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太陽生命がジュニアから女子まで、ラグビーを支援し続ける理由

2020.09.10 / 島田 佳代子

写真提供:太陽生命保険株式会社
女子ラグビーの認知度は、まだまだ低いといえます。2015年・19年のラグビーW杯で男子日本代表が躍進し、競技の認知度は高まりました。とはいえ、女子代表の露出は男子ほどではありません。

 

そんな中、2013年1月からラグビー女子日本代表を支援しているのが太陽生命保険株式会社です。同社は2014年には「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」を協賛するなど、女子ラグビーへの支援を継続しています。

なぜ女子ラグビーを支援し続けるのでしょうか? 同社広報部の岩田まち(いわた・まち)氏、山田陽美(やまだ・はるみ)氏に話を伺いました。

 

(取材・構成:島田佳代子)

 

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スポーツ協賛のきっかけは「小学生クラス対抗30人31脚」

 

1996年から14年間、テレビで放送されていた「小学生クラス対抗3031脚」はご存知ですか?弊社は第12回大会から太陽生命プレゼンツという形で、力を入れてスポンサーをやっていたんですよ。ところが、参加校の減少などもあって、番組が打ち切られてしまいました。その反響は大きく、弊社にも「止めないで欲しい!」といった声が多く寄せられました。

 

その流れで、何か他の形でスポーツの応援ができないかと模索していたときに、ご縁があって中学生ラグビーの全国大会を協賛させて頂くことになりました。第1回大会は2010年に菅平サニアパークで開催されたようです。弊社は第2回大会より、開催地を水戸に移し、「太陽生命カップ」として協賛を始めました。以降、水戸市、日本フットボールラグビー協会と共に大会を盛り上げています。 

 

 

岩田まちさん

 

ただ協賛するだけではなく、人も動員しています。例えば、2か所の会場に立てる約100本ののぼりは弊社で作製して、広報部のメンバーで前日入りして立てているんですよ。大変というよりも、私たちも楽しみながら一緒に大会を作っている感じですね。

 

開催年によって多少異なりますが、本社と近隣の支社から、3日間で延べ1000人くらいが応援に駆けつけています。1回戦からまるで決勝戦のようで、負けても勝っても泣いて。そんな風にみんな熱くやっているので、私たちもとても力をもらえますし、実際に観に行くと楽しいんです。それに参加者の中学生たちはみんなすごく礼儀正しくて、応援したくなるんですよ。

 

元々は子供の支援、中学生ラグビーから始まった弊社のスポーツ協賛ですが、さらなるご縁があり、ラグビーとアイスホッケーの女子日本代表と、女子プロゴルファーのテレサ・ルー選手をサポートさせて頂いています。

 

 

キーワードは「女性応援」

 

スポンサードの目的、コンセプトは、「社会貢献」と「女性応援」です。企業として協賛しているので、「広告宣伝」を目的としていない訳ではありません。ただ、スポーツを通じて、頑張る女性を応援したいといった意味合いの方が強いですね。

 

弊社は保険会社ということもあり、職場の約9割が女性です。お子さんや女性アスリートというのは、社員も共感しやすく応援しやすい存在なんですね。

 

支援するチームや選手たちのことは、積極的に社内報やSNSで紹介しています。試合や大会の後には、「今週はテレサ良かったね!」といった声を掛けてもらったり。社内で共通の話題があるのはいいですね。応援する女性選手たちの活躍は、職場の一体感の醸成に繋がっています。

 

スポンサードによって、社外の方にも女性を応援する弊社の取り組み姿勢を知ってもらえたら嬉しいです。

 

毎年、太陽生命カップに参加するお子さんたちが、大会のことを「太陽生命」「太陽生命」いってくださるんですよ。「太陽生命」が保険会社の名前だとは分かってはいないかも知れません。でも、彼ら、彼女たちが大きくなって、「太陽生命って保険会社だったんだ」と思って頂けたらいいですよね。

 

太陽生命カップに出場したことや、目指して努力したことが、子供たちの将来への力になってくれたら嬉しいです。これからも、「太陽生命カップに出たんだ!」。そう誇ってもらえるような大会に成長できるよう、協会と協力してやっていきたいと思っています。

  

一緒に働く社員は五輪にも出場した日本のエース

  

企業とアスリートをマッチングする、JOCの就職支援制度「アスナビ」があります。弊社はこの制度を利用して、201310月にアイスホッケーの久保英恵という選手を採用しています。彼女のアイスホッケー選手としての実力はもちろんですが、仕事ぶりや人柄など、社内に良い影響を与えてくれています。

 

彼女はソチ五輪(2014)と、平昌五輪(2018年)にも出場した日本のエースです。採用したのは2013年と、もう長いですし、シーズン中は週に12回、シーズンオフは毎日一緒に働いています。みんな彼女が仕事をする姿を見ているので、声が掛けやすいですし、応援しやすいんですよね。


写真提供:太陽生命保険株式会社

 

久保が出場する五輪の試合はみんなで会議室に集まって、パブリックビューイングをしました。会長、社長、そして従業員が一丸となって楽しく応援できるのはありがたいことです。

 

それにトップ選手の集中力はすごいですね。集中力があって仕事ができるので、仕事面でも我々としては非常に助かっています。

 また、久保本人からの提案で、日本アイスホッケー連盟にご協力頂き、子供たちを中心としたアイスホッケー教室を各地(北は東北、南は沖縄)で、開催しています。憧れのトップ選手から指導してもらえるので、参加するお子さんたちの目はキラキラ輝いているのが分かります。これは社会貢献になっているのかなと思いますね。

 

 

コロナ後も変わらぬ支援を継続

 

ラグビーも、アイスホッケーも、ゴルフも、五輪があるから協賛したわけではないんです。露出や宣伝効果を期待してというよりは、それぞれの競技の裾野の拡大や、女性応援が目的で始まっています。それがたまたま、皆さん揃って五輪へ行ってくれて。社員皆で声援を送れることは、本当にありがたいことです。

 

協賛を始めた頃の女子ラグビー選手が置かれた状況は、恵まれたものではありませんでした。当時の担当者が選手たちに、「今後どういう形で活動をしていきたいですか?」と尋ねたら、「椅子のある競技場で試合をしてみたい」と。そんなレベルから始まっているんです。

 

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズも、協会から、「トップの選手は世界で戦ったりして、強化できるけれど、その下のレベルがなかなか試合をする機会もなくて」と伺ったことがきっかけでした。ぜひお手伝いをさせて欲しいということで、始めさせて頂いたんです。

 

今は12チームでやっていますが、1年目は10チームも集まらなくて。色々なチームにお願いして、お願いして参加してもらいました。それが今や入替え戦も行われるほどに成長しました。弊社の応援が選手の育成や裾野拡大に繋がっていることが実感できる、こちらも大事にしていきたい大会だと思っています。

 

写真提供:太陽生命保険株式会社

2020年度は新型コロナウィルスの影響により全大会が中止となってしまいました。私たちとしても非常に残念です。選手たちが一生懸命頑張っている姿を観るのは励みになりますからね。

 

選手たちも、今はコロナでなかなか練習もできず、歯痒い思いをしていたり、焦る気持ちがあるとか思います。ただ、条件は皆一緒だと思うので、またできる日まで、しっかり取り組んで頂けたらいいなと思っています。

 

我々は男子のラグビーをサポートしている企業様のようにお金を出すことはできません。ただ、世界中が大変な時でも、コロナで露出が減ったから協賛を止めますよというようなことはありません。ずっと継続的に応援をしていきたいと思っています。