【後編】海外プロテストという名の“道場破り”。1勝14敗の元ボリビアリーガーが説く、挑戦の大切さ

2015.06.09 AZrena編集部

バルディビエソ、菊池康平

ボリビアを94年アメリカW杯に44年ぶりに導き、Jリーグ・横浜マリノスでもプレーしたバルディビエソ氏(左)

 

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満員のスタジアムでプレーしたい気持ちは変わらない

 

-海外で生活する上では特に食事面で困る人が多いと聞きますが、そういった部分での苦労はありましたか。

僕も食事に関して苦労することがありました。

まずインドにいた時のことです。インドは本当に毎食カレーなんです。最近インドに行った時に滞在していたチームの寮でも、やはり食事はカレーとナンが基本で、たまに出てくるパスタやピラフも全部カレー味でした。さすがに毎食カレーは飽きますよね(笑)

あとはモンゴルにも行ったのですが、そこでは基本的にラム(羊肉)が中心で、ハンバーガーやサラダなど、あらゆるものに入っていて、独特の臭いがするので滞在中はしんどかったです。

一方シンガポール、マレーシア、タイなどは食事面に関して問題はなかったです。

 

-食事面以外で苦労したことはありますか。

ボリビアで激しいプレーを受けて捻挫をした時のことです。病院に行ったところ、なぜか注射を打とうとしてくるんです(笑)さすがに目的の分からないその注射は怖かったので、絶対やめてもらっていました。病院の建物自体もボロボロで壁に穴が開いているような状態です。そこで治療してもらうこと自体が不安なので、仕方なく氷を買って自分で冷やしたりマッサージしていました。

インドの田舎にいた時には約40度の熱が出てしまいました。それが1週間ほど続いたのでさすがに身の危険を感じ、病院にも行きましたが、やはり衛生面が不安だったので、体調の悪い中飛行機でカルカッタまで出ることにしました。その間にも6、7回は吐いてしまったと思います。せっかく苦労して行った病院でも血液検査のための針をうまく入れてもらえず、結局自身を含めて4人がかりで採血を行いました(笑)結局その病院に入院してから3日経っても血小板の数値が下がらず、このままだと明日には死ぬ危険性があるから家族を呼ぶように言われたりもしました。それもヒンドゥー語を交えて言ってくるので始めはよく分からないんですよ!もうパニックですよね。数値が下がって本当によかったです。

海外でのケガと病気に関しては対処が難しい部分なので、地域にもよりますが覚悟が必要だと思います。

 

-反対に海外生活で嬉しかったことを教えてください。

今までの競技経歴を聞かれることはありますが、サッカーにおいてはフラットな目で見てもらえるところです。例えば元Jリーガーであってもなくても、先入観なく、純粋にプレーの良し悪しをしっかり見てもらえます。特段目立った競技経歴のない自分にとってはよかった部分だったと思います。

 

菊池康平

外国人選手に混ざって練習参加する菊池さん(一番左)

 

-昨年に人材関係の会社を退職してアジアの国々へチャレンジされてますが、その理由を教えてください。

ボリビアから帰ってきてからも休みを利用して、海外挑戦は続けてきました。同時に貧しい国に行く時は古着やボールなどを届けにいくような活動をしていました。

会社はプロとして1年海外でプレーすることも許してくれましたし、社内で海外での体験を話す講演をやりたいと言った時も実現させてもらったので感謝しています。

しかし、アーティストや活躍されている方々とフットボールを通して触れ合う中で、たくさんの人の前でプレーをするという自分の夢をだんだんと思い出していきました。そこでもう一度夢を掴み取りに行きたいという気持ちが抑えきれなくなり、思い切って会社を辞めることにしました。昨年の6月のことです。一生懸命に前だけ向いてチャレンジしていけば、万が一、海外で夢を掴むことが出来なくても、生きていけるという自信があったので退職しました。

 

-もし今後、挑戦した国でプロ契約の話が出たら、どのような選択をしますか。

もちろん今でもその夢は持ち続けています。長期戦ではなく、1試合だけの契約でもいいので、満員のスタジアムでプレーしてみたいという気持ちは変わりません。現在行っている今までの経験を書いたり話したりして、子供達などに伝える活動もやりたかった事なので継続していきます。いつの日かまた短期決戦でチャレンジ出来る様に身体だけは動かせる様にしておきますよ。

 

-これから海外に挑戦するサッカー選手にアドバイスをお願いします。

まずは自分の体が一番です。無理しすぎると僕の様に思わぬしっぺ返しに遭う可能性もあるということを頭に入れておいた方がいいです。自分を客観視しないで無謀なことをするのは違います。もし海外に行くのなら、これだけ情報が発達している世の中なので、ある程度調べていくべきだと思います。無謀とチャレンジは違うという事を伝えたいです。

あとはまず行動してみることが大切です。現地に飛び込みで行き、交渉して練習参加して失敗しても、その経験はまた次に活きてきます。

最近、この国であれば僕のレベルでも通用しますか、といった質問が来ますが正直それは分かりません。いろいろ質問をしてくる人は結局行かなかったりするものです。聞くことも大切ですが、まずは自分で行動してみるところから全てが始まるんですよ!

 

菊池康平

日本サッカー協会が主催する「夢先生」としても活動し、自らの体験を子供達に伝えている

一歩踏み出すことで、次への扉がまた一つ見えてくる

 

-今後の目標を教えてください。

自分が様々な国で体験してきたことを子供達やこれからチャレンジしようとしているより多くの人に伝えていきたいです。

そして今すぐではないですが、1試合だけでもいいので満員の観客の前でプレーするという夢を叶えたいですね。

 

-ここまでは選手としての部分についてお伺いしてきましたが、プライベートについてもお聞きしていきたいと思います。

-まず、菊池さんはサッカーをしていなかったら何をしていたと思いますか。

卒業文集に書いていた昔の夢が作家かサッカー選手でした。別にギャグではありません(笑)昔から国語が好きで、本をよく読んでいました。そこから作家として自分で書いてみたいと考えていたのでしょう。なので、作家を目指していたと思います。最近はありがたい事に文章を書かせて頂く機会が少しづつ増えてきたので、いつの日か作家兼サッカー選手になれたら最高ですね(笑)

 

-時間がある時にしている趣味を教えてください。

本を読みます。人物伝が好きですが、ビジネス書も読みます。最近は心理学系の本が面白いと感じていますね。週に2冊は読んでますよ。他にはフットサルをして、仲間とお酒を飲んだりします。あとはチームメイトのライブに行ったりもしてますね。

 

菊池康平

 

-菊池さんが思う、ご自身の魅力を教えてください。

何でもまずはやってみるという行動力です。当然失敗することもありますが、命を失わない限りそれで僕が失うものはないと思っています。失敗はプラスになって自分に跳ね返ってくるものだと考えています。次やった時は前回よりうまくできるはずですからね。

 

-最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

僕はアポなし海外挑戦を道場破りと呼んでいます。「道場破りをしたら、何かが起こる」といつも言っています。実際に現地に行けば人との出会いや想定外のハプニングが起きたりします。もちろんいいことばかりではないですが、一歩踏み出すことで、次への扉がまた一つ見えてくると思うのであらゆることに挑戦していくことが大事だと思いますよ。ありがとうございました!

 

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