JFA×アディダスが創る日本サッカーの未来「サッカーと繋がる選択肢は、選手だけではない」
JFA夢フィールドにて初開催されたJFAとアディダスによる特別イベント「JFA アディダス U-12 DREAM ROAD キャンプ 2024」。小学生を対象に、SAMURAI BLUE 森保一監督らによるサッカークリニックやadidas担当者の仕事紹介セミナーなど、JFAとアディダス両者の強みを活かした特別イベントの様子に込められた想いに迫ります。
2024年12月14日、JFAとアディダスによる特別イベント「JFA アディダス U-12 DREAM ROAD キャンプ 2024」が初開催されました。
JFA夢フィールドに集まった115名の小学3~6年生が、サッカーに関わるさまざまなコンテンツを一日を通して体験。SAMURAI BLUE 森保一監督らによるサッカークリニックや、adidas担当者やサッカー日本代表キットマネージャーが仕事を紹介するセミナー、元日本代表選手の夢の授業などが実施されました。
JFAとアディダスそれぞれの強みを活かし、子どもたちに夢を持ってもらうきっかけづくりを目的に開催された特別イベント。JFAとアディダスそれぞれの担当者の想いと共に、当日の様子をレポートします。
森保一監督ら豪華ゲストが登場!サッカーの知識を深める貴重な体験
快晴の下で迎えたイベント当日、続々と参加者が会場へ集まります。今回の舞台は、高円宮記念JFA夢フィールド。日本代表もトレーニングで使用する日本サッカー界の一大拠点です。
この日実施されたコンテンツは以下のとおり。豪華なゲストと共に、子どもたちはさまざまな体験を通して、サッカーに関わる知識を深めていきます。
グラウンドで実施されたサッカークリニックでは、スペシャルゲストとしてSAMURAI BLUE 森保一監督も参加。「コミュニケーションを大切に、ミスを恐れずチャレンジすること」を子どもたちに伝えました。
子どもたちに挨拶をする森保監督
クリニック終了後、森保監督は「この短い時間のなかでも上手くなってやろう、という気持ちをすごく感じた」と、子どもたちの姿勢を評価。
今回の取り組みについても「子どもたちの視野が広がる素晴らしい取り組みだと思う。サッカーには、する・見る・支えるといったさまざまな関わり方がある。しっかり将来の選択肢を伝えてあげることで、子どもたちも迷うことなく興味のあることで夢を追うことができるはず」と話しました。
ミニゲームでは子どもたちと円陣を組んでエールを送ります
午前に開催されたクリニックには波戸康広さんも参加
グラウンド横のロッカールームでは、アディダスジャパン株式会社 山口智久さん、高橋慶多さんとサッカー日本代表キットマネージャーの山根威信さんによる仕事セミナーが開催されました。
仕事セミナーの会場は、なんと選手が実際に使用するロッカールーム
山口さんから、シューズの製造から販売、プロモーションなどスポーツメーカーが担う役割について話があった後、山根さんが試合前後の準備や片付けの様子を実際の写真を見せながら紹介。選手としてだけではない、サッカーとの関わり方について知識を深めました。
日本代表スタッフの仕事について紹介する山根さん
また、元日本代表の波戸康広さん・田中隼磨さんによる夢授業も開催されました。プロサッカー選手として活躍するまでに経験した挫折とそれをどのように乗り越えたのかについて、実体験をもとに授業を展開。終了後には、子どもたちが自分の夢をノートにまとめる時間も設けられ、自分自身の将来を見つめる貴重な時間となりました。
子どもたちに向けて夢の大切さについて語る田中隼磨さん
普段は聞くことのできない貴重な話の数々に、子どもたちは真剣な様子で耳を傾けます
パートナーシップの在り方の変化とプログラムに込める想い
「未来を担う子どもたちがサッカーに関わる夢を持ち続け、生き生きとした人生を送ってほしい」という想いのもと開催された本イベント。JFA パートナー事業部・二瓶貴大さんとアディダス マーケティング事業本部・山口智久さんに取り組みの背景を聞きました。
ー今回、U-12世代では初の取り組みとのことですが、JFAとアディダスが連携して実施に至った経緯を教えてください。
二瓶:前提として、今後のパートナーシップの在り方を考えるなかで、各社様のニーズに合わせた形を創り上げていくことが大事だと思っております。アディダス様には、1999年から日本代表のオフィシャルサプライヤーとしてご支援いただいている背景があるなかで、どういった座組みを求められているのかを議論させていただきました。
今回はさまざまな選択肢の中から、U-12向けのキャンプという形で着地をしたという流れです。具体的には、パートナー各社をOne of them(大勢の中の一社)として捉えるのではなく、One by One(一社一社)で各社がそれぞれ求めるプログラムを作り上げ、パートナーニーズに寄り添うことが重要だと考えております。
山口:サッカー界の強化に対しての支援を考えたときに、これまではどうしてもトップ層に近い大学・高校年代に目がいきがちな現状がありました。そんな中、JFAでは宮本恒靖会長の就任前後から、4種年代(小学生年代)を重点強化領域として打ち出されています。
アディダスとしても、これまで取り組めていなかった第4種世代への支援を強化したいという考えがありましたし、幼少期に特別な体験をすることで、子どもたちの育成や競技レベルの向上にも繋がるという点で想いが合致しました。
子どもたちには取り組みを通じて、もっとサッカーを好きなってほしい、今後もサッカーと繋がっていたいと思ってほしいと考えています。そのため、ゲストに森保監督や元日本代表選手をお呼びするなど、普段過ごしている学校や日常生活では経験できないことを味わってもらえる内容を企画しました。
また、ボールを蹴るだけではなく、夢の重要性について授業をしていただいたり、選手を支える仕事を紹介したり、選手以外でもサッカーと繋がれる選択肢があると伝えられる機会を設けました。
ー近年は、業界全体として社会におけるスポーツの価値を高めていこうという動きがより一層高まっていると感じます。お二人が感じている変化などはありますか?
二瓶:時代が変化するにつれてSDGsやCSV経営に注目が集まるようになり、社会に対する価値を生み出すことが求められるようになったと感じています。パートナー企業の各社様と一緒に社会へ貢献できる活動をつくっていくことが、継続的なパートナーシップにも繋がると思っています。
山口:2023年頃からJFAさんを中心に舵を切って、価値共創の取り組みがキックオフされました。サッカーだけでなく、スポーツ界そして社会全体のことを考えたプログラムを展開することで、これからの時代を引っ張っていけるはずです。なかなか社会への貢献は目に見えづらい部分もあるなかで、今回のように形で示していくことも重要になっていくのではないかと思います。
ー実際に参加した子どもたちの様子を見ていかがですか?
山口:皆さんすごく楽しみにしてくださっていたとは思いますが、開会式のときには緊張している様子でしたね。ただ、プログラムが始まると真剣な眼差しに変わったように感じました。サッカーが大好きなんだなというのが伝わってきますし、帰る頃にはサッカーへの情熱がより高まっているといいなと思います。
二瓶:今回はサッカー経験者の子どもたちばかりですので、森保監督や波戸さん、田中さんとピッチで一緒に汗をかけるというのは、純粋に楽しい時間になっているのではないかと思います。お子さんを見守る保護者の方も、すごくキラキラした目をされているのが印象的でした。親子や家族で一緒になってサッカーを楽しんでいただけているのも、素晴らしい光景だと思います。
ー今後の展望についてお聞かせください。
二瓶:JFAとしては、まずはSAMURAI BLUEをはじめとした競技レベルの向上に、しっかりコミットしていきたいと思っています。そのうえで、仲間同士でのフットサルや歳を重ねても楽しめるウォーキングフットボールなど、人生を通してサッカーを楽しめる環境も必要になってくると考えています。
スポーツをする・見る・支える……いろいろな形で楽しめる環境をつくっていくことは、JFAとして理念に掲げている使命だと思っているので、しっかりとパートナー企業の皆さまと共に取り組んでいきたいと思っています。
山口:今こうして形になってきている活動を短期で終わらせるのではなく、より大きく強固にしていくことが大切だと思っています。企業としての利益などビジネス的な側面を越えて、スポーツ界全体の発展に貢献できるような取り組みを模索していきたいと思います。
取り組みへの想いを語っていただいた山口さん(左)と二瓶さん(右)
今回初めての開催となった「JFA アディダス U-12 DREAM ROAD キャンプ 2024」は、たくさんの子どもたちの笑顔と共に終了となりました。この日参加した子どもたちから、将来の日本サッカー界を担う人材は誕生するのか。JFAとアディダスは、日本サッカーの発展のためさらなる取り組みを展開していきます。