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唯一無二の愛情で結ばれる、パートナー企業とサポーターの“特別な関係”

2021.09.28 / 竹中 玲央奈

サポーターにとって、愛するクラブを支えるパートナー企業への想いは特別なもの。 セレッソ大阪のスタジアムDJ西川大介さんと、MCやピッチレポーターとして活躍する池田愛恵里さんは、サポーターの代表とも言える存在です。お二人にとって、共にチームを支えるパートナー企業はどういう存在なのでしょうか。

サポーターにとって、愛するクラブを支えるパートナー企業への想いは特別なものです。例えば日常生活で商品を購入するときも、「パートナー企業の商品かどうか」は意思決定に大きな影響を与えます。

セレッソ大阪のスタジアムDJを20年務めている西川大介(にしかわ・だいすけ)さんと、2013年から応援番組のMCやピッチレポーターとして活躍する池田愛恵里(いけだ・あえり)さんは、サポーターの代表とも言える存在です。長くクラブに関わり続けるお二人にとって、共にチームを支えるパートナー企業はどういう存在なのでしょうか。溢れんばかりの想いを語っていただきました。

(取材日:2021年8月19日)

 

チームへの愛が、パートナー企業への愛に

ーお二人はどのようにセレッソに関わりはじめたのでしょうか?

西川 2001年にセレッソが新しく若手DJを募集していて、数人候補を出した中に僕もいました。1次の書類審査、テープ審査を通過したときに僕ともう1人が残って、実際に喋らせてみようと。そのときたまたま僕が喋ったのが眞中靖夫さんが3分間でハットトリックをした試合だったんです。生まれて初めて「ゴール!!」と叫んだのですが、3分間で3回も言うことになったんですよ。もはや3点目のときは真中さんがシュート打ったらどうせ入るだろうってことで勝手に「ゴール!!」って言ったら、「兄ちゃんおもろいな!」とスタッフの人が盛り上がってくれて、僕が選ばれました。


眞中靖夫さん(写真中央)、2001年7月14日の柏レイソル戦にて眞中選手が3分間でハットトリックを達成

 

そこから20年になりますね。僕自身、四国で育ちサッカーをずっとやっていました。四国は今ほどJリーグのクラブも多くなく、当時はDAZNさんの放送もなかったので、テレビ放映は、たまの日曜日にヴェルディ川崎(当時)の試合があるか、Jリーグオールスターしか放送がなかった。2000年のオールスターのときにピクシー(※ストイコビッチ選手の愛称)&森島(寛晃)さんのスーパーゴールがあって、今でもとても印象に残っていますね。


スタジアムDJ就任当時の西川大介さん

 

池田 私は2013年からです。セレッソが応援番組のオーディションをやっていて、事務所を通じて応募したら受かったんです。同時にスカパーの中継のレポーターさんもやらせていただくことになり、そこから色々とセレッソに関わるようになりました。当時はサッカーのルールすらよく知らなくて、セレッソどころかサッカーという競技に全く接点がない生活を送っていました。

2014年当時の池田愛恵里さん

 

ーチームに関わると愛着が湧いてきますよね。

西川 正直言うと、森島さんや西澤明訓さん、大久保嘉人選手ら僕からしたら伝説的な選手たちが一生懸命プレーしている中で自分が選手の名前を呼んだり、ゴールのアナウンスをしてサポーターが喜んでいるあの空間を目の当たりにして、はじめはかなり驚いたんです。ただ、僕が怖気付いてはいけないし、憧れの人たちが戦っている舞台を盛り上げなければいけない。そういうプレッシャーと闘いながら必死でやっていくうちに、ガッツリとセレッソが生活の一部になりましたね。

池田 2013年は同世代くらいの若い選手がチームに多かったんです。そういう選手にインタビューしたり練習を見に行ったら、若い感じのイケイケなお兄ちゃんみたいな雰囲気あって(笑)。でも、いざ試合に入るとプロの顔つきになる。その両面を見て、尊敬する気持ちが強くなりました。2014年にセレッソがJ2(2部)へ降格したとき、あの瞬間に自然とボロボロと涙が出てきたんです。それまでの人生で、自分のこと以外で悔し泣きをしたことはありませんでした。そのときに「自分はこのクラブを応援しているんだ」とひしひしと感じましたね。

 

ー応援するという観点だと、パートナー企業への愛着も生まれたり。

池田 それはもうすごいですよ(笑)。

西川 クラブからのリリースで「○○社と締結」と出た瞬間から明らかに評価が変わります(笑)。

池田 同じようなジャンルの商品が並んでいて、片方の商品をよく食べたり飲んだりしていたとしても、セレッソのパートナー企業さんが出したものがあれば、そちらをとりますね。

西川 そうなりますよね。僕も結構その思い入れが強いんです。たこ焼き食べたいなと思ったとき、近くにお店があったとしても、わざわざ電車乗って「わなか」まで行きますからね(笑)。レッドブルは試合開始の何時間前に飲むとか、そういうこともするくらい思い入れは強いです。

池田 私もエナジードリンクを飲むとなったときは絶対レッドブルを買います!あと、元々スニーカーも好きなんですけど、プーマさんがセレッソのトップパートナーになってからは、他のスポーツブランドのスニーカーは買ってないですもん。

 

サポーターからも感じる“パートナー企業愛”

ー周りのサポーターもそういった消費行動をとっていますか?

西川 SNSが主流になっている社会なので、ハッシュタグで何か発信するというのはもちろんあるんですけど、それ以外にホームゲームはじめサポーター仲間の方に会った際に身につけているものはパートナー企業さんの商品が多いなと感じますね。先ほど愛恵里ちゃんが言ってたようにウェアや靴がプーマさんだったり。

池田 今年のセレッソのホーム戦でDerailleur Brew Worksさんのコラボビールがあって、私も買って飲みたいと思ったんですけど、すぐに売り切れていて。私の見立てが甘かった(笑)。そのあとTwitterでDerailleur Brew Worksと入れたらセレッソのサポーターさんが上位に出てきて、みなさんビールとテレビの画面を映していました。こういうツイートを見て「ほんまにサポーターの人って、コラボの飲料が出たらみんな飲むんや!」と思いましたし、サポーターのパートナー企業さんへの愛はそういうところからも感じますね。

 

ーパートナー企業もサポーターからすると同じセレッソファミリーという感覚なのかなと。

西川 企業さんがパートナーになった後、“なぜなったのか”という対談やインタビューで話されているコンテンツは、SNSを通じてサポーターは結構見るんですよね。セレッソとどういうきっかけで知り合い、何をしたくてパートナーになったのか。そういう部分は僕もサポーターの方々も見ていて、背景やストーリーを知った時に「絶対にここの商品を買おう!」と思うんですよね。自分がめっちゃ好きで応援しているセレッソを共に応援する、隣に来てくれた仲間を大事にしているみたいな感覚なんですよ。

例えば愛恵里ちゃんが何かのCMに出ていたら僕はその商品を選ぶのと一緒です。セレッソがこの企業さんと足並み揃えて頑張っていきましょう、スポーツの魅力を伝えましょうとなったときに、それにすごく賛同して好きになるという流れですね。

池田 SNSでの露出もすごく大きいと思います。パートナー企業の社長さんとかがセレッソの試合のことをつぶやいていたり、実際にスタジアムに来てその写真載せて応援しているツイートとか見ると、「一緒に応援しているサポーターの1人なんや」と親近感がすごく湧きますよね。

 

ー池田さんはパートナー企業向けのイベントにも出るとおっしゃっていましたけど、企業側のリアクションだったり、そのイベントで得られるものについて教えていただきたいです。

池田 パートナー企業の社員さん向けのイベントのMCをたまにやらせていただくことが多いのですが、実際にその企業さんの商品を手に取ることはできても、会社の中で実際に働いている方と触れ合うことはそんなにないじゃないですか。このイベントで実際に社員さんと触れ合うことで、本気でセレッソを応援してくれている人が多いことに気づかされますね。「年パスを買ってホームゲーム全て行ってます」という人もいれば、「いつも番組見てます!」と私に声をかけてくれる人もいて。それはとても嬉しいですよね。

西川 僕はパートナー企業さんのサポーティングマッチで企業名を言うときや、ハーフタイムでキャンペーン告知のCMをするときはめちゃめちゃ良い声で喜んでもらえるように喋ったろ、と意識しますね(笑)。観に来ている社員さんに喜んでもらえるように、と。スタジアムDJがパートナー企業の話をしていることにどれだけ価値がつくのかはわからないですけど、「仲間になってくれてありがとう」という思いを全力で伝えようと、かなり集中して取り組みます。独特ですけど、そこにはすごくこだわってます。

 

「パートナーさんが絡むとお財布の紐が緩くなります」(笑)

ー思い出深いアクティベーション事例だったり、〇〇デーが印象に残っているとかあったりしますか?

西川 サポーティングマッチだと、日本ハムさんとのものです。日本ハムさんには、ハミューとかベーコロンとかソーセジータとかヤキベータというマスコットキャラクターがいるんですけど、彼らが来てハーフタイムにハムリンズ体操というものを踊るんですよ。若かりし西川はピッチに降りて一緒に踊っていました(笑)。そういうのは結構面白かったですよ。子供たちもスタンドで一緒に踊ってましたし、その姿を見て良いなと思いましたね。あと、企業訪問は印象に残りますよね。マスコットや企業さん、子供たちと触れ合ったことを僕は覚えていたりするので、訪問した際にそのときの思い出をお話ししたります。

池田 私はレッドブルの宣伝カーがスタジアムの中にきたイベントが印象に残っています。お祭りっぽくて楽しかったです。そのほかに自分が体験したものだと、大阪学芸高校さんに行った時です。学芸を卒業した選手と“母校へ一緒に行く”という感じで行かせてもらったんですよ。学校に入ることってあまりないので、どんなものか不安だったのですが、本当に明るい人が多くて。

西川 学芸の先生はほんまに明るいんですよ。

池田 本当に明るい校風で、その日は生徒さんに制服を借りて実際に着させてもらったりして(笑)。めちゃくちゃ楽しくて、通いたくなりました。

大阪学芸高校訪問時の写真

 

西川 そういう意外性はありますよね。堅い企業かと思ったらすごくユニークな人がいたり。セレッソのパートナー企業を集めたパーティーで色々な企業さん同士が話しているのを聞いたり、セレッソを介して企業と企業がつながっていく姿を見たりするのは面白いですよ。こういう会話からビジネスが生まれるのか、と。

ヘソプロダクションというグッズ会社の社長さんと話していて、僕がセレッソに関わりはじめて20周年と伝えたら「西川さんの声で目覚まし時計作ろうや」ってなって。冗談かと思ったんですけど、実際にグッズ化しましたからね。

池田 その会話をしていたときに私もいて、「社交辞令かな。どうなんやろ」と思っていたんですよ。でも、本当に製品化されたので驚きでした。ちなみに私もヘソプロダクションさんの期間限定のショップが大阪駅にできた時に2回くらい行かせてもらいましたけど、やっぱり買っちゃいますよね。パートナーさんが絡むとお財布の紐が緩くなります(笑)。

グッズ化された目覚まし時計

 

“声”と“発信”を通じて魅力を伝えていきたい

ーお二人の中でパートナー企業とこういう取り組みやコラボができたら面白いんじゃないかということはあったりしますか?

池田 昨年のファン感の冠企業だった中西金属工業さんにお邪魔したことがありました。初めて森島さんと一緒に社内見学をしたのですが、これが楽しくて。中西金属工業さんは金属の部品を作っている会社というイメージ止まりで、深くは知らなかったんですよ。でも「新幹線のこの部分の国内シェアが100%です」という話を社員さんから聞いて、新幹線に乗るときは意識するようになったり、純粋にすごい企業なんだなと思ったり。こういう感動があったので、YouTubeの番組やSNSなどを通じて、こういう社内見学の様子をセレッソのサポーターさんに発信していきたいですね。

西川 外から見ているだけではわからないこともありますもんね。社内にセレッソ関連の製品が展示してあるコーナーがあったり、ご両親がセレッソサポーターだったから入社したという人がいたり。企業さんの内側に入ることで色々、全く知らなかったことをたくさん知ることができる。僕もすごく楽しかったんですよ。色々な会社さんでこういう仕事をしていて、こういう人がいて、こういう気持ちでセレッソをサポートされていて…という部分が伝わる企業訪問ができたらなとは思いますね。

 

ー良さを伝えていきたいと思ってもBtoBの企業の見せ方は難しいですよね。

池田 私たちが手に取れるものとそうではないものがありますからね。例えば、日本ハムさんやレッドブルさんのように、日常生活でその企業の商品に触れる機会の多いパートナー企業さんもたくさんありますけど、不動産関係のパートナー企業さんだったら、なかなかそういう機会も少ないですよね。これからはそういった企業さんの魅力を知って伝えていくことができたらなと。

 

ー最後になりますが、今後はどういった取り組みをして、どういう関係性でありたいと考えていますか?

西川 セレッソを応援しているパートナー企業さんはたくさんいて、その企業の看板を街で見かけるだけでも僕らはパワーをもらえます。だから、その恩返しをするためにSNSで発信したり、何か力になれるのであれば僕の声を使ってもらいたいなと思います。録音して音源を渡しますので。そうやってメッセージ性があるものを仲間として一緒に届けていけたら、とは思いますね。パートナー企業さん、僕や愛恵里ちゃんのような長くリポーターやDJを務めている人がいて、それぞれがセレッソを支えようとしているというのはとても素敵な関係性だと思いますから。より今でしかできないものを広げていきたい、考えていきたいなとは思っています。

池田 私はセレッソの応援番組からさせてもらう中で、自分は何者でもないと思っています。サポーターさんの代表として選手のところに聞きに行って、聞いてきた話をサポーターの人に届ける役割にすぎないと。セレッソや選手の内面、素晴らしさをもっと伝えていけるように、をモットーにリポートとかMCをさせてもらっていいます。これは、実際にイベントでパートナー企業さんに行かせてもらったときも同じです。これからも“ちょっと喋れる”サポーターの代表として、感謝の気持ちを持って、パートナー企業さんをもっと身近に感じてもらえるようにお手伝いできたら良いなと思っています。

 

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