのですか。

小さいころから憧れていました。その気持ちが球技が苦手という思いよりも強かったです。

 

–  コーフボール以外にも候補はありましたか。

セパタクローやカバディも調べたのですが、コーフボールに何故か一番目に止まって、会長から連絡をいただいたことでコーフボールに運命を感じました(笑)。また、当時は東京に1チームしかなかったのですが、僕は大阪に住んでいたので練習に行ったときはわざわざ遠くから来たということで、みなさん温かく歓迎してくださったことも覚えています。

 

–  コーフボールはいつ頃から日本で始まっているのですか。

東京にチームができてからは10年になります。今のキャプテンは高校からコーフボールをしている選手で8年選手です。他の選手も5年くらいの方が多いです。本格的な競技者は、東京、名古屋、長崎で60人程です。コーフボールが今後、オリンピック競技になる為には、まず75カ国の出場が必要条件です。今は63カ国です。あと12カ国ですね。

 

コーフボール

 

–  大阪から東京まで通うのは大変ですね。やはり苦労されましたか。

数ヶ月に1回東京まで練習に参加していました。大阪にもチームを作ろうとういことで、動き始めたのですが、場所が全然ありませんでした。チームを作るときに、人と場所と目標があれば活動できるってメンバーとも話し合っていましたが、マイナースポーツは特に場所を見つけることが大変だと感じました。大阪の全小学校、中学校に聞いたのですが、全部ダメでした。コーフボールのゴールが特殊なので、ゴールを置かせてもらえる学校がありませんでした。このときは苦労しました。その後、今、勤務している会社が名古屋で体育館を所有している会社だったのでお願いしてみると借りられることになりました。練習場所の目処が立ったので、体育館のある名古屋にチームを誕生させることが出来ました。

 

–  チームの運営は選手の方がされているのですか。

そうですね。海外の選手に動画を見せてコーチしてもらったり、イギリスからの留学生に教えてもらったりもしています。また海外での試合のときはチャンスですね。今年も香港で試合があったときに教えてもらっています。

 

–  すごく貪欲ですね。海外への遠征も自己負担ですか。

自己負担ですね。ゴールやボールだけ協会から補助金が出るようになっています。

信時盛人

 

マイナースポーツのメリットとは

 

–  日本代表募集!と書かれていたとおっしゃっていましたが、本当に日本代表になれるのでしょうか。

去年までは手を上げたらなれる。くらいの勢いでした(笑)去年は東京で本格的に活動しているのが15人くらいで、行けるメンバーが16人だったので、本格的にやっているといける可能性はかなり高い状態でした。今年は人数も増えたので選考会を行って決めました。

 

–  コーフボールはどうゆうタイプの選手が多いですか。

基本的にはバスケットボールと似ているので、バスケットをしていた選手が多いです。実際やってみると全く違うと感じるところも多くありますが、それでも似ているのでバスケット経験者の方はうまいですね。あとはサッカーの経験者や、アルティメットの経験者の選手もいます。ポジショニングが取れる種目の方が多いように感じます。僕はそういう競技を今までやっていなかったのですが、負けず嫌いなので、そういった経験者であっても負けないように常に上を目指しています。

 

–  コーフボールの選手の方は、みなさんお仕事をされながら競技をされているのですか。

そうですね。大学生も10人程いますが、社会人が多いです。上は40代の選手までいます。男女の割合もちょうど半分半分です。

 

–  コーフボールをしていて、一番嬉しかったことを教えてください。

「君が代」を聞けたことです。聞いたときはちょっと震えましたね。また、名古屋のチームを作ったこともすごく楽しい経験をさせてもらっています。最初は2人から始まったので、友達を誘って練習していたのですが、その友達も筋肉痛になるのが嫌で辞めておくという女の子もいました。でも3ヶ月程経ったときに、筋肉痛を嫌がっていた子が、どんどん積極的になって「上手くなりたい。もっとコーフボールを普及させよう!」と、変わり始めたこともすごく嬉しかったです。

これはコーフボールの魅力にもなるのですが、マイナースポーツというと良くないイメージを持たれるかもしれませんが、メリットはたくさんあります。日の丸を背負える可能性が高いことも大きな魅力ですが、自分たちで運営も練習メニューも普及も考えて、チームを作り上げていくことはすごく楽しいです。

なんでも成長できるって楽しくないですか。大人になってからバスケやサッカーを始めても既に上手い人がたくさんいて日本代表のレベルにまではゼロから始めるとなかなかいけないですけど、マイナースポーツはみんな横一線でのスタートなので毎回の練習で成長を感じられます。それが選手全員に感じられるのでみんな続けたいと思えるのでしょう。もちろんそれはコーフボールに限ることではないと思いますが。コーフボールはその成長をチーム全員で感じることが出来て、更に男女で行うスポーツというところは、他のスポーツとは違う新鮮さがあります。

 

コーフボール

 

–  競技として男女共に行うスポーツは他にもほとんどないですね。コーフボールはどんな人に向いているのですか。

競技面ではバスケットやサッカーなどポジショニングが取れる人が向いていると思います。また、新しいことに挑戦してみたいと思っている人にはすごく向いていると思います。チームのPR活動やマネジメントなどやることは多く、自分たちで自ら動きたい人に向いていると思います。最近では高校生も参加してくれています。男女のスポーツなので、今後は大学生にももっと広がって行ってもいいと思います。

 

–  趣味を教えてください。

お笑いが大好きです。最近は阿佐ヶ谷姉妹に注目しています!一番好きなのは笑い飯ですね。NHKでやっていたオンエアバトルという番組を見てお笑いにはまりました。M-1は正座して見ていました。

 

–  最後に、見ている方に一言メッセージをお願いします。

オリンピックを見て盛り上がるのもすごく良いことですが、見ているだけじゃないぞと言いたいです。学生の頃はスポーツが身近にあったのに、社会人になるとスポーツをする機会が急激に減ると思います。見て感動することもできますが、やはり自分でやって感動することのほうが大きいと思うので・・みんな!スポーツしよう!ということを伝えたいです。いろんなスポーツにいろんな可能性がありますよ。

 

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