【後編】「引退なんてない」。現役アスリート兼スポーツトレーナーが訴える、セカンドキャリアの意義。

2014.06.27 AZrena編集部

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【前編】はこちら

 

十種競技の奥深さ

 

ー 十種をやっていてよかったこと、感動したことなどありますか。

お互いを称えあったりする機会があることですね。そして仲が良いです。例えば今回もそうなのですが、1つ上のチャンピオンに講演をして頂いたのですが、それも自分が一声かけて実現しました。みんなで何とかしようという気持ちがあるので。陸上って意外とそういうのが少ない気がします。

 

ー ライバル意識はあっても仲間意識は難しいということでしょうか。

国として陸上が強くなっていくことを目標と考えるなら、そこが一緒になっていかないといけないと思うのですが、もちろん仲良くすることだけが良いことではないですが、でもタブーとなっているんです。あっちのコーチに教わってはいけないというような雰囲気があるし、自己利益ばかり追求してしまう。十種はそういうのはないですね。横のつながりが強いです。

 

ー 隠しあってたら邪魔しあって国内で終わってしまいますからね。

全体のレベルが上がらないですからね。あとは他の選手に聞きに行けるところも良いところです。幅跳びが分からないから幅跳びの選手に聞きに行こう、とかできます。それから、スポーツの見方がかわります。

なぜこの野球の選手が速く走れるか、遠くに投げられるか技術的にみるのではなく「運動」でみてしまうんです。運動というか、物理的にという方が近いかな。そういうふうに見れるようになりました。

 

ー なぜ速く走れるかとかがわかるようになるのですね。

体験で分かるようになりました。先ほども言ったように、十種は1つづやってはだめなんですね。ハードルの場合、ハードルのバーの高さにたいしてぎりぎりに飛びます。無駄に高く飛んではだめです。調整能力が必要。ハードルの選手はそれをハードルを跳ぶ技術というようなことを言うのですが、そうではなくて目でみたものに合わせる能力だったり、速いスピードを殺さない踏切とか、そういった大枠でものを見れるんです。

そうすると、このスポーツとこのスポーツのこの部分は一致しているよね、とか運動自体でみることが出来ます。それは楽しいですね。できるかどうかは別としてですが(笑)。特にゴルフは一番難しい種目だと思います。

 

ー ゴルフは止まっているボールを打つだけなんですけどね、難しいです。ロジックはわかるのですが。

みんなそうだと思います。結局上手くいってもそれが自分がやろうと思って上手くいったのか、わからない種目なのでそれが意味が無いんですよね。たまたま、なので。

 

ー 偶然なのか実力なのかすらわからない。

いきなりできる種目ではないですね。

 

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引退なんてないと思っている

 

ー 十種競技や陸上をしていなかったら、どんな職種に携わっていたと思いますか?

人と付き合うのが好きなので、コミュニティを作っていくような仕事ですね。陸上は個人競技なので、選手はみんな他人にあまり興味がないんです(笑)。でも僕は野球のチームワークとかが嫌いでやめたわけではなく、自分がどこまでできるか知りたかっただけなので。

前職での営業は新しい人に出会えるという点も好きでした。得意かどうかはわからないけど嫌いではなかったです。

 

ー 営業できれば強みになりますね。人と話せるのは武器ですから。

ー スポーツ以外の趣味を教えてください。

blog書いたり、本読んだり・・・。趣味という趣味はないですね(笑)。やはりスポーツがかなり日常化しているので。階段は歩かないとか。

 

ー 歩かないなら、走るのですか?

階段は走ります。あと、TVは見ないですね。そもそも家にTVを置いていないです。あ、ネットサーフィン!携帯依存症なんですよ(笑)。親が厳しくて高校まで携帯は持たせてもらえなかったんです。その反動ですかね、携帯は四六時中いじっています。

ゲームはほとんどしないですけれど、Facebook、blogを読んだりします。そうだ、趣味、Wikipediaです!おもしろくないですか?Wikipedia見て、この人こういう半生を送ったんだ、とか、選手の年俸見てみたりすることもあります(笑)

 

ー Wikipediaの情報は一般の人が作っているものだから、本当かと思うことがありませんか?

そうですね。話半分で見てます(笑)。


ー ではここでしか言えない十種競技の話があれば教えてください。

十種をやっている人は身体を鍛えるのが好きですね。ドMです。バーベルを限界まで担いでいるときなんかにみんな生きがいを感じているんですよ。、俺生きてる!みたいな(笑)。やっぱりきついので叫ばないとやってられないというところはあるんですよ。ひたすらわめいていますね。


ー 今スポーツをしていてセカンドキャリアを考えている人に、そして今スポーツをしている人へ一言お願い致します。

セカンドキャリアについては、アスリートとして人に価値を与えるという視点を持つことが大事だということです。私はSNSで発信したり、各地で教えたりすることで十種を知ってもらったり、楽しんでもらう取り組みを行っています。それは十種の選手として、競技で培った経験をいろんな人に還元して喜んでもらいたいと思っているからです。

自分が広告塔だという意識よりも、沢山の人に喜んでもらうことが大事だと思います。喜んでくれる選手が増えるということはイコール、「ファン」が増えることだと思っています。

人気なスポーツほどファンが多い。ファンが多いスポーツは自然と盛り上がって行くものだと思います。陸上競技にはそのファンが少ないので、一人一人が沢山のファンをつけれるような個性的で地道で継続的な取り組みが必要です。それができる人が増えれば自然とその競技は盛り上がって行くはずだと考えています。

 

ー このサイトを見ている人に一言お願いします。

スポーツを楽しんでもらいたいし、スポーツから勉強してもらいたい、何よりスポーツを本気でやることが一番だと思います。そのときやっているだけでなく一生何かをやり続けて欲しいし、スポーツ引退したら終わり、は嫌じゃないですか。引退したってやることはたくさんありますし。スポーツ選手は何かしら区切りをつけたがるんですよね。引退なんてないと思っているんで。

生涯楽しい挑戦をし続けられる、スポーツだったら出来ないことが出来るようになるとか、そういう視点で楽しんでもらいたいです。子供に教えているのはそういう目的です。走ることが速くなることにさして意味はない。でも、速くなったら自信になるとか、スポーツが嫌いな子が少し好きになったりとか、そういう視点でやりたいんです。

 

【前編】はこちら