「先の先を見据えた」新しいクラブ。“ジュニアユース年代”の形とは

2018.03.28 竹中 玲央奈

 

2017年10月、文京区からJリーグ入りを目指す東京ユナイテッドと文京区で20年以上にわたり育成年代の地域密着クラブチームとして活動してきソレイユFCがパートナーシップを締結した。

「日本の育成年代の発展に寄与すべく、子供たちの未来を支援するクラブ創設を目指す」と公式のリリースでは述べられているが、特筆すべきはただ“サッカーを教える”だけでなく、練習前に学習時間を設けることだ。そこでは東京ユナイテッドの福田雅氏が監督を務める東京大学ア式蹴球部の学生がサポートを行うという。「文武融合」この新たなクラブの形は、どのようにして成り立ったのか。そしてその先に見据えるものとは?
ソレイユFCの代表であり、新たに立ち上がる東京ユナイテッド・ソレイユFCの代表/監督を務める小山善史氏と東京ユナイテッドの福田氏に話を伺った。

 

サッカーの文化が無い街、文京区。

ーまず、この取組に至るまでの背景を教えて頂けますか?

福田:私は元々、母校である東大サッカー部が地元に応援されるチームになりたい、と考えていました。東大は日本の最高学府であり、日本の教育システムの頂点にある。だからこそ、ここから何かを発信していくことで、日本のスポーツ文化に一石を投じることができるだろうと。そういう考えで動いてきました。これは東京ユナイテッドの活動にも繋がるのですが、その過程で文京区における東大サッカー部地域密着プロジェクトというものも始めました。そこで、この地域で長年指導者として活動し、取りまとめも行っている小山さんに出会い、共に文京区のサッカーを盛り上げるための取り組みができないかとアプローチをしたんです。文京区長杯という大会のお手伝いを東大サッカー部の部員が行うところから連携が始まりました。

「日本のスポーツ文化を変えるためには、まずは日本のサッカーの産業化という意味で東京のど真ん中にビッククラブが必要だし、教育という観点で言ったら東大というものを巻き込まないといけない。そして、この両方を同時達成するためにはこの文京区でクラブを作るということに意味がある」

と私はずっと思っており、それを小山さんに伝えました。その中で「一緒にやろう」と。小山さんは文京区少年サッカー連盟の代表も務めていらっしゃるのですが、文京区の少年団に対して、「福田という人間がいて、こんなクラブやってるからみんな応援してあげよう」と伝えてくれたんです。また、文京区に唯一のジュニアユースチームを運営されていたのが小山さんなんですよ。

 

小山:文京区は元々少年野球が盛んな街で、サッカーをしている子どもはほとんどいなかった。少年時代を振り返ると、クラスには私含めて2人だけが興味を持っているという様な状況でしたね。その時代のコンプレックスが「文京区にクラブチームを」というクラブ作りの原動力になったという感覚はあります。また当時クラブを作る過程において

文京区の学校に「グラウンドを貸してください」という交渉をするところからスタートしたのですが、全て断られました。そこから四苦八苦、何とか立ち上がったものの、ジュニア年代とは異なりジュニアユースの活動は本当に苦労しました。例えば試合成立時に11人揃わないということもあり…大変な日々でしたね。学校行事や定期試験などで休む生徒がどうしてもいるんです。そこで、1学年に20人ぐらいの選手がいないと回すことはできないなと思いました。ただ、その人数で活動するための”場所”もない。文京区という地域柄、サッカーだけに特化してやって行くというのは難しく、サッカーで高みを目指す子たちはほとんどが区外に出ていくという現状もありました。東京の別の場所にかぎらず、千葉や神奈川にも出ていってしまうんです。そういった状況から試行錯誤して、ソレイユというクラブチームを作り、2006年から正式に文京区唯一の「クラブユース連盟加盟クラブ」となったのです。

そこから十数年・・・福田さんのクラブチームに対する理念に共感し、一緒にやることになったわけです。