「日光にはアイスホッケーがある」TKC・角一幸会長が語るスポンサーシップ

2020.07.22 AZrena編集部


<写真提供:株式会社TKC>

栃木県日光市に拠点をおく日本で数少ないプロアイスホッケークラブ、H.C.栃木日光アイスバックス。クラブ創設以来多くの輝かしい成績を残してきた一方、資金難から廃部の危機にまで追い込まれたことも。

そのアイスバックスを長年スポンサードし続けているのが、情報処理サービス業を展開する株式会社TKCです。

長く続けてきたからこそわかる、スポンサーシップの価値とは何なのでしょうか。「人的リソースの面や地域における理解度では、成果は必ずある」と話す角一幸(すみ・かずゆき)取締役会長の考えとは。

(取材日:2020年6月23日 聞き手:小泉真也、竹中玲央奈)


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アイスホッケーは、栃木に深い根を持つスポーツ

全国的にみると、アイスホッケーはまだまだマイナーな競技です。ですが「日光にはアイスホッケーがある」というのがひとつの合言葉になるくらい、ここでは根付いています。

もともと、アイスバックスは古河電気工業株式会社(以下、古河電工)の企業チームとしてスタートしています。日光から近いところに古河電工の工場があり、そこに社員向けのアイスリンクを作って、後にアイスホッケーチームが誕生したという流れです。私が高校生くらいまで、日本ホッケー界では常にトップを争うような強豪チームでした。


<写真提供:株式会社TKC>

弊社がスポンサーに至ったきっかけは、2つあります。ひとつは、親しくさせていただいている方々からお声がけいただいたことです。

もうひとつは、われわれの事業と関係しています。売り上げの約4分の3が会計事務所を通じて企業に提供する財務システムサービス事業で、残りが市町村を対象とした行政システムサービス事業によるものです。日光市も含めて、県内多くの市町村がうちのお客さんなんです。そういったことからスポンサーの要請をいただき、当社としても応援していくことを飯塚真玄現名誉会長(当時2代目社長)が決めました。

 

地域での存在感。圧倒的なスポンサーメリット

TKCは、栃木県に生まれ栃木県で育った会社です。約2,500人の社員のうち、約半数が宇都宮で仕事をしています。多くの社員とご家族が栃木県で生活しているので、地元地域への貢献もしっかりしてやっていきたいという思いがありました。

株式上場するときに、「全国で戦っていくなら本社を東京に移した方が良いのでは」というアドバイスをいただいたこともありました。でも、創業者がそれはダメだと。それから30年以上にわたり、栃木県に根ざして仕事をやることにこだわってきました。その甲斐あって、全国採用をしていても約2割の新入社員が栃木県内から来ています。

 

地元に根付く会社として、スポンサーという立場から地域スポーツのワクワク感や、負けた悔しさを乗り越えての感動を提供するお手伝いができていることには、とてもやりがいを感じています。

TKCのビジネスは、BtoCではなくBtoBやBtoG(government:政府)が多いです。広告宣伝に費用をかけても、事業の業績には影響を及ぼさないんですよね。でも、採用面や地域における認知度では、成果は必ずあると感じています。まさに地域社会における存在感。これは圧倒的に大きいです。

おかげさまで、栃木県内ではコンピューターサービスを提供している会社だと知られるようになった実感があります。新卒の応募動機を見ていても、「親が『TKCさんなら安心だ』と言ってくれる」といった声も多く見受けられました。

いくらお金をかけて宣伝したとしても、簡単にこの効果は得られません。これまでの積み重ねが、成果に繋がっているのだと思います。われわれの事業が順調にいく限り、ぜひスポンサーを続けていきたいですね。

 

長期的な視点こそが、成果に繋がる

社員やその家族向けに、スポンサードを活かした様々なイベントも開催しています。例えば、夏にはバーベキュー大会、冬には餅つき大会があります。バーベキュー大会は日光にあるキャンプ場を貸し切って、約500人規模でやっています。

ここには、アイスバックスの選手や、弊社がスポンサーをしている栃木サッカークラブ(栃木SC)の選手も参加してくれます。そこで選手と触れ合い、「試合を観てみたい」と言う子も多いですね。くじ引き大会の商品としてグッズをチームから出していただいていますが、これも子どもたちにとても好評です。

アイスホッケーについては、マイナースポーツだからこそ、選手との距離感が近いのは良いところです。社員の中には、試合を観に行っているうちに選手と仲良くなって、結婚した人もいるんですよ(笑)。

 

また、社内外の人に、当社がこういったスポンサー活動をしていることを知っていただけているのもとても嬉しいです。すぐに結果が出るようなものではありませんが、長期的に見て企業イメージを向上させることができました。

創業者は、「その鳥を狙うな」とよく言っていました。

猟師が鳥を狙うとき、「鳥を狙う」のでは弾が届くころには飛び去ってしまう。「鳥が飛ぶ方向を予測して打て」という意味合いです。

ビジネスでも同じです。常に目の前のものを狙っていても、未来は開けません。今後スポンサーシップを考えている企業の方がいれば、長期的な視点を持ってみていただきたいです。

 

ともに楽しみ、苦しみ、乗り越える

新型コロナウイルスによる影響によって、さまざまな価値が見直されています。例えばテレワークなど、コロナ前には誰もこんな働き方になるとは想像していませんでした。でもやってみたら意外と良いところもあると感じた人も多いと思います。

100%元に戻すことは、すぐにはできないと思います。だからこそ今見出されている新たな価値を、コロナ後も大切にしていきたいです。

 

確かに苦しい状況ではあります。かといって、スポンサーを降りるといったことは考えてもいません。繰り返しになりますが、スポンサーシップは長期戦です。今逃げるわけにはいかないんです。そのくらい、価値があるものだと思っています。

 

試合という舞台で見えるものだけが、スポーツではありません。トレーナーがいて、コーチがいて、運営を支えるスタッフがたくさんいます。そして何より、ファンもひとつの重要な要素です。

今はほとんどが無観客試合で、しょうがないとはいえ、スポーツの重要な要素がかけている気がします。やはり目の前で応援されている方が、選手も気合いの入れ方が違うと思うんです。まだまだ厳しい日々が続きますが、みんなで力を合わせて、今の状況を一緒に楽しんで、苦しんで、乗り越えていきたいと思っています。