インターンから正社員へ。スポーツへの熱い想いで地元Jクラブに就職

2016.05.15 竹中 玲央奈

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「仕事が本当に楽しすぎて、辞めたいと思ったことも、勤務時間が長いことに対して嫌だと思ったこともありません」

(山地渚 株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ 事業部・チケット担当)

熱狂と興奮を生み出すスポーツを愛する人は世の中に多くいる中、その世界に身を置いて働きたいと思う方もたくさんいるはず。では、どうすればこの業界に入れるのか?間違いなく世に多くあふれているこの疑問に答えを出すための特集記事がスタート!記念すべき第1回は明治安田生命J1リーグに属するプロサッカークラブ・ヴァンフォーレ甲府で職員を務める山地渚さんです。

スポーツを仕事にした理由

元々私は陸上をやっていて、中学時代にバスケ部を一度はさみ、進学した筑波大学では水泳部のマネージャーをやっていました。体育会部活に所属するとプライベートも限られるのですが、日本一を目指して真剣に頑張っている選手たちを支えたいという思いがあったのでマネージャーを頑張ることができました。その思いは今にも繋がっていますね。

スポーツ界に進みたかった理由は、それ以外に関わっている自分が想像出来なかったからです。就職活動では、スポーツメーカーやスポーツクラブ、あとはマネジメント会社、マスコミ系を見ました。でもその中で、「何か違うんだよな」と思っていたんです。やっぱり自分は今まで部活でトップアスリートをサポートしてきたので、そういう仕事をしたいな、と。漠然とですがそう思っていました。

でも、ヴァンフォーレに入ることが出来たのは本当に“たまたま”です。実は就活が全然ダメで。私が就活をしていた頃は大学3年生の10月からがスタートだったのですが、翌年の5月の時点で選考に残れている会社が1つになってしまったんです。そのときは「最後の1つがダメだったら大学に残ろうかな」とも思いました。そんなときに、私が授業でお世話になっている先生がヴァンフォーレの会長と繋がりがあるということを聞きました。その先生の授業はスポーツ界のいろんな分野の方々に来てもらい、それぞれの経験を語って頂くというものだったのですが、ヴァンフォーレの会長が授業に来るということを聞いたときに、実は職員を1人探しているということを教えてくれたんです。スポーツ界を目指していて、かつ山梨県出身だったこともあり、教授が会長に私のことを伝えてくれました。

授業の後、教授にその会長との食事に連れて行ってもらい、スポーツ界で働きたいということを伝えたら、インターンシップに誘われました。会長に会ったのが6月末で、インターンへ行ったのは7月中旬。この時点で先に話した最後の1つの企業の選考がダメだと分かっていたので、ここでのインターンが最後の就活かなと思って行ったんです。

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外国人のお客さんにチケット案内をする山地さん

採用にあたって聞かれたのは彼氏の有無!?

ヴァンフォーレのインターンでは参加期間内に1度、ホームゲームの運営に入ってもらっています。ホームゲームがクラブにとって最大のイベントであり、ホームでの勝利はもちろん、来場者に楽しんでもらうためにたくさんの方に関わっていただき試合を開催しているので、準備をする中で何をやるかというのを理解してもらいたいというのがその理由です。私が働いたその週には年間シート会員様向けの発送作業や選手が小児科病棟に出向いて行う慰問交流会の手伝い、トップチームの練習現場に行って、選手にサインをもらうなど、色々とやらせてもらいました。そんな業務を経て、最後にホームゲームを迎えることになったんです。

実は、私は陸上競技をやるときの山梨中銀スタジアム(ヴァンフォーレ甲府のホームスタジアム)は知っている一方、サッカーのスタジアムとして使われているのは見たことがありませんでした。ヴァンフォーレの試合は1度も観たことがなかったんです。

ですから、それが自分にとっての初めてのヴァンフォーレの試合。そこでテントや看板などを設営して、会場が出来上がったときはすごく感動しました。さらに1万4千人を超える観衆が集まったG大阪とのその試合に4-3で勝利を収めたんです。2点取られて、追いついて、取られて、逆転して、というものすごく痺れる試合でした! ちなみに、ハーフナー・マイク選手(日本代表、現ADOデン・ハーグ所属)が在籍していたときです。何もない0の状態からこれだけの人が集まって、試合にも劇的に勝って、観客が最高の笑顔で喜んでいるのを見てすごく泣いてしまったのを覚えています。1週間しか手伝っていないのに(笑)。そんなこともあって、「インターンを終わってもここに絶対に残りたい」と思いました。

 

その後、9月にもう1度インターンに来て、そのときも変わらずアピールをしまくりました。ただ、実は会社としては男の人が欲しかったみたいなんです。そのインターンのときは他の大学のサッカー部の男の子も含めて5人いたのですが、“ここでは絶対に負けていられない”と強く思って、社員さんに仕事を与えられる前に自分から仕事を探す姿勢で必死に取り組みました。その結果、面接の機会を与えて頂き、採用してもらったんです。

ちなみにですが、インターンが終わるちょっと前くらいに会長と話していて、『彼氏はいるの?』と聞かれたんですよ。当時はいなかったので「いません、そんなの全然!」と答えました(笑)それは、すぐに結婚するかどうかという意味だったんです。男性もあるかとは思いますが、女性は特に結婚して仕事を辞める人もいる。“採用するとなったらその後も仕事を続けていけるかどうか”を確認したかったということです。人を採る側からすれば、長く仕事を続けてほしいんですよね。それはどこの会社も同じことだと思いますが、その質問から会長のユーモアに暖かさを感じました。

 

チケット販売以外に、営業も企画も

 

私の業務は基本的には試合のチケットを売ることです。前売り券や招待券などチケットも種類は色々あるのですが、そういうものを準備したりします。例えば、“この試合は、クラブサポーター会員が何人いて、招待券を何枚出しているから残りのこれだけ枚数のチケットが売れる”というのを計算して、票券管理をしてもらっているローソンチケットさんに、“この試合はどの席種のチケットを何枚売って下さい”というのをお願いしたりします。チケットに関しては販売報告が毎週来るのでそれを見つつ、天候・対戦相手・キックオフ時刻・過去の来場実績や曜日と照らしあわせて“この試合はこれくらい入る”という観客入場者数を予想し、関係各所に報告します。

お客様からお金をいただいて、席を提供するわけですから、責任も大きいです。チケット担当として一番悩ましいのは、試合当日チケット売り場の目の前でダフ行為(転売)をする人がいるのでそれを注意しに行くことですね。悪意があって金銭のやり取りをしようとする人には、怖い顔をしてガツンと注意できるのですが、「招待券が余っていてもったいないから」と善意で譲ろうとする方もいるんです。お気持ちは非常に嬉しいしわかるのですが、チケット売り場では当日券の販売をしています。お金を払って見に来こようとしている方にそれを許してしまうと入場料収入が減ってしまいます。招待券が余った場合は、自分の知り合いを誘って事前にお渡ししていただきたいんです。そうすればスタジアムに来る人も増えることになりますからね!

 

チケット以外の業務ではスポンサー企業様へ営業に行ったり、個人だけでなく法人もある年間シート会員様のところへ更新のお願いに行ったり、新規加入のお願いもします。また、ヴァンフォーレ甲府は甲府市、韮崎市を中心とした27市町村をホームタウンとしています。各市町村に協力してもらって開催する“ホームタウンサンクスデー”があるときは、それに向けて自分の担当市町村と打ち合わせをして試合の準備を進めます。

集客の面でも、スタジアムを満員にするための施策を話し合って具現化するということもやっています。例えばチケットの割引をやるとか、スタジアム場外にミニステージを出してエンターテイナーを集めたショーをしたり、昨年は場内イベントで芸能人が中心のサッカーチーム・SWERVESさんを呼んでヴァンフォーレ甲府OBチームと前座マッチをしてもらったり、ですね。あとは、インターン希望の学生の受け入れや日程調整もやっています。

 

 ”事業部”という役職ではありますが、企画もするし販売もするし、営業もするので、「なんでも屋」というかんじでしょうか。社員みんなが同じように働いていますが、なんせ人数が少ないので勤務時間は長いのは間違いありません。自分では忙しいとは思わないのですが…。それに、やっていて苦ではないですし、楽しいんです。仕事が本当に楽しすぎて、辞めたいと思ったことも、勤務時間が長いことに対して嫌だと思ったこともありません。

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当日スタッフへの指導も

運を引きつける力は、人を惹きつける力

 

スポーツ界に向いている人材は、向上心があって、ポジティブな人。もっとクラブを良くしたいという思いを持っている方や、それに向けて具体的に動ける方が向いていると思います。『何の為に働くのですか?』と聞かれて”生活するためにお金が必要だから”と答えるのか、“人生を楽しむために”と答えるのか。どちらかと問われれば後者の感覚です。休みは少ないかもしれませんが、私にとっては少ない休みにやりたいことを詰め込むので、休みも非常に充実しています。逆に休みが多いと、私は何をすればいいんだろう?と思うこともあります。家でずっと寝ているのは好きではないので(笑)

あとは本当にタイミングが重要です。私の場合、もし1年ずれていれば入れなかったと思いますし、実際に自分が今インターンの担当をやっていて感じるのは、結局そこから直接人を取るという流れがあまりないことです。ゆくゆく人材が必要になったときの選択肢の1つとして、“そういえばああいう子がいたよね”という形で採用候補として掘り起こすということはあるかもしれないのですが、私のようなタイミングで入社できた人は本当にいないんです。

なので、私は運が良かったのかなと。そして、そういう運を引きつける力は人を惹きつける力でもあるのかもしれません。自分で言うのも変ですけど(笑)。でも、そういう力がこの業界に入るためには必要だと思います。

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