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スタジアム設備においてWi-Fiは"マスト"な投資。IT×スポーツの発展が観戦者の満足度を高める

2016.11.04 / AZrena編集部

スポーツ×ITという言葉を近年、よく耳にするようになったが、そうはいっても両者の関わり方というのは多彩である。現在、東京五輪に向けてのスタジアム・アリーナ新設の計画が進み、リーグの各クラブがサッカー専用スタジアムの建設に動いているが、その中で注目されているのがITソリューションを使ったスタジアムの利便性向上並びに体験の増幅化だ。

ただし、日本では本場の米国と比べるとその進みは遅く、"遅れている"という認知度も低いのが現状だろう。そんな中、MLBで80%、NHLで70%と北米での高いシェア率を誇る大型映像管理システムであるClick Effectsの日本市場における代理店である株式会社アセントとシスコシステムズ株式会社ならびにネットワンパートナーズ株式会社が協力し、10月26日に"スポーツ&エンターテインメント ITソリューションセミナー"が開催された。

 

スポーツ&エンターテインメント ITソリューションセミナー

 

本イベントは「エンターテインメント性を高めることによるファンサービスの強化から収益力の向上まで、今後のスポーツやエンターテインメントイベントに新たな可能性を提案する」という目的で行われた。特にスポーツやエンターテイメントイベントでのIT関連設備や、映像設備等によるシステムソリューションの紹介をメインとして、日本のIT×スポーツの市場規模や現状、並びにスポーツビジネスの"本場"である米国ではどのような取り組みが行われているのかが紹介されており、その事例は日本は見られることのないものばかり。その"海外事例"の紹介を担当したのはシスコシステムズ株式会社のスポーツ&エンターテイメントソリューショングループの日本市場を担当する野口広明氏だ。

同社は2012年のロンドン五輪,2016年のリオデジャネイロ五輪での実績に引き続き、来る2020年の東京五輪でもネットワークの分野でサポートをする企業であり、世界40カ国400箇所のスタジアムでソリューションを提供している。「米国中心だが、そこからヨーロッパに広がり、オーストラリアにも広がり、日本にもその波が来ている」と野口氏は語ったが、実際に西武ドームや楽天koboスタジアムのwifiシステムを担当すると同時に、Jリーグのスタジアムでもデジタルサイネージを導入しているとのこと。

 

野口広明氏

※自らNBAやMLBの球場、アリーナへ足を運び撮影した各会場で導入されている取り組みやシステムの動画を実感と共に紹介する姿は多くの観衆の目を引いた。

 

特に米国においてはスタジアムのwi-fi設営はデジタルマーケティング的な観点から言っても"マストな投資"であると認知されていると野口氏は語ったが、実際にスタジアムにおいてスマートフォンを使用しつつ観戦する人の割合は年々増えており、アップロードがダウンロードを上回ったという数字も出ていると言う。つまるところ、米国では多くの観戦者が球場での体験をSNSを通じてシェアしており、1人1人がそのチーム引いてはスポーツの"広報者"となっているのだ。そして、その事実を球団側は見逃さず、自チームの情報が広く世に拡散されるためのプラットフォームづくりの一環として、wi-fiの導入を行っている。

 

スポーツ&エンターテインメント ITソリューションセミナー

 

その他にも専用アプリを開きながらスタジアム内を周遊している中、スポンサーの売店の前に来るとその位置情報を認識してアプリにクーポンが表示されるというような購買促進事例も紹介されたが、米国ではこういった仕組みは枚挙に暇がない。

スタジアム内でスポーツ観戦することで得られる感動や興奮の体験を広げ、スポーツの魅力を多くの人に伝えつつ新規のファンを増やすためにITの力は欠かせない。ここで紹介したのはわずか一例であるが、世界各国ではまだ広く知られていない取り組みが多くある。それらを知ることで日本のスポーツにまだ発展の余地があるということを実感できるはずだ。

関係者によると、今回のようなセミナーは今後も開かれる可能性があるという。ぜひ、各社の動向を追い続けてもらいたい。