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アンブロの大型研究施設・DISCが取り組むギア開発の実態【PR】

2020.09.29 / AZrena編集部

“DISC”は、商品の企画開発力、質の高いモノづくりを競争力の源泉として強化に努めているデサントが構えるスポーツアパレルの研究開発拠点である。"世界一、速いウエアを創る"をテーマとして作られたこの施設で、アンブロデザイナーの西田氏にギア開発について話を聞いた。


<写真提供:デサントジャパン株式会社>

大阪・茨木に構える“DISC”をご存知だろうか。商品の企画開発力、質の高いモノづくりを競争力の源泉として強化に努めているデサントが構えるスポーツアパレルの研究開発拠点である。アスリートのパフォーマンスを高めるための研究ならびにそれに基づいた製品開発が行なわれているこの施設は2018年の7月に始動。動きやすさと快適な着用感を重視したアンブロが展開する“PRO TRAINING”シリーズもここで研究されている。

"世界一、速いウエアを創る"をテーマとして作られたこの施設で、アンブロのデザイナーの西田氏に本研究所でのギア開発について話を聞いた。

 

サッカーウェアの進化の歴史

ーサッカーウェアというのは近年で色々なものが出てきています。シルエットを始め色々と変化があると思うのですが、10年前に比べてアンブロはどういう進化をしてきていますか?

素材自体が10年前と比べると断然進化しています。ストレッチ性や糸の使い方もそうですが、はっ水機能や防風機能、速乾性などを付加するものが増えてきました。ここが大きく変わった点ですね。今で言ったら吸汗速乾はあって当たり前。ただ、10年よりもっと前は綿で作っていた時もありましたから。そういう意味でもここ10年で生地はかなり大きく変化しましたね。

ー海外のサッカーチームのユニフォームを見るとタイトなシルエットになってきているように思いますが、そこの辺りはどうでしょう。

タイトシルエットが主流になってきているのは掴まれないようにするという理由が大きいです。ただ、そもそも伸縮性が優れている生地が増えたというところで、タイトでも着やすくて動きやすくなりました。動きやすさを求めるが故にタイトになっていったという背景があると思います。

 

ーそんな中でアンブロはミニマフレックスという独自のパターンを開発しました。このミニマフレックスについて教えてください。

ミニマフレックス自体はデサントとして独自のパターンを活かし、動きやすさを追求したもの。これはパターンで動きやすさを出しているので、他社が真似できないものとして注目されています。単純に言えば「伸びる生地を使えばみんな動きやすい」という考えから作るのは他ブランドでもできること。ただ、うちの独自に“動きやすさ”を追求する1つの仕様としてのパターン技術というのは真似されないものなんです。

 

ー具体的にはどういうパターン技術になるのでしょうか?

サッカーだけではなく、基本的にノースリーブだったら動きやすいですよね。走るという動作がやりやすくなる。この動作はスポーツ全般でありますよね。サッカーではノースリーブ型のユニフォームがNGなので、ノースリーブのような着心地や動きやすさをパターンで追求し、袖ありのウェアに落とし込めないか、と考えました。結果、腕の上げ下げをスムーズにするために後ろ身頃と脇の下を1枚パネルで繋げる手法をとったんです。これで腕を上げた時、振り下ろした時の動作が行ないやすくなりました。

 

ーサッカーは足でするスポーツですが、ヘディングする時とか競り合う時とかは腕を使いますしね。ミニマフレックスはプロの選手にも採用されているんですか?

そうですね。アンブロではカテゴリー分けをしていて、プロの選手に着ていただく高貴なウェアということで“PRO TRAINING”というモデルがあります。そのアイテムに関しては全てではないですけど極力ミニマフレックスを搭載し、動きやすさを追求しているんです。

 

ーということはアンブロでいうとガンバ大阪やFC東京のユニフォームにも採用されていると。

そうですね。Jリーグ2チームにはミニマフレックスを採用したウェアを着ていただいています。

 

“PRO TRAINING”とは

ー先ほど西田さんがいろんなカテゴリーがあるとおっしゃいましたけど、その中でもPRO TRAININGについて教えていただけますか?

PRO TRAININGは元々アンブロの本国のマンチェスターでも存在したカテゴリーです。アンブロはオンリーフットボールブランドですので、プロサッカー選手のニーズに応えようとして作られた商材になります。日本でも本国同様にプロ選手の意見などを取り入れて制作している商材になります。欧州では当たり前だった5本指ソックスや防風性もあり撥水性もあるジャケットなど、過酷な環境下でもパフォーマンスの妨げにならない商材をこのラインで作っています。

 

ー2020年のSSからAWにかけてアンブロで作ろうと思っている商材のテーマがあれば教えてください。

今シーズンは“ステイフォーカス”というテーマを掲げています。「周りは気にするな、集中しろ」という意味です。サッカー選手なら誰でも経験があるかもしれませんが、試合前になるとどうしても集中したいタイミングがある。そういう環境を作ってあげるために気候などの外的要因をなるべく排除できるような商材を用意しています。今シーズンはインターナショナルと連動しているシルバーのカラーも用意しています。

 

ーやはりインターナショナルと連動すると。

そうですね。昔は少なかったですが、最近はインターナショナルで色々なチームと契約をしていき日本でも認知度が上がっています。もともとアンブロは日本のブランドではないので、最大限本社の力を借りて連動性を図っています。



ー社内で議論をする中で様々な意見が出と思いますが、今後はどういったウェアを作っていきたいと考えていますか?

「プロ専用」とは言っていますが、アマチュアの選手やほぼ毎日トレーニングをしている選手たちへターゲットを広げても良いのかなと思っています。いずれは、シューズやエキップメントにも反映することも考えています。しっかりとした裏付けと機能を持ったアイテムを生み出していければな、と。

プロ向きかどうかというのはマインドの問題で、プロを目指す人だけでなくそれに近い努力をしている人たちには是非着てもらいたいなと思っています。

 

無駄を省き、機能美を生む

ー西田さん自身もサッカーをされているということですが、その中で「こういったウェアが作れたら良いのにな」と思うこともあるのでしょうか?

ありますね。でも、ウェアには正直できることの限度があり、ほぼ出尽くしているかなと。アートフレックスとも被るのですが、僕らやプロの人たちはインナーを重要視しているんです。僕自身もそうなのですが、年を取るとアンダーウェアが1つキーになるのかなと。

 

ーそれは上も下も、ですか?

そうですね。もっと言ったらカーフタイツもですね。体に密着したものの裏付けってこういった施設がないと取れないので、アンブロとしても何か1つ大きく打ち出していければなと思っています。

 

ーインナーは重要ですが打ち出し方が難しいというところもありますよね。最後に、西田さんが常にアンブロのサッカーのデザイナーとして意識しているものを教えてください。

無駄なものを省いて機能を可視化することと、それが良いデザインになることの両立を心がけて作っていきたいですね。日本のデサント社が持っているノウハウをうまく融合させて日本らしいアンブロを作っていきたいなと。デサントが持っている機能美というところに1つフォーカスして物作りはしていきたいなと思っています。