森 大樹

【後編】鹿島の3連覇を支えたトレーナー・小池謙雅。業界変革の「トリガー」となる!

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【前編】鹿島の3連覇を支えたトレーナー・小池謙雅。業界変革の「トリガー」となる!

 

作業ではなく施術を提供できる若者を

 

-治療院にはサッカー以外の競技の選手も来院されるのでしょうか?

最近だとラクロス日本代表の選手、車いすフェンシング日本チャンピオンの選手、アメフト、セーリング、格闘技、競輪選手など様々です。

 

-他の競技であっても基本的な施術の方法は変わらないのでしょうか?

変わらないですよ。競技における動きを実際に行いながら、どこが痛いのかフィードバックをもらい、鍼を打っていきます。動作分析を行いつつ、治療もするということです。

 

-痛みの原因となる箇所をすぐに見つけられるというのはやはり経験が成せる技ですね。

それができないと時間がかかりますからね。科学的根拠があって、職人の技術があって、初めて痛みが取れる。ある程度訓練を重ねないと難しい。

頭でっかちでも勘だけに頼っていても、どちらか一方しかなければ医療行為としては再現性に欠けてしまいますから。

 

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-より多くの方の悩みを解決するためには身に付けたものを後進の人に伝える必要も出てきますね。

 

そのために私自身も勉強を続けています。そもそも後進に伝える必要がなかったら、治療院を構えずフリーでやっていればいい。

私が治療院を建てたのはこの業界が徐々に斜陽産業になりつつあるからです。治療業界は歯科業界と同じくコンビニの数ほど増えていて、同時に倒産件数も増えている。そんな中でも本当に困っている人を助けたい、『作業』ではなく『施術』を提供したいという若い後進を育てていきたいんです。そうしないと患者さんも、未来ある治療家も、行き場がなくなってしまいます。

今世の中にあるのは簡単なマニュアルを使った施術で低単価、それでお客さんの回転率を上げるいわば「商売」です。そういうところの商品はコース揉みの『作業』です。例えば肩が痛くなってしっかりと施術を受けたいのに、治療院に行ったら隣の人と同じコース揉みを施されるわけです。治す技術よりも営業成績を追いかける、そのスタイルは自分には出来ないし、スタッフにもさせません。

 

-患者さんが困っていることをしっかり解決してあげる、というある種当たり前のことができていない現状があるのですね。

治療業界が儲かるからといって学校を増やし、それに踊らされて学生が増え続けている。でも蓋を開けてみたらリラクゼーション産業の台頭と、同業の開業ラッシュで鍼灸整骨院は過当競争の真只中。過去10年前よりも食えなくなっているわけです。それで結果として鍼灸整骨院も安かろう悪かろうの安易なリラクゼーションという同じパイに手を出し始めているのが現状です。一方で本当に治すための治療院を探している人が行く場所がなくて、困っているのも現実にあります。

しかし、利益を生むことに必死の治療院は人を育てることはしません。必要なのは治せるスタッフではなく利益を生むスタッフだから。これが悪循環の構造です。

私は社会的価値を提供できる治療院と治療家を育成したい。患者は治療院を探す時も正しく選べません。整体院、整骨院、中国気功整体、アロマテラピー、リラクゼーション、鍼灸…自分の症状がどの治療で治るのか、なんて利用者は区別が付かないですからね。でも私は治したいと強く願う患者が、一番にたどり着く場所を提供したい。

 

-そのような中で開業するのは相当な覚悟が必要だったのはないでしょうか?

こうやって考えるようになったのは実は開業してからなんです。開業した元々の理由は鹿島でアウトプットし続けることに対してリアリティを感じなくなったから。毎日のことで馴れすぎて、だんだん選手から感謝もされなくなってきていました。本来、トレーナーになるのではなく、開業したかったわけですしね。

僕は選手を躍動させ、チームが勝つことで後ろにいる数万人のサポーターの夢を支えていると思い込んでいました。でもそのサポーターの顔が僕には見えていないことに気が付いたんです。それよりも一人ひとりに出会って、その人の背景を知り、人生に一緒に寄り添って治してあげることの方が何倍も喜びが強いと思うようになっていきました。

 

DSC_0486 12698883_973958479345643_1617015188_o中には小池さんを訪ねてくる元鹿島選手もいる