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元甲子園球児の高校教師がプロバスケチームの社長に。阿久澤毅が「ずっと大切にしているマイルール」

2024.06.07 / AZrena編集部

プレーヤーやマネージャー、経営者などスポーツ界で活躍している人々それぞれが持っているマイルールや座右の銘、こだわりなどを「5つ」紹介していただき、それについて語っていただく企画「Philosophies -5つの哲学-」。

今回は、Bリーグ・群馬クレインサンダーズの代表取締役社長・阿久澤毅さんです。元甲子園球児で、前職は約30年間高校教諭を務めながら、野球部の監督として指導もされていました。定年目前の59歳で、プロバスケットボールという異業界への転職を決意された阿久澤さんに、高校野球指導者時代から大切にしている「5つの哲学」を挙げていただきます。

(取材日:2023年7月27日)

1.感謝する

何においても感謝から始まると思っています。このお仕事をいただいたのもいろいろな偶然やご縁が重なったからです。

今ご協力や支援をいただいている人たちは、かつての教え子や知り合いが多かったりするんです。「昔、先生に教わったんですよ」と言われて、あの時のあの子だったんだと。びっくりしますよね。

そういう偶然で出会った人と、時を経て再び出会えることがとても嬉しいです。そのようなつながりがどんどん増えていて、本当に日々充実しています。

―お仕事に活かせているのがすごいですね。

チームやプロバスケットボールの普及活動と思って動いています。とにかく試合を見に来てくださいという一心で、みなさんに接していますね。

というのも、まだまだ認知度が低いと思うからです。このチームやプロバスケについて知っている人は、群馬において10%くらいでしょう。新アリーナもバスケ好きの方はすごいものができたと思ってくれていますが、存在すら知らない方が結構います。ですから、やりがいがあると思っています。

2.振らなければ当たらない

高校教諭時代の30数年間、野球部の監督をやっていまして、この言葉は子ども達にずっと言ってきました。当たり前のことですが、とにかくバットを振らないとボールは当たりません。

だから、まずは当たらなくてもいいからバッドを振ってみよう、そこからがスタートだと、子ども達の背中を押してきたんです。バッターボックスに入ったら、この気持ちをしっかり持つことが大事だと思っています。

―ほかに、意識されていることはありますか。

今は、大人が子どもに野球を教える時代になっていますが、私たちの頃は教わるのではなく、最初は自分達でやってみることが始まりだったんです。最近の大人は、子どもに失敗させたくない、より良い結果を求めたいと、つい先回りをしてしまう。そうすると、「〜するべからず」だらけになってしまうんですね。

結果、子どもは自由に動けなくなります。三振はダメですよ、ではないんです。最初は当然、力量がなかったり、うまくいかないことがほとんどですが、とにかく振ることから全てが始まるのです。

このお仕事を引き受けたのも、自分も打席に立って振ってくるよ、という気持ちもありました。

3.勝負は七、八、九。

野球の話です。勝負は、7回、8回、9回で決まる。つまりは終盤がいかに大切かということです。バスケットボールを観ていましても、やっぱり第4クオーターに、多くのことが凝縮されています。そこをしっかり競うっていうのがバスケットボールの面白さであり、見る人にとっての楽しみだと思います。

終盤が勝負というのはもちろん、競い合った場合のゲーム展開という意味です。ですから、前半に一方のチームが大差でリードしていたら、そうはいかないですね。

7回以降をしっかり意識するということは、私自身の人生にも当てはまります。私は定年目前に転職しましたので、7回どころではないですね。9回裏ツーアウトくらいから勝負に出たということです。

―大きな決断だったのではないですか?

全然、迷わなかったです。スーツを着る仕事にちょっと憧れもありました(笑)。教員だと毎日ジャージでハーフパンツですからね。ですが実際は、ジャージの方が気楽でいいですね(笑)。

4.よしっ! 次だ!

過去のことでくよくよしない、ということです。時間はどんどん進みます。もちろん反省は必要だと思いますが、そこにいつまでも引きずられてはいけないと思います。

また高校野球の話で申し訳ないですが、夏の県大会予選で敗退してしまった野球部は、代が入れ替わります。最上級生は引退し、2年生が主力になるんですね。彼らは、キャプテンは誰になるのか、自分はレギュラーになれるのか、手ぐすね引いて待っているわけです。

では監督はどうしたらいいんだろう、と思ったんです。正直なところ、私だって一旦リセットという形で夏休みが欲しい。でも、2年生がいる。ですから、そのタイミングで「よしっ!次だ!」と気持ちを切り替えることにして、翌日から練習を始めていました。

これだと不安がなくなるんです。逆に休みを取ったら取ったで不安になるので、だったら動いた方がいいという結論に至りました。30数年間、ずっと心に決めてやってきました。大事なことだと思います。

―たしかに大切なことですね。ただ実際は簡単に切り替えられない人も多いと思います。そのように考えるようになったきっかけはありますか?

そもそも、私は公立校にいたので、私立の学校に勝つための方法を考えたのがきっかけです。勝ち残ることが多い私学は7月末まで試合をやっています。ならば、その間がチャンスだと思ったんですね。夏休みにガーッと練習するんですよ。そうすると、私学とちょっと差が縮まるんです。

そこが秋の大会の結果につながるんですね。僅差のゲームができたり、勝つ可能性が増えると考えて、意識を秋に置いていました。

―高校のバスケ部もそうですね、早くてインターハイの予選前、5月上旬に引退となる学校もあります。プロの世界でも、翌年は全然違うメンバーで戦うチームもありますね。代替わりが早いほど、次の代への準備期間を長く取れると考えると、確かに切り替えやすくなりますね。

そうです、次に行くことが勝ちにつながります。もちろん、反省すべき点は反省しつつ、それでも、選手は常に次のことを考えてほしいです。

5.1/9でも3割バッター

この言葉だけ見ると、計算したら3割にならないですよね。打率とは、安打数÷打数で算出するもので、打数とは打席数から四死球、犠打、打撃妨害(捕手が打者または打者のバットに触れるなどの妨害)、走塁妨害の数を除いたものを指します。

このことを踏まえて、ひとりの選手が3打席立つとしましょう。1打席目、3球三振。2打席目も同じ。そして3打席目、2ストライクで最後の1球が安打になりました。結果は3打数1安打です。8球打てなかったとしても、9球目をものにしたことで3割バッターになれたのです。

普通の人は、チャンスは3回しかないと思いがちですよね。ですが実際にボールを打てるのは9球もあると思うと結構楽になれると思います。3割バッターになるのは、そんなに難しいことではない。そんな考え方を持ったほうがお得ですよね。

変化球や、そもそも打てないボールもありますから、気持ちを楽に挑んでいただきたいです。

―社員の方にもそうお話しているのですか?

言っていないです(笑)。20年以上前に数学の先生とお話をしていて思ったことなんですよね。なるほどと思って、そのような考え方を持つことにしました。

―打数を1年に置き換えてもいいですよね。チャンスは365日もある。失敗や目標達成できない日が続いても、うまくできた日があればマイナスは覆せるということになりますね。では最後に、来シーズンの目標をお願いします。

ホーム戦30試合、アリーナを全て満員にする!これを目指したいと思います。あとは、選手にお任せします!

※コメントは2023年7月27日時点/2023-24シーズンの結果は東地区4位

AZrena公式YouTubeでインタビュー動画を公開中!