ドッジボールを五輪競技に。齋藤羽純が踏み出す、メジャースポーツ進出への第一歩。

2015.06.15 森 大樹

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今回はドッジボール女子日本代表監督・齋藤羽純さんにお話を伺います。齋藤さんは小学生の時にドッジボールを始め、中学・高校では他スポーツの部活と並行して、ずっとドッジボールを続けてきました。本日は、そのドッジボールへの想いを語って頂きます。

 

ドッジボールに打ち込んだ学生時代

 

-まず齋藤さんのスポーツ経歴を教えてください。

ドッジボールは小学校3年生の時に友達に誘われて子ども会のチームで始めました。地域のローカルルールでやっている女子だけのチームです。私は飽きっぽいので、うまくできないと続かないのですが、ドッジボールは向いていたようで、やっているうちにどんどん上達していって楽しかったんです。

中学校ではバレーボール部に所属しましたが、まだドッジボールを続けたいという気持ちがあったので、入学してからも大人のクラブチームを探してきて入りました。住んでいたのは千葉でしたが、そのチームは神奈川県の相模原にあったので、1年間は部活後や土日に片道2時間の道のりを通ってプレーしていました。そこで初めて公式のルールを教えてもらいました。

 

-本当にドッジボールが好きだったんですね。部活の練習後だと帰りはかなり遅い時間になると思います。

そうですね。帰宅は23時頃になっていました。当時は千葉に中学生以上(一般)のチームはなかったのですが、中学2年になる時に作るという話になり、キャプテンとして呼んでもらったので、そのチームに移って立ち上げに関わりました。チームメンバーは中学2年の私以外は小学生からドッジボールをやってきて、中学生になってからも続けたい新中学1年生が集まりました。

高校に進んでからも部活でバレーボールをしながら、ドッジボールを続けました。どうしても土日に試合があるので、日程が重なってしまうこともありましたが、部活の顧問の先生が理解のある方で助かりました。両立は大変でしたけどね。

大学はドッジボールを続けるために近くの学校を探し、練習時間が取れるところを探しました。授業も練習がある日には入れないようにするなど、生活そのものがドッジボール中心になっていきました。

監督としての資格を得ることができるようになる20歳になってからは下の世代がチームでキャプテンなどのポジションを経験できるようにその座を譲って、自分は指導者として携わるようにしています。

 

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-ドッジボール自体はやったことがある方がほとんどだと思いますが、公式ルールにおいての違いはあるのでしょうか。

まず、小学校の休み時間にやるようなドッジボールとコートの形が違います。あとはパスの回数に制限があります。4回までと決められています。また、内野と外野同士のパス回しは禁止されています。上手い人に投げてもらうためにボールを渡すことはできないということです。ちなみに試合時間は5分間なんですよ。

 

-どういった人がドッジボールに向いているか等、あれば教えてください。

団体競技で、チームワークが重要になりますので、もちろん個人技も必要ではありますが、協調性のある人が向いていると思います。

 

-身体的な部分で言うと手が大きい人の方が有利ですよね。

そうですね。男子だとボールを掴める人もいます。一方で女子の場合はそうはいかないので、腕に引っ掛けるような形で遠心力を使って投げる形になります。野球やソフトボール、バレーボールはボールを正面で受けるように習うので、投げる、取るという面では球技をやっていた人は有利かもしれません。

反対にドッジボールを小学生の時からやっているとその後他の球技をやったとしてもある程度活躍できるようになりますね。それぞれ他の競技が強い学校に進学して、引退した後にまたドッジボールをやる人もいます。一度離れてしまうとなかなか戻ってくることは難しいかもしれませんが、そのタイミングでまたドッジボールをやりたいと思い出してくれると嬉しいです。あとは部活と両立できるような環境を作っていければいいと考えています。

 

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-齋藤さんが思う、ドッジボールの魅力を教えてください。

私は、きれいなパスワークで相手を翻弄するプレースタイルが好きです。自分の理想とする形で攻撃が決まった時はとても気持ちいいです。また、どのような子でも活躍出来るというところも魅力かなと思っています。例えば、体が大きい選手はパワーもあって、強いボールを投げることができますが、その上を行くキャッチ力を持つ人が現れてくるとコントロールやタイミングをずらすといった細かい技術が求められるようになります。反面、体が小さくてもその分的が小さくなるので、狙われにくくなります。

必ずしも運動神経が良ければ上手いという競技でもありません。部活は文化系なのにチームで一番球が速い子もいました(笑)自分の特性を理解し、それを活かしたプレーをできる子が早く上手くなっていきます。

あとはボールさえあればできるという気軽さもあります。細かいルールを気にしなければ誰でもできます。試合の出場における年齢制限も小学生の大会以外は特にありません。なので、中学生以上の子供が保護者の方と一緒にチームに所属していたりもします。

 

-齋藤さんが得意とするプレーを教えてください。

部活を現役でやりながらプレーしている頃はスピードを活かし、速いボールを投げるということが得意でした。今は省エネなプレースタイルです(笑)

 

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ドッジボールをメジャースポーツに

 

-今後の目標を教えてください。

若い選手はどうしても勢いでプレーしているところがあると思っています。その勢いを活かしつつ、私の経験を指導するということが楽しいと最近思えてきました。競技人口を減らさないために、そして増やしていくためにも私は動いていきたいと思います。小学生までではなく、その後のドッジボールへの関わり方の1つの例としても私を知ってもらいたいです。

 

-ここからは齋藤さんご自身のことについて質問していきたいと思います。

-ドッジボール以外の時間にされている趣味などはありますか。

 

筋トレですね(笑)走ったりするのは得意ではないので、腹筋と腕立て伏せを疲れるまでひたすらやります。あとは子育てに時間を充てています。仕事も休職中です。

 

-ちなみにお仕事は何をされているのですか。

理学療法士をしています。やはりドッジボールは突き指などの怪我が多いので、診てあげられたらということで始めることにしました。 

 

-子育てをしながらですとなかなかドッジボールに時間を割くことも今は難しいですか。

子供は母に預けながら練習や大会にも出ており、なんとか大好きなドッジボールを続けさせてもらっています。子供がまだお腹にいる時も出産前日まで練習に行って口出ししていました(笑)さすがにボールをキャッチすることはできませんが、投げていましたし、日本代表の合宿にも行きました。そのくらいドッジボール漬けの日々を送っているので、もう何年も旅行にすら行っていません。友達に誘われても土日は練習があるから、と言って断っているくらい、ドッジボールのことばかり考えています。

 

-他の競技をドッジボールの参考にもするのでしょうか。

実際に観戦に行ったりはしませんが、テレビでやっていると観ます。その時は解説をよく聞きます。解説の人によって見ている視点が違いますよね。私が試合を観て、客観的に感じていることと、解説の人は全く違うことを話していたりします。それを聞くことによってドッジボールを見る上での参考になるのではないかと考えています。個人的には熱い感じの解説をする人の方が好きです。

 

-ドッジボールに出会っていなかったら何をしていたと思いますか。

今こうして日本代表に関わることができているのも、ドッジボールがマイナースポーツだったからだと思います。目立ちたがりな性格なので(笑)きっと別のマイナー競技で同じように頑張っているのではないでしょうか。

 

-ご自身で思う自分の魅力を教えてください。

行動力やコミュニケーション力だと思います。私はドッジボールに関わる多くの人と知り合いたい、自分のことを知ってもらいたいという気持ちがあります。対戦相手はもちろん、監督さん、試合会場の協会の方などのところに行って、一言挨拶するようにしています。これは日本代表ができる前から続けていました。それがきっかけになって、地方の大会に呼んで頂けるようにもなりました。

 

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-最後に読者の方にメッセージをお願いします。

ドッジボールはボールをぶつけ合うスポーツで危険、いじめの原因になるといったネガティブなイメージを持つ保護者の方も多いと思います。しかし子供の頃、休み時間に男女関係なくみんなで遊べたのがドッジボールですよね。

競技としてドッジボールをしている選手も、他のスポーツと同じようにスポーツマンシップに則り、ルールマナーを守って仲間を思いやり、他者を認めあい、日々技術向上につとめています。

他のメジャースポーツと並んで、子供にやらせたいスポーツの選択肢にドッジボールを加えてほしいと思います。ドッジボール日本代表もそういったことを発信するためにできたのだと私は考えています。

協会も日本代表も私もドッジボールをもっと広めるために頑張っていきます。そして私が生きているうちに五輪競技になってくれたりしたら嬉しいですね。今はドッジボールをメジャースポーツにするためのその第一歩をやっている最中なので、ぜひ皆さん応援してください!