日本一奪取に燃える西窪友海。彼は競技者であり、表現者だ

2016.05.13 森 大樹

西窪友海

 

自転車に乗ったまま障害物を越えていき、いかに足をつかずにそのコースをクリアするかを競うバイクトライアル。来る4月24日(日)に全日本選手権が開催されが、その場で日本一になると公言する一人の関西弁なまりの男性がいる。それが西窪友海だ。

 

彼は昨年の全日本選手権において、トップより足を着いた回数が一回多いという僅差で2位に終わり、日本一の座に届かなかった。今年に懸ける想い、そして彼が競技の普及のために積極的に行っている動画の撮影、制作・編集についても伺っていく。

 

まずは西窪選手オススメのこちらの動画をご覧ください!

 

家族の影響でバイクトライアルの世界へ

 

-バイクトライアルを始めたきっかけから教えてください。

元々僕の親父はアマチュアだったんですけど、オートバイのモトクロスとロードのレースをずっとやっていました。その影響で僕も4歳頃からミニバイクに乗って遊んでいました。そのまま12歳くらいまでは週末になると親父と山にバイクを乗りに行っていたんです。

ですが、それは親父が休みの日にしか行けないことになります。そうなると平日バイクに乗りたい気持ちをどこかで消化したくなるわけです。そこでたまたま家にあったマウンテンバイクでバイクの真似事を始めるようになったんです。山に行って自分でジャンプ台を作り、自転車で飛んではズッコケることを繰り返していくうちに、その遊びはどんどんエスカレートしていきました。岩に登ったり、階段から飛び降りたりしていたので、毎月のように自転車を潰すようになっていきました(笑)いわゆる一般的なマウンテンバイクでやっていたのですが、見た目はごついのにそういう自転車は実は以外と「山では走れません」と書いてあったりして、すぐに壊れてしまうんですよ。

さすがに毎回修理に出したり、新しいのを買ったりはできないので、ちゃんとした自転車を持たせてくれることになりました。それで12歳の時に親にトライアルバイクを買ってもらったんです。

 

-自転車のトライアルはオートバイのトライアルをやるためのステップアップとしてやる選手が多いですよね。しかし、その中でも西窪さんは自転車のトライアルをずっと続けています。

オートバイのトライアルの基本は自転車にありますからね。自転車の方が車体が軽い分、圧倒的にバランスを取るのが難しいんです。だからまず自転車から入って、経験を積んでからバイクに行く人がここ10年ほどの流れでした。でも近年自転車のトライアルのカルチャーもしっかりしてきたので、子供の頃からずっとそちらを続ける人も増えています。

競技の歴史としてはオートバイのトライアルの方が古く、自転車はその派生型として行われるようになったんですけどね。いずれにしてもトライアルはバランス感覚というものが集約された競技だと思います。

 

-そのバランス感覚が競技以外の面で活きたことはありますか?

乗り物を扱うことには強いですよね。それこそオートバイとか。オートバイの中型免許を取るのも教習所に通うのではなく、警察の試験場で行われている飛び込み試験に行って、すぐに合格しました。だから僕の場合、教習所に行かないで済んでいるので、中型免許は3万円くらいで取れたんです(笑)もちろんその代わり、実技試験はとても厳しいです。

実は警察の白バイ隊員のトレーニングカリキュラムにもトライアルバイクが入っていて、山や岩を使った練習をさせられるんですよ。

 

西窪友海

 

-競技の動画を観ましたが、コースによってかなり難易度に違いがあるように思いました。

元々この競技は自然を相手にしてきたのですが、おそらく動画で観たのは人工的に作られたセクションだと思います。でもその方が簡単で、自然のコースだと石が動いてしまったり、それが転がり落ちて状況が変わってしまったりする難しさや面白さがあります。

どうしても自然のコースだと観客が来にくいというのはありますね。競技をカルチャーとして大きくしていくためには人が観に来やすい場所でやった方がいいわけです。だから最近は人工コースが増えています。

 

試合で勝つこと以上に、オリジナル技を追求

 

-競技をしてきて、一番嬉しかったことはなんですか?

僕の場合、単純に「できなかったことができるようになる」こと一つひとつが嬉しいです。特にバイクトライアルの場合、その結果が目に見える形で出ます。例えば今まで登れなかった高い壁を越えられるようになったとか。惜しいということはなく、失敗か成功か、しかないんです。だからやる側としても見る側としても結果が分かりやすいというのはあります。タイムを競う競技ではないので、ストップウォッチがなくても、できるようになったことを感じられますしね。

結局昔からやんちゃな男の子は高いところとか、ちょっと危ない場所が好きじゃないですか。今やっていることもそれの延長なんですよ。僕は直近だと3m間隔が空いている石から石へ飛び移れるようになったことが嬉しかったです。

あとは人との繋がりという面では横だけでなく、縦もこの競技は強いです。競技人口も少ないですし、部活動というものもないですから。だから子供の頃は練習に行く時、近所の競技仲間のおっちゃんに電話し、練習場所まで車で連れていってもらったりしていました。幅広い世代の人と早いうちから交流できたことは社会に出てからも活きていると思います。

 

西窪友海

 

-西窪さんしかやったことないようなオリジナルの技はありますか。

実はそれが自分の課題の一つでもあります。この業界では世界王者であること以上に自分にしかできない技を持っている人の方がトップと言われています。競技は決まったコースをクリアするまでに足を何回着いたか、というのを争うのですが、すごさが伝わりにくいんです。それよりも自分オリジナルの技を作って動画で配信し、たくさんの人から注目を集めた人の方が実際有名になっています。もちろん試合で勝つことも追求していきますが、どちらかというと自分もそこを目指しています。結局そっちの方がより多くの人を喜ばせることになりますから。

今までだと丸太の上から飛び降りて着地するやつは誰もやったことがないんじゃないですか。あれをやるためだけにわざわざ平日に有給を取って来てくれた人もいたんですよ(笑)海から出てくるやつも他では見たことないです。

 

丸太の上から飛び降りる動画 ↓

 

海から出てくる動画↓

 

日本だと競技をトップクラスで活躍しながらショーにも出ているということはないんです。今の日本チャンピオンも仕事は別にしています。逆に今ショーをやっている人は試合には出てきません。でも自分は今そこの両立を目指してやっています。

 

【後編へ続く】