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マネーフォワードは今、スポーツに懸ける。F・マリノスと「もっと前へ」

2020.10.24 / AZrena編集部


左は黒澤良二・横浜マリノス代表取締役社長。右が辻庸介・マネーフォワード代表取締役社長CEO

2020年10月20日、逆境に立たされているスポーツ界に明るいニュースが飛び込んだ。明治安田生命J1リーグ所属の横浜F・マリノスと、フィンテック界の雄である株式会社マネーフォワードがトップパートナー契約を締結したのだ。今年はコロナ禍によりスポーツ界は入場料収入の落ち込みに泣き、多くのクラブがスポンサーメリットの提供が難しい状況に追い込まれている。そんななかマネーフォワード社の決断はスポーツ界に差した一筋の光にも見える。

スポーツの力はまだ失われていない。むしろ今こそ、その力が再認識されるはずだと語る、株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏に、パートナーシップ締結の経緯を聞いた。

(取材日:10月20日 聞き手:竹中玲央奈、澤山モッツァレラ 文:小田菜南子)

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ずっと描いていたスポーツとの協業

Jリーグクラブとのスポンサーシップは2,3年前から考えていました。スポーツが持つ、人をワクワクさせる力はすごいですよね。仕事をしていて、人とハイタッチして抱き合うなんてことはないですから。見る人にこんなにも力を与えるビジネスに、携わりたいと思ったんです。

今年は新型コロナウイルスの影響で、厳しい経営環境に直面するクラブが少なくありませんでした。そんななか8月に行なったのが、Jクラブと企業つなげる『スポンサーマッチングプロジェクト』でした。マネーフォワードは主催側だったので、その場でスポンサー先を見つけるつもりはなかったのですが、結果的にはその場に参加された横浜F・マリノスさんとのパートナーシップが大きく前に進むきっかけとなりました。

 

実は2年前にも、F・マリノスさんからパートナーシップのご提案は受けていました。

その時は時期が合いませんでしたが、私の友人で、すでにパートナーとして応援されているWIND AND SEAの赤坂さんを通じて試合観戦にお誘いいただき、今年の8月に日産スタジアムでF・マリノスさんのサッカーを生で見ることができたんです。もう、心を動かされましたね。その後、シティ・フットボール・グループの西脇さんからあらためて今回のご提案をいただき、トップパートナーの一員にさせていただくことを決めました。

 

会社が抱えるMissionとの親和性が決め手に

弊社は今年創業9年目を迎え、10年目に向けてちょうどミッション、ビジョン、バリュー、カルチャーを再定義していくタイミングに差しかかっています。我々が掲げている「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを、どう実現していくかを考えていた中、F・マリノスさんの、前へ前へと進めるアタッキングフットボールを目の当たりにしたわけです。強い親和性を感じて、"やっぱりスポーツに関わりたい”という思いが高まりました。

 

加えて、クラブの人柄というか、人を大切にする姿勢というのでしょうか。そんなところにも共感しました。
マネーフォワードはIT企業ですが、ITに詳しくない人たちにも寄り添って、その方々の人生を支えていきたいという思いがあります。実は人間的な部分をとても大切にしているんです。F・マリノスの方々とお会いすると、みなさんとても穏やかで、人としての魅力を感じました。そしてそのベースには、積み上げてきた伝統と誇りがある。「あぁ、このファミリーの一角に入れてもらえたら嬉しいな」と率直に感じましたね。

 

サービス認知の拡大に期待

もちろん、エモーショナルな部分だけではなく、ビジネスとしても可能性を大いに感じています。

弊社のサービスの一つである、個人向けお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』は現在1100万人の方にお使いいただいています。しかし、同じIT業界やインターネットをよく使う方々にはよく知られているのですが、そうでない方にはまだ遠い存在だと考えています。

 

弊社のビジョンは「すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。」ですが、“すべての人”にはまだまだ届いていないのが現状です。また、このパートナーシップで、より広い層にマネーフォワードのサービスを知ってもらう場を持てればと考えています。

 

コーポレートカラーとチームカラーが違うというのはよく言われますが、あまり気にならなかったですね。それ以上に、F・マリノスさんの魅力、弊社の思いとのマッチングが重要でした。むしろ、僕らが青に変えた方がいいんじゃないか、なんて冗談で言っているくらいですよ(笑)。

社員の絆が、サッカーで結びつく

このパートナーシップを社内で発表したところ、これ以上ないくらいに盛り上がったんです。

関わってみたい人がいるか聞いたところ、何人もの社員が手を挙げてくれました。会計士の資格を持つ社員も多いのですが、「僕、選手全員の確定申告やります!」と言っている人もいましたね(笑)。実際、ファイナンシャルプランナーも弊社には在籍していて、お金の悩みを相談するサービスもありますから、選手の資産管理もサポートしていければと思っています。

 

個人的にも、社員がここまで喜んでくれたことはとても嬉しいですね。弊社はカルチャーが強い会社で、900名という規模になっても会社と社員の結びつきに課題を感じることは比較的少なかった。ですが、コロナ禍で出社が週1回に制限されてからは、社員同士の繋がりが弱くなってしまったように感じていました。生産性は維持できても、仕事はそれだけではないですよね。

 

21日の冠試合(J1リーグ第33節 名古屋戦をMoney Forward DAYとして開催)には、20枚のチケットをF・マリノスさんから用意していただいて、最初は抽選にしようかとも思いましたが、もっとたくさんのメンバーと見たくて…。「もう会社で出すよ!」と200名分確保していただきました。リモートワークが始まってから、初めてスタジアムで顔を合わせる社員も多いはずです。みんな全社総会なんかはめんどくさがるのに、人間は本当に正直ですよね(笑)。

スポーツの力はすごいなと、あらためて感じました。みんなで一つのチームを応援できることは、本当に幸せなことですよね。

 

スポーツビジネスへの期待は強まるばかり。共にアジアNo.1へ

コロナ禍で、新しくユニフォームに名前を入れる企業はマネーフォワードが初めてのようです。

スポーツ界に逆風が吹いているのはもちろん承知ですが、うちもベンチャーなので逆張りで。むしろ、この先スポーツ界にはチャンスがあると思っています。新しい生活様式のなかで、社会にも人にもストレスがかかっていますよね。みなさん、ワクワクすることの大切さを実感しているのではないでしょうか。

時代的には残業を減らす流れもあり、さらにリモートワークが広がったことで余暇の使い方を見直す人も多いはずです。そんなときこそスポーツの魅力が再認識されると信じています。スポーツビジネスは、これからもっと伸びていきますよ。

会社としては、日本No.1、その次はアジアNo.1を目指しています。その目標に関しては、F・マリノスさんのほうが近い位置にいますが、僕らも今後グローバルな企業になっていきたい。そのときも根幹にあるのは、私たちのバリューであるユーザーフォーカスという考え方です。ユーザーの方にどう喜んでもらえるか。それは、スタジアムに来た人がいかに楽しんでくれるかという姿勢と同じです。スポーツが持つ爆発的なパワーで、F・マリノスさんと一緒に日本を盛り上げていきたいですね。