競技特有の悩みも。村上・庄司ペアが語るビーチバレーの世界

2015.08.11 森 大樹

庄司憲右、村上斉

 

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選手生活を振りかえる。ビーチバレーならではの競技特有の悩みも

 

-ビーチバレーをしていた中で嬉しかったこと、苦しかったことを教えてください。

庄司:2人でやるスポーツなので、勝てば山分けという形でお金が入ってくるということです。これはモチベーションになります。

村上:資金という意味でも充実している方が、小さい子供達も夢を見られますからね。

庄司:勝てばメディアに取り上げられたり、周囲の人から褒めてもらえたりしますが、一方で結果が出なければお金も入ってこないですし、生活が厳しくなり、苦しいということに繋がってきます。今でこそプロチームが出てきたりもしていますが、それでもマイナースポーツなので、生活していくのは厳しいと思います。僕は今プロとしてやらせて頂いていますが、始めて2年間ほどは本当に苦労しました。

村上:やはり僕も生活面では苦労しました。1、2年目は毎日バイトをして生活費と遠征費を捻出していましたが、その中で練習量は減らしたくないという葛藤もあって、本当に倒れてしまいそうな生活をしていました。スポーツ自体は確かに面白いですが、厳しいということも間違いないです。

僕は今も自分だけで競技をできているわけではなく、いろいろな人との約束や応援で成り立っているので、五輪に出るということを早く報告したいと思っています。

また、違う観点ですが、ビーチバレーにはたくさんの駆け引きがあるというのも魅力だと思います。インドアの場合はとにかく速くて高い者勝ちの部分が大きいですが、ビーチバレーでは小さくてもいかにして相手の壁を破っていくのか、風を活かしてどのようなサーブを打ったらいいのかなど、相手が嫌がりそうなプレーをすることで、勝てる可能性があります。強いスパイクやサーブを打てていないけれども、勝てているということはよくあるので、駆け引きが特に重要です。

 

-プレーにおける自由度も高そうですね。

庄司:全て自分達で考えないといけないので、自由である反面、苦労する人もいます。でもその分それで相手を追い込むことができた時はすごく楽しいです。

 

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村上斉、庄司憲右

 

-天候によって競技が左右される面も大きいと思います。

村上:雨が降るとボールが滑ったり、重くなってしまったりすることもあります。ビーチバレーは天気が悪くなっても雷が鳴らない限りは基本的にやります。一度風速12mを超える風が吹く中やったこともあります。会場のテントも飛びそうになっていました(笑)

 

-天候でもう一つ、当然屋外競技なので日焼けをすると思うのですが、何か対策していることはありますか。

庄司:日焼け止めを一応塗りますが、汗ですぐに取れてしまうので、他に対策といっても帽子を被ったり、試合以外の時間は日向に出ないようにしたり、後のケアをしっかりやったりするくらいです。ケアとしてはサプリメントを飲んだり、水風呂に入ったりします。

村上:女子選手のように焼けたくないというのは男子選手にはあまりありません。でも日焼けすると体力を消耗するんです。ほぼ火傷のような状態になるので、その点はしんどいです。

 

-そうなるとシーズンとしてはもう少し涼しい時期の方がいいですか。

村上:本当はその方がいいです。

庄司:でも自分は普段から暑さに慣れている方だと思っているので、暑ければ他の人が先にギブアップしてくれていいと思うこともあります。

村上:特に外国人選手は暑さで集中が切れてしまいやすいです。やはり日本の暑さに耐えきれないみたいです。

 

-この時期は特に強い日差しに照らされて砂が熱くなっていると思いますが、何か対策をしていますか。

庄司:練習の時は靴下を履いています。試合の時は砂に水を撒いてもらえるので大丈夫です

村上:砂の熱さも場所によって違っていて、(※)川崎マリエンだと砂が白いのでそこまで熱くなりませんが、平塚や鵠沼だと砂に砂鉄が含まれていて黒く、熱くなりやすいんです。

川崎マリエン:川崎にあるビーチスポーツコート。

庄司:逆に冬場の川崎は冷たくて、平塚や鵠沼だと多少熱を蓄えてくれて温かいです。

村上:練習は雪でもやりますからね。川崎の場合、工業地帯の中にあるので、すぐに影になってしまってすごく寒いです。

 

庄司憲右

村上斉

 

ビーチバレーをしていなければ交わらなかったであろう、二人の人生

 

-ここからはプライベート部分について質問していきます。

-ビーチバレーをしていない時間の趣味はありますか。

庄司:僕らはビーチバレーを仕事にしているわけですが、世界一になるということ以外に決められているノルマがないんです。言い換えれば常に世界一に向かってやるべきことがあるわけです。その中で休みをもらってもそれが頭から離れなくて、どうしても時間の使い方がビーチバレーに関係することになってしまいます。本当は頭をリフレッシュさせることも大切だと分かっているのですが、時間があるとYouTubeでビーチバレーの動画を観たり、自分の体についての本を読んだり、ケアに出かけたりします。遊びに行くこともありますが、どうしても競技のことが頭から離れなくてソワソワしてしまいます。僕が遊んでいるこの間にも他の選手が練習して、実力を付けていると考えると落ち着きません。

村上:僕は所属会社にも週に1~2日出社しているので、1日オフということは基本的にありません。でも出社した日に雨が降っているとすごく嬉しいです。雨だと練習しない選手が多く、ライバルが練習し自分が練習していないという環境が生まれづらいですから。あとは普段ひたすら日に浴びているので、用事がない限り、家から一歩も外に出たくないです(笑)家にいる時は庄司と同じようにビーチバレーの動画を観たりもしますし、映画や漫画も好きなので、観たり読んだりして過ごしています。

 

-もしビーチバレーをやらなかったら何をしていましたか。

村上:僕は伝統工芸の勉強をする学校に行っていたので、指から先がすごく器用なんです。反面それ以外は不器用ということです(笑)もしビーチバレーをやっていなかったら、伝統工芸の道に進んでいたと思います。進路選択の時も迷ったのですが、体が動くうちにできることとしてビーチバレーを選びました。なので、もしかしたら引退した後に伝統工芸の職人をやるかもしれません。本当は今も作品を作りたいのですが、僕が専門としていたのは金属工芸で、作る時に音が出てしまうので、なかなかできないでいます。指の怪我が怖いというのもあります。

庄司:僕は子供の頃から体を動かすのが好きなので、体育の先生を含めて、そういった関係の仕事か、他のスポーツの選手になっていたと思います。

 

-お二人の異性のタイプを教えてください。

村上:料理が上手な人がいいです。芸能人でいうと有村架純さんが好きです。

庄司:僕はたまに練習もご一緒させて頂く、浦田聖子さんが綺麗だなと思います。

村上:練習しながらそんなこと考えているのか(笑)

庄司:もちろん練習には集中するのですが、お美しいです。スタイルも顔も麗しい感じが漂ってきます。

村上:でも本当に輝いて見えます。オーラがあります。

 

村上斉、庄司憲右

 

-少し照れくさいかもしれませんが、お互いの魅力を言い合ってもらえますか。

村上:先ほども言ったのですが、庄司は能力が高くて、全てのボールを拾いに行ってくれます。このままの方向性で練習を続けていけばすごいレシーバーになっていくと思える選手です。

あと、庄司のスパイクのスビードは日本で一番速いと思います。僕が強いスパイクを打てないので、うらやましいです。ただ自分が速いスパイクを打てなくてもペアで組んでいる人が打てるとすごく助かります。

庄司とは高校時代にインドアで練習試合もしたことがあるんです。ビーチバレーは僕の方が始めるのが早かったのですが、ユニバーシアード最後の勝負の年に代表の座を奪われた憎い奴でした。でも後から始めたにもかかわらず、努力して、登り詰めてきたというのはすごいですし、今では尊敬しています。

庄司:試合になると彼は気持ちが伝わる選手です。僕がもう足がつりそうで動けない時でも村上選手の声を聞くと勝手に動かされてしまいます。僕を動かし、導いてくれる選手です。

村上:僕は身体能力も技術も人より秀でているものは何もありません。あるとしたら、気持ちしかないですから、それを声で表現しています。

庄司:要するに彼の声に走らされているんです(笑)でも僕のいいところを引き出してくれるので、すごく助かっています。

村上:他の選手だと呼んでも来ませんからね。それでも庄司であれば無茶な要求もすることができます。

庄司:ユニバーシアードの代表の座を僕が奪った後に彼は日本選手権でチャンピオンになったというのもあって、お互いにもどかしさを抱えていた部分もあったと思います。彼は今でこそチームメイトですが、良きライバルであり、お互いを伸ばし合っていける存在です。

村上:今はこうして庄司と仲良くプレーをさせてもらっていますが、自分はビーチバレーを始める時に先輩から孤独な競技だと聞かされていました。たしかにペアであっても所属会社が違かったりすると所得にも大きく差が出たりすることもあります。そういう先入観がある中で3年間やってきたので、(※)川崎ビーチスポーツクラブに来て、今チームでやることの良さを感じています。大会会場でもチームメンバーと会うと男女関係なく、励まし合ったりします。

川崎ビーチスポーツクラブ:村上選手は同クラブの「フィナンシャル・エージェンシーWhite Sun’s」に所属。

 

-お二人はプライベートでも一緒に出かけたりしますか。

村上:この前映画観に行きました(笑)

庄司:あとは練習の後にご飯を食べに行ったりしますし、仲はいい方だと思います。

村上:そうでないペアの方が多いですからね。

 

-最後に読者へメッセージをお願いします。

庄司:ビーチバレーは観ていて面白いスポーツです。選手との距離も近いですし、ぜひ会場で盛り上がって一緒に楽しみましょう!

村上:日本で行われる大きな大会で、無料で観ることができる大会もあります。ビーチバレーは観たら絶対のめり込みますし、そんな試合を無料で観られるのはラッキーなことだと思うので、ぜひ一度観に来てください!

 

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