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キロテープとは何か? 水中でも使えるキネシオを、日本のスタンダードに。

2017.07.28 / AZrena編集部

キロテープは、キネシオテープの改良版。水中で使え、コットンから合成繊維に素材を変えるなど、30年間ほぼ改良されなかった同テープに革命を起こしている。製品開発の思いについて、株式会社キロアルファの取締役・松本佑一郎氏に話を伺った。

キロテープ

怪我の予防、筋力アップなどの効果を求めて、テーピングをすることは、もはやスポーツをする者にとって一般的な行動になっている。その中でパフォーマンスアップに使われるキネシオロジーテープは、実は約30年前に生まれた日本発のもの。生まれてからほぼ改良されることなく使用されてきたこの商品だが、その歴史を変えようとしている企業がキロアルファである。同社の製品であるキロテープは“水中でも使える”質の高いもの。そんな新世代のキネシオロジーテープはどのように生まれたのか?そしてその効果とは?キロアルファの取締役である松本佑一郎氏にお話を伺った。

「テーピング業界」には改良の余地があると感じた

-まずはこの業界に入った経緯を教えて下さい。

弊社代表の小野は高校の同級生なのですが、彼が事業を立ち上げる時に商材を探していたんです。その中で海外に流通しているデザイン性の高いキネシオロジーテープというのを最初に見つけました。市場やメーカーを調査し、現状どういう素材や品質のものが出ているのかを見て、「テーピングにはまだ改良の余地があるのではないか」と思ってビジネスを始めました。最初はおしゃれなデザインのテーピングを作りたかったのですが、今はもっと本質的な部分に興味を持っています。色はベージュのものがメインです。

-かなり市場の調査は行ったのでしょうか?

ほとんどのメーカーが、どこが何をしているのかは把握していました。キネシオロジーテープに迷彩柄が入っているのを見つけた時に、面白いと思って調べたんですよ。それは海外・中国製で、日本ではあまり流通していないこともわかりました。更に現状、日本で流通しているキネシオロジーテープは、パッケージは違えど、中身はどのメーカーもほとんど変わらない事もわかりました。

-そこから会社を作り始めたのですね。

まずは会社をどう作るのかを調べて、研究し始めたんです。他のメーカーと同じようなものだったらビジネスにならないので、自分たちしかできないようなことを調べて、会社を2016年の4月に設立しました。この研究をする期間も入っているので、まともに営業、リリースを始めたのは2017年からですが。

-競合はどのくらい存在するのでしょうか?

他のいろいろな商材と比べたらすごく少なくて、ものすごく大手ばかりですけど10社くらいです。でも、キネシオロジーテープを“専門”としているところはほとんどありません。どこのメーカーも約30年間の歴史があるなかで、品質改良ってほとんど行ったことがないんですよ。それほど注力していないものなんでしょうね。

キロテープ

快適でノンストレスなテーピングライフの実現をテーマに

-そもそも、キネシオロジーテープの効力はどういったものでしょうか?

協会が提案している使い方でいうと、怪我予防と疲労の軽減と、筋力アップと回復促進。なので、よく言われるのが“もう一枚の筋肉”ということ。怪我のリスクも減るし、筋肉もアップするので、単純にタイムが伸びるようなこともあります。貼った時と貼っていない時では筋力が違うという筋力テストのデータもあります。

筋肉と連動するので、テープを伸ばすのではなくて、テープはそのまま、基本的には伸ばさないように貼ってもらっています。筋肉と皮膚と連動するのがキネシオロジーテープなので。

-今までなぜ、改良がされてこなかったのでしょうか?

コストの問題はすごく大きいと思いますね。新しいものにする時は、ある程度の理由をつけて開発していかないといけないので、難しいです。

あとは、ある程度完成されていたというのもあります。僕らは合成繊維で作っているのですが、他の業者さんは今まで約30年間コットンでやってきたんです。それに比べて合成繊維は水分の吸収率が14分の1。極端に水分を吸わないので、剥がれるとか、ベチャベチャして痒くなるということが少ないんです。

-水の中でも使えると聞きました。

水中でも剥がれにくいくらい、強いです。洋服でイメージしてもらうと分かりやすいんですけど、コットンって洗濯すると、縮んだりボロボロになったりしますよね。キネシオロジーテープは肌に直接貼るのですが、テープにも劣化が起きているんですよ。コットンは水に弱いのですが、合成繊維はすごく水に強いんです。だから、お風呂に入っても効力は落ちないんです。

-様々な方に利用してもらうまでの過程は大変だったのではないでしょうか?

何でもそうだと思うんですけど、ビジネスは販路だと思うので、今は一番大変な時期ですね。

いま使って頂いている層としては、接骨院さま、整骨院さまなどの治療院さま。あとはスポーツチームさまが大きいですね。自分たちからは治療院さまやスポーツチームさま、そして薬局さまに足を運びます。治療院さまも基本的に使うのは卸売の業者さまがいるので、僕らもそこと連携をしていかなければいけない。完全に販路開拓です。すごく大きい全国展開しているような薬局さまとの営業や打ち合わせも含めて、両方やっていかないといけないですね。

-スポーツチームにオフィシャルの用具として使ってほしいという思いも強いのかなと。

やはり影響力が強いので、使っているところを写真に撮らせてもらって、世間に出させてもらえるとすごく嬉しいですね。

いまはサッカーだとJ2、J3のチームとかに扱って頂いているのですが、価格も基本的には高めなんですよね。ですから学生は少ないですけど、もう少し流通も増えていくと値段も下げていけるので、学生でも手が届くものになればいいなと思います。

-品質が良くても、価格が高いというハードルを超えるのは難しさがあると思いますが、どうアプローチしていきますか?

販路によっても違うんですけど、難しいですね。治療院さまだと患者さまに貼ることになると思うのですが、何回も貼り替えたりする場合は量を使うことになるので、安い海外製のものでも良いと思うんです。ただ、一週間後にまた来るというような継続的に使って頂ける方には、ある程度長めに持つようにうちの製品を使っていただくことを提案しています。

うちのテーピングは、来院して貼って、次の通院時にもまだ貼り続けているという人もいるんです。従来のテーピングは持って1日。また、夜お風呂に入ったら終わりですね。弊社のキロテープは100パーセントかぶれないとか、かゆくならないということは難しいんですけど、水分をほとんど吸わないですし、速乾力がすごいので長持ちするんです。本当に1週間、最高だと12日間持ったというのも聞きます。

安いものは買い替えないといけないので、そこのトータルのコストで考えたらむしろお得かな?とも思いますね。そういうところに気づいて貰えれば、自分たちの需要もあるかなと思っています。

松本佑一郎氏

キロテープの生み出す少しの差で、パフォーマンスを上げる

-効果の差もあるのでしょうか?

肌に直接貼るレベルなので、かなりあると思いますね。微妙な不快感が選手のパフォーマンスに影響してしまうのではないかと思って作っています。キネシオロジーテープは、筋肉と連動させる貼り方が多いと思うんです。いわゆるホワイトテープの伸びないものだと、がちがちに固まってしまうので、現場レベルだと関節の固定にもキネシオロジーテープを使ってしまうことがあるんですよ。選手はがちがちに固めてしまうとプレーに支障が出るので、キネシオロジーテープでやると。トレーナーさんも固めたくないんだけど、少しの固定が必要という時に使うんですよ。

いわゆるテーピング法としては出てこないんですけど、第一線で戦っている人たちは、固定でもキネシオロジーテープを使っているんです。その固定の時に、コットンは生地が弱いんですよね。固定しても、試合中や試合後に実は糸が切れてしまっている状態になってしまうんです。一般の患者さまでもお風呂に入ると生地が切れて、固定するつもりなのに、次の日には伸びきった状態で剥がれてしまうとか。ただ、合成繊維はそれがなくて、糸がものすごく強い。耐久力があります。効力を維持できるというのは魅力ですね。

キネシオロジーテープには痛みの成分やリンパの流れを良くして、腫れをひかせる効果もあるんですけど、合成繊維は1週間持続するので腫れの引きも全然効果が違うと思います。

-これからの課題はどういったものでしょうか?

大きな動きと、足を運んでの地道な動きの両方が必要だと思っています。大きい動きとしては、秋頃から全国チェーンの薬局に置いて頂くことが決まっています。全国に販路ができるのは大きいですね。あとは治療院さまとはいろいろな業者と連携をとりながら、自分で足を運ぶのも続けていきたいと思っています。スポーツショップさまにも置いていきたいという思いもあります。

大手企業に真似をして欲しい

-将来的にはどのようにしていきたいとお考えでしょうか?

日本でテーピングといえばキロテープというレベルまで、頑張りたいと思っています。そのためにはスピード感がほしいですね。でも、大手にはどちらかというと真似してほしいくらいです。キネシオロジーテープには合成繊維のほうが良いとされていますし、色々なメーカーが真似してくることで製品のレベル自体が上がってくるので、快適でノンストレスな世界になってくると思います。

それによってキネシオロジーテープ使う人たちがもっと増えていって、市場自体が大きくなると良いですね。弊社はまだ開発中のものもありますし、ずっと変化がなかった業界が僕らの存在で上がってほしいと考えています。そしてその中で、選ばれるような製品づくり、企業努力を行っていかなければいけないと感じています。

市場自体が上がっていって、五輪までの3年で急上昇できればな、と。選手や一般の方に対して、ちょっとした差が効果を変えるのではないかと信じてやっているところです。