元Jリーガー主導のもと、子どもたちに夢を運ぶ新プロジェクトが始動

2016.08.03 田中 紘夢

PEACE UNITED FUCHU

 

元Jリーガーが主導する「PEACE UNITED PROJECT」とは?

子供たちに、平等に夢を追いかけてほしい — その想いに、元Jリーガーや現役Fリーガーが賛同し、1つのプロジェクトが動き出している。

 

7月18日、東京都府中市のグラウンドで小中学生に向けたサッカークリニック「PEACE UNITED FUCHU」が行われた。当日は、元Jリーガーの長谷川太郎氏を筆頭に、現役ビーチサッカー選手も講師として参加。ゲーム形式の練習を中心に、1時間半にわたって子供たちと汗を流した。

 

経済的事情で子供たちの習い事の費用負担に悩む家庭のために、安価で参加しやすいスポーツ系スクール活動支援プロジェクトとして始動した「PEACE UNITED PROJECT」。その事業の一環で行われた今回のクリニックは、サッカーの指導者だけでなく、フットサルとビーチサッカーというサッカーから派生した2競技の現役選手も講師に招き、幅広く技術を学べるプログラムとなっている。参加費も1回1000円と、通いやすい金額に設定されている。

 

クリニックにコーチングスタッフとして参加しているのは、長谷川氏が代表を務めるTRE2030 STRIKER ACADEMYの講師陣と、ビーチサッカーリーグの所属選手、そして日本フットサルリーグ(Fリーグ)に所属する府中アスレティックFCの現役選手である。また、30日には特別ゲストとして招かれたFリーグ・ヴォスクオーレ仙台の狩野新選手による指導も行われた。

 

PEACE UNITED PROJECTの事業活動は今回で2回目となる。初回は3月に行われ、長谷川氏をはじめ、元フットサル日本代表の藤井健太氏やビーチサッカー日本代表の原口翔太郎選手など、そうそうたる顔ぶれが揃っていた。

 

将来的な地域密着型クラブチーム設立へ

スポーツのスクールやクリニックが全国各地で数多く行われている中で、このプロジェクトがなぜ、習い事の費用負担に悩む家庭へフォーカスを当て始動したのか。その理由には、長谷川氏が海外で直面した、とある実体験があった。

 

同氏は中学、高校と柏レイソルの下部組織で育ち、1998年にトップチーム昇格を果たす。その後は2002年にアルビレックス新潟、2003年にヴァンフォーレ甲府へ移籍すると、2005年には17ゴールを挙げJ2日本人得点王に輝き、甲府をJ1昇格に導いた。2014年には日本を離れインドでプレーし、翌年に現役を引退している。

 

Jリーグ5クラブを渡り歩いた長谷川氏には、インドで目に当たりにした忘れられない光景があるという。

長谷川太郎氏

 

「インドでプレーしていた時には、経済的な問題で勉強やサッカーをできない子供たちがたくさんいた。彼らは生まれながらに夢を諦めなければいけなかった」

 

インドと同様とは言えずとも、日本にも経済的に裕福でない家庭は存在する。そんな子供たちに夢や希望を与えたいと思考していた長谷川氏と、柏レイソル下部組織時代の旧友である鴨川司氏の想いがマッチして実現したのが、PEACE UNITED PROJECTだ。現在はサッカーに関するプロジェクトのみが展開されているが、今後は様々な競技の事業を行い、スポーツを通して子供たちの人間形成を図る方針である。

 

現在行われている府中市でのクリニックは、先に述べたような習い事の費用負担に悩む家庭向けに限定した事業ではないが、今後はそういった家庭を対象とした様々な事業を考案していく予定だという。また、同クリニックは将来的に地域密着型のクラブチームとして活動を拡大していく方向で、将来的にはプロ選手の輩出も目指している。

 

子供たちの未来のピースのために

プロジェクトのアドバイザーを務める長谷川氏は、スポーツ選手を目指す上で幼少期に必要な要素を以下のように述べている。

 

「とにかくチャレンジして、たくさん失敗すること。失敗から学んで何かを達成できるようになれば、ボールを蹴ることが楽しくなる。そういったチャレンジができる雰囲気作りを心がけていきたい」

 

府中アスレティックFCの松永託選手を講師に迎えた24日のクリニックでは、足裏を使った技術や、トゥーキック(つま先でのキック)の練習が行われた。松永氏は「フットサルの技術はサッカーにも活かせる。身につけておくと、良い特徴として監督や指導者に評価してもらえる部分もあるので、ぜひ身につけてもらいたい」と、フットサル特有の技術練習がサッカーにも活かせることを語っている。サッカーだけでなくフットサル、ビーチサッカーの現役選手からも指導を受けられるPEACE UNITED FUCHUは、まさに子供たちがチャレンジする場として最適な環境だろう。

松永託

 

フットサルの技術を学ぶことは、何もサッカーに活かすためだけではない。「一般社団法人こどもスポーツ支援協会」のメンバーとしてクリニックの運営を行う鴨川氏は、3競技の講師を招いた理由について「小さい頃からフットサルやビーチサッカーの選手になりたい、という子供がいても良い。今後は子供たちに色々な選択肢を与えていきたい」と述べている。3競技の共演は、子どもたちの選択の幅を広げる意味でも大きな役割を成し得そうだ。

 

とはいえ、当面の課題はプロジェクトの認知度を向上させることとなる。長谷川氏が「まずは知ってもらうことが大事」と口にする通り、習い事の費用負担に悩む家庭への認知が最優先事項であろう。そのミッションを遂行することが、本来の目的の達成に繋がっていくはずだ。

 

「子供たちの未来のピースのために」。各競技の実力者たちがそれぞれの想いを紡ぎ、“夢の運び屋”として子供たちに未来を与えていく。

PEACE UNITED PROJECT