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【後編】自身初の世界一に輝いた石田太志。次なる目標は、フットバッグ界の殿堂入り

2014.09.19 / AZrena編集部

石田太志

 

【前編】はこちら

 

自身初の世界一に輝く

 

-いよいよ今回のフットバッグ世界大会の「shred30」部門で世界一を獲ったことに触れたいと思います。正直自信はありましたか。

フットバッグを始めてから世界トップ10入りが僕の長年の夢でしたので優勝する自信は全くありませんでした。フットバッグは知名度が無いですが、今回の優勝は先日のテニスの錦織選手が全米オープンを優勝するくらいのものではあります。

 

-また、今回はクラウドファンディング(Makuake)にて資金を集め海外に挑戦する。という石田さんにとってはある意味海外に行くことからの挑戦だったと思いますが、クラウドファンディングで目標額を達成した時はどのような思いでしたか。

今まで何度も資金難により世界大会出場を断念してきました。今回はクラウドファンディングで皆様から少しでも支援して頂けたら世界大会に行けるのではと思い、活用させて頂きました。正直初めは皆様から支援金を頂く事は難しいのではと思っていました。しかしスタート時から凄い勢いで皆様に支援して頂きあっという間に目標額を達成する事が出来ました。予想を反しての事でしたので「こんなにも応援してくれる人がいるのか」と思い世界大会を頑張ろうという気持ちがより強くなり気が引き締まりました。本当に嬉しかったですね。

 

-そんな中での大会はより一層の重圧がかかるような気もします。実際そうで無くてもミスするプレーヤーがいる中、石田さんは最高の演技で優勝を掴み取りました。プレッシャーは感じませんでしたか。

皆様からは「楽しんできて!」と言われたので出来るだけ楽しむ事に努めました。それでもプレッシャーは強く感じましたが本当に大きな力となりました。

 

-改めて、優勝した感想を聞かせてください。

今回の優勝はフットバッグ界からしたら信じられない事です。まだまだ世界との差はあったはずなのに優勝出来ました。今回は今まで体験した事のないような優勝する為の「条件」が全て整いました。それは自分だけノーミスで演技を終える事が出来たこと、練習では出せなかったような演技が出来た事などです。300回程この競技の練習をしたのですが、一度もノーミスを出す事は出来ていませんでした。本番は自分の実力に加えて皆様からの応援が本当に力になった事を実感しました。優勝した事は本当に信じられなかったですが、今は非常に嬉しいですし、より気持ちが引き締まりました。

 

石田太志

 

-優勝して取り巻く環境やフットバッグ自体の知名度含め、何か変わりましたか。

優勝後は様々なメディアにこのニュースを取り上げて頂き、様々な方にフットバッグを知って頂けました。また、地元の自治会が住民の方へ向けたお披露目会も開催して下さり、地元でも多くの方に知って頂き、声をかけて頂いたりしています。

フットバッグは見ていても、やってみても魅力がある

 

-これからの目標を教えてください。

今回優勝した事で多くの方にフットバッグを知っては頂きましたが、やはり自分から発信を続けていかなければこのニュースやフットバッグを知って頂けないので引き続き、イベントなどでパフォーマンスを行ってアプローチをしていきたいと思います。選手としては来年デンマークで行われる世界大会での連覇、フリースタイル部門8位以上、BAPと呼ばれる世界のフットバッグ界の殿堂入りを目指したいです。他には世界を目指せるような教え子を育てたり、他のスポーツ選手への股関節トレーニング、高齢者の方へのリハビリトレーニングとしての確立など目標は多岐に渡ります。

 

-応援しています!ここまではフットバッグ中心にお聞きしてきましたが、これからはプライベートについてお伺いしていきます。

是非、お願いします。

 

-フットバッグをやっていなかったら今何をしていたと思いますか。

趣味で草サッカーをやりながら、洋服の仕事をしていたと思います。

 

-どういった服が好きですか。

新宿の伊勢丹のコムデギャルソンで働いていたことがあって、結構(服が)奇抜なのが多いんですね(笑)フットバッグもそうですが、人と同じなのが好きではなかったので、そちらの方向にいっていたかなと。元々アパレルでもプレスの方をやりたかったんですね。広報とか、発信する側ですね。

 

-休日は何をしていますか。

英語が好きなので、その勉強をするのが趣味の1つですね。人とコミュニケーション取るのが好きなので。

 

-知的な感じになりましたね。

そのぐらい言っておかないと(笑)前にカナダに住んでいたことがありました。大学時代に休学してワーキングホリデーで1年くらい行っていました。当時フットバッグだけで食べていけるとは考えていなくて、洋服の業界を目指していました。でもそれまでアルバイトでも洋服の仕事をしたことがなかったので、就職する上で海外で洋服の仕事をしたら人事の人も驚いてくれるのではと思いました。

カナダは洋服も盛んですし、フットバッグのレベルも高かったので修行を兼ねて行きました。「Yes」しか言えない状態で150軒くらい店舗を回って履歴書を渡して受け入れ先を探し、無事に働く事も出来ました。あとはストリートパフォーマンスで箱を置いてフットバッグをやっていました。1時間フルに動きっぱなしで、いい時で8000円くらい集まりました。それはワールドカップの時だったのでよかったですね。平均は4000円くらいです。 フットバッグを縫うのも趣味みたいなものですが・・・あとは今はやっていませんが、昔ヒューマンビートボックスもやっていました。それをやりながらフットバッグをするとか。

 

-おしゃれじゃないですか!次に、自分の魅力を自分で言うとしたらなんですか。

興味があることに対してとことん追求できるところです。今、夢先生というのをやっています。日本サッカー協会がやっている取り組みなんですけど、小中学校に行って道徳の時間みたいな形で授業をしています。そこでは「行動する」「継続する」というのを大事に教えています。 なかなかできている人は少ないと思います。 フットバッグに関しては孤独ですからね。フリースタイルフットボールが羨ましく思えることもあります。あれだけ盛り上がっているのを見ると。10年ぐらい前までは同じくらいいたんですけど。

 

-石田さんはご結婚されているんですよね。

はい、昨年10月にしました。3月まで(奥さんも)働いていたんですけど、今は仕事も辞めて僕のマネジメントをしてくれています。よく生計を立てられているな、という感じはありますけどね(笑)アパレルの仕事を辞めて、フットバックに専念するというのを迷っている時に辞めたら?と言ってくれた人です。

 

-フットバッグのまめ知識を教えてください。

海外で言葉が通じない中でフットバッグのプレーヤーを発見する方法ですね。フリースタイルフットボールにもあるんですけど、「クリッパー」という足を交差させてボールを取るという技があるんです。例えば今度一緒に練習しようとネット上でコンタクトを取ったものの、顔も見たことがないという時にどうその人を判別するか、という時に使います。待ち合わせ場所でらしい人がいたらそのポーズをしてみて確認します。あとは専用のフットバックシューズを履いているかを見ます。紐の結び方を見たりもします。フットバック結びというのがあるんですよ。それで判別します。だから街中で足元が気になってしまいますね。

 

-最後に読者へメッセージをお願いします。

フットバッグは見ていても、やってみても魅力があります。フリースタイルフットボールはバトルといって1対1でやるのがメインなんですけど、フットバッグはフィギュアスケートのように静かにみんなが見ているところで音楽に合わせて2分間やるのがメインなので、別の面白さがあると思います。あとは他のスポーツのトレーニングとしてもやってもらえるとありがたいですね。

 

【前編】はこちら