悲願のラクロス日本一へ。日本代表経験者コンビが語る、クラブチーム・FUSIONの誇り

2016.11.18 AZrena編集部

岩田麻衣子、宮沢明日香

昨年度、社会人ラクロスチームの頂点に立ったFUSION。しかし、全日本選手権において、大学選手権王者・明治大学に敗れ、ついに日本一の夢は叶わなかった。

今シーズンの雪辱を誓うFUSIONから今回は入団7年目、最上期生となった宮沢明日香選手(写真・右)と、主将を務める岩田麻衣子選手(写真・左)をお迎えして、ラクロスを始めた経緯からチームの魅力まで大いに語ってもらった。FUSIONは今週末、社会人選手権の準決勝に挑む。

 

ラクロスを始めるまで対照的な道を進んだ2人。

まずお2人のスポーツの経歴から教えてください。

宮沢:小学生の時は地域のチームで野球を、中学生の時はテニスを、そして高校時代はバスケットボールをやっていました。実は中学の時からテニス部かバスケットボール部に入るかで迷ってはいました。テニスは「テニスの王子様」、バスケは「スラムダンク」という漫画の影響で興味があったんです。そして、実際にどちらも練習に行ってみたのですが、最終的に中学では直感でテニスを選びました。

でもバスケは高校でやりました。仲の良い親友がバスケ部に入っていて、その影響でまた団体スポーツをやりたいという思いが出てきたからですね。

そこで、私にラクロスを始めるきっかけをくれた今もFUSIONのチームメイトで1つ上の先輩、河内由気さんと出会いました。当時彼女はバスケ部のエース的な存在の方でした。

 

岩田さんのスポーツ経歴も教えて下さい。

岩田:私は小学生や中学生の時は、特にスポーツをしていませんでした。

幼稚園の頃からピアノをやっていて、中学生の時は吹奏楽部に入ったのですが、パーカッションをやっていました。肺活量がなくて、吹かせてもらえなかったんです (笑) ラクロスは高校生から始めました。

 

なぜ岩田さんは高校生からラクロスを始めることになったのでしょうか。

岩田:母も兄も楽器をやっていて、家系としてはやはり音楽に触れる機会が多かったのですが、一方でスポーツをする事自体は嫌いではありませんでした。それで進学した高校にたまたまラクロス部がありました。でも当時の私はラクロスがスポーツだということすら知らなくて(笑)母にスポーツだということを教えてもらって、初めて知りました。でも、それがきっかけになって興味を持ち、練習を見に行きました。

実際にそこでラクロスをやらせてもらったら、すごく楽しくて、私はこれをしなかったら、絶対に後悔するとまで思いました。

しかし、母は勉強に支障が出るという考えで私がラクロスをすることに反対していました。中学の吹奏楽部の時も部活で遅くなって、家に帰ってきたらすぐに寝てしまう生活をしていたからですね。

でも、私はこっそりラクロス部に入部届けを出しました。母には登校する時に最寄り駅まで送ってもらう車の中で、初めて「ラクロス部に入ったからね」と伝えました (笑)

 

2人のポジションが決まるまで

宮沢さんは大学からラクロスを始めることになるわけですが、どういった経緯があったのでしょうか。

宮沢:大学で何のスポーツをやろうかなと思っている時に、高校時代バスケ部で一緒だった、河内さんに「ラクロスだったら日本一を目指せるし、日本代表にもなれるから、一緒にやろう!」と言われました。日本代表や日本一を目指せるというその言葉に惹かれて、ラクロスを始めることにしました。

 

ラクロスはカレッジスポーツと言われるほど、大学から始める人も多いです。そのような中で、ポジションはどのように決まっていったのですか。

宮沢:私の出身校である慶應義塾大学は高校にもラクロス部があるので、たくさんの経験者がいました。その中でまずは皆、ミッドフィルダーをやるんです。そこから適正を見て、アタッカー、ディフェンダーなど段々とポジションが決まっていきます。

ただ、ゴーリー(サッカーで言うところのキーパー)はテストがあります。慶應には、しっかりしたゴーリーのコーチがいるので、その人が選考をし、可能性のある選手を絞っていきます。でも、最後は自分の意志でポジションを決めます。私は一応、ゴーリーの選考にも残っていたのですが、実はあまりやりたくないなと思っていて (笑) そう考えているうちに、違う子に決まりました。

 

宮沢明日香

ディフェンダーを務める宮沢選手。

一方で岩田さんはゴーリーを務めています。そのポジションを選んだ理由を教えてください。

岩田:私も当初はゴーリーをやる気など全くなくて、クロスを持って走りたいと思っていましたし、そこに憧れて入部した部分はありました。その当時、ゴーリーはかっこ悪いイメージが強くて、誰もやりたがりませんでした。でも私の代からどうしても2人、ゴーリーを出してほしいと言われました。それで話し合いをしていたら、1人の子が『私がやる』と言ってくれたんです。私は「良かった!」と心の中で思っていました (笑)

そうしたらもう1人、すごく嫌そうな顔をしながら挙手した子がいました。でもそんな気持ちでプレーしている人がいたら、一緒にやる先輩にも失礼ですし、試合にも勝てないだろうな、と思いました。だから私がやろうと決めたんです。

実は1つ上にすごく可愛い先輩がいて、「これはゴーリーを選べば仲良くなれるぞ!」と思ったというのもあります (笑)

 

ゴーリーは非常に特殊なポジションですよね。

岩田:今でこそラクロス界の中でもポジションに対する考え方が変わってきていますが、私達が学生の頃だとそこまでゴーリーは重要視されていませんでした。

それでも私はただ本当にラクロスをプレーするのが楽しくて。家に帰っても、母や妹を相手にパスキャッチの練習をしたりしていました。

一度高校1年生の時の夏合宿に、副顧問の先生が来られなくなって、代わりに全然ラクロスの経験が無い、野球上がりの先生が引率に来たことがありました。まだラクロスを始めたばっかりでコートの中にも入れなかった私は、外でその先生が投げる速いボールをひたすら受け止めていました。あれでだいぶ上手くなりましたね。

岩田麻衣子

ゴーリーを務める岩田選手

岩田さんは、大学でもラクロス部に入ろうと思っていたのですか。

岩田:元々受験の段階でラクロスの強い大学を選ぶというのが基準にありました。

でも、私はフィールドプレーヤーになりたいと思っていました。そうしたらゴーリーとしてU-19日本代表に呼ばれてしまって (笑) そこで私は一生ゴーリーでやるんだと腹をくくり、頑張っていくと決めました。

 

社会人でも競技を続ける道を選んだ2人。FUSIONという選択の理由。

宮沢明日香

大学を卒業してからも社会人として働きながらラクロスを続ける選択は簡単にはできないと思います。続けることを決めたのはいつ頃ですか。

宮沢:私は学生の頃から日本一を取りたいと思って頑張ってきました。でも大学最後の大会でサドンデスの末に日本体育大学に負けたんです。そこで改めて考えてみて、やっぱり私はラクロスで日本一を取りたいと思いました。だから社会人でも続けることにしました。

ただ、会社の配属が関西になってしまったんです。どうしても大学や日本代表でお世話になった先輩と同じFUSIONで戦いたかったのですが、通うのも難しいですし、すごく悩みました。

大学卒業年の2010年には国際親善試合に臨む日本代表メンバーとして招集もあったのですが、それも全部辞退して関西に引きこもろうか迷ったほどです。でもチャレンジして、最終的にダメだったら諦めようと思いました。

結局東京には社会人5年目から帰って来られたのですが、その間はずっと大阪から通いでやっていましたね。

 

岩田さんはなぜ社会人になってからもラクロスを続ける上でFUSIONという場所を選んだのでしょうか。

岩田:完全に人です。U-19世代から一緒にやっている先輩もいましたし、日本代表の時のメンバーもいたので。自分がラクロスをやってきた中で、良くして頂いた方がたくさんいました。

宮沢:でも私がFUSIONに入って1年目の時は本当に勝てなかったんです。

岩田:高校生ぐらいの時からずっとFUSIONのファンで、「絶対入る!」と決めていたはずなのですが、1つ上の代のその姿を見ていて、正直心配でした。でも私がラクロスをやってきた中で影響を受けてきた、この人達と一緒にプレー出来るのはやはりここしかないと思ったので、FUSIONを選びました。その決断をして、今は本当に良かったなと思っています。

 

お2人の今の目標を教えてください。

宮沢:私は今年FUSIONを日本一に導く事です。何が何でもと思っています。

岩田:チームとしての目標で言えば、みんなが望む形で日本一を獲る事です。自分個人としてはW杯出場を目指しているので、日本代表にも貢献した上で結果を残せたらなと思っています。それが後の日本のラクロス界の発展にも繋がると思います。

岩田麻衣子

 

チームメイトを思いやり、常に笑顔で全力を尽くす。それこそがFUSIONの誇り

FUSION

お2人が話している様子から本当にラクロスが好きなことが伝わってきますが、その中で辞めたいと思うほど本当に辛かった時を教えて下さい。

岩田:私が本当に苦しいと思ったのは、高校生の時です。

高校の顧問の先生は大抵とても厳しいじゃないですか。原因は何か覚えていませんが、とあることをきっかけに「もう練習しなくていいから」と言われたことがありました。当時も主将を務めていた私は、先生に謝りに行く日々で。初めてご飯を食べられなくなるぐらいストレスを感じました。でもその出来事以来、これ以上の辛さは無いと思えるようになって、何でも乗り越えられるんです。逆にこれは上手くいくようになる前兆なのだと考えるようにしています。

宮沢:私は2013シーズンに幹部をやったのですが、それがとても大変でした。その前の2年間は体制がしっかりしていたのですが、2013年になってから幹部が一気に抜けて、新しい人がたくさん入ってきました。その年は幹部もメンバーも若くて、色々な価値観で話すので、まとめきれなくなってしまって。負けてシーズンが終わった時に『もう辞める』という声も上がり、チーム存続の危機に陥りました。責任を感じて、私は家で号泣していましたね。

岩田:その場でも泣いていたような気がしますが (笑)

宮沢: メンバーに本当に申し訳なくて、翌年は幹部を降りました。でも、2015年にまた幹部をやって思ったのは、ただ勝つだけではなくて、みんなが心からFUSIONを好きで、楽しく最後に、最高な笑顔で終われる日本一ではないとダメだということです。今年は特に強くその想いを持ってやっています。結果論ですが、そう思えるのも2013年の辛い経験があったからで、だからこそ今のFUSIONのメンバーが色々な人に優しくなれたり、一人一人がチームを思いやる行動を大切にできているのだと思います。

今、2013年の体験をしたメンバーが幹部をやったり、チームを引っ張ってくれていることでさらにFUSIONの良さが出ていると思います。

 

心から成長出来る場所。FUSIONの魅力は人にあり。

FUSIONはどんなチームで、どこに魅力がありますか。

宮沢:人に魅力があります。みんなが人を大事に出来ます。FUSIONに関わる人はOGを含めて、笑顔が溢れているチームだと思います。応援してくれる人もそうですし、練習中のくだけた雰囲気もそうです。笑顔がよく似合うチームだと思います。

岩田:本当に思いやりを大事にするチームです。それは、仲間に対してもそうですし、応援して下さる方にもですね。立ち振る舞いにもすごく気をつけていて、FUSIONの一員として周りから見られているという意識を持てるのは良いところです。

あと一つ思うのは、全てにおいて全力なんです。練習もそうですし、遊ぶ事も、イベントにも。楽しむ事も、ぶつかりあう事も全てにおいて全力で取り組みます。

時にはこの年にもなって涙を流しながら話をしたりするくらいです。でもそれは本当に素敵なことだと思っています。

FUSIONは本当に成長出来る場だと思います。特に心の部分においてですね。

FUSION

 

-ここからはプライベートな話を聞いていこうと思いますが、ラクロスから離れている時間は主にどんな事をしていますか。

宮沢:私は主に仕事です。でも、土日でラクロスがない時は美味しい食べ物やお酒がある店に行きますね。実際に繁盛しているお店だったり、食べログで点数が高いお店に行きます。美味しいお店を探すのは好きですね。

岩田:シーズン中はラクロスだけを考えているので、自分の体調とトレーニングの兼ね合いを考えると早く帰って、早く寝るという生活です。時間があると主婦じゃないですけど、家事をやったり、洗濯をしたり、晴れている日はお布団を干したりしています。

宮沢:あとは結局、FUSIONのメンバーと一緒だもんね (笑)

岩田:そうですよね。FUSIONのメンバーと一緒に、ドライブしに行ったり、買い物に行ったりします。上から下の代まで誘って行きます。

江ノ島とか行きたいですね。午後から急に『箱根行こうか!』みたいな事もあります (笑)

 

仕事とラクロスの両立は難しいですか。

岩田:私はラクロスをする為に仕事を選びました。今は待遇や雇用形態よりも勤務時間が決まっている仕事を選んでやっています。

宮沢:私は仕事もラクロスも全力でやるのがモットーです。ただ、得意先と飲みに行かなければいけない時もあるので、夜が潰れたら、朝走ったりしています。ただ、試合前の時期はご理解頂くようにしています。それで得意先の方も試合の応援をしに来てくれたりすることもあります。

 

お互いに関して、普段言えていない事や感謝の気持ちがあれば伝え合って頂ければと思います。

宮沢:本当に1番は「ありがとう」という気持ちですね。やっぱり主将はチームの代表ですし、私達が思っている以上に、色々なところに気を回してくれています。プレッシャーもすごくある中で大変なところは一切見せずに、チームの前では常に笑顔で、明るく引っ張ってくれます。そういった部分で感謝の気持ちがすごくありますし、だからこそ「麻衣子を勝たせたい!」という思いが原動力になります。絶対に、一緒に日本一になりたいと思います。

麻衣子は、芯が強くて、「これ!」と決めたらそれをやり通します。主将をやって麻衣子は今年で3年目になります。個性溢れるメンバーが集まっているFUSIONの中でそれをまとめる事が出来るのは、麻衣子しかいません。色々な代の目線に立って皆を引っ張れますし、努力家でもあります。

岩田:誰もが分かっていると思いますが本当に熱い人で、人の為だったら、何もかも犠牲にして頑張ってくれる方です。忙しい中で時間を作って、少しでもチームのためにと動いてくださる、すごく優しい先輩です。

1個上の明日香さん達の存在はすごく大きいです。ずっと残って一緒に戦ってくださるのは、やっぱり心強いです。本当に支えてもらっています。

明日香さんは、常に自分がやるべき事を徹底してやってくれます。周りをまとめて、引っ張ってくださるので、常に感謝しています。

 

最後に読者に向けて一言、お願いします。

宮沢:私に関わって下さっている方には、「いつも応援ありがとうございます。必ず日本一になります!」とお伝えしたいです。私の事を初めて知った方には、ラクロスはこれからもっと日本で普及していけるスポーツだと思いますし、すごく魅力のある競技だと言いたいです。どんなスポーツか気になった人はぜひ1回試合会場に足を運んで頂いて、生で観戦してもらえたらと思います。

岩田:ぜひ、会場に来て試合を見て下さい!

FUSION