【後編】地元・静岡に返り咲いた市川大祐。怪我との闘いを乗り越え、再び“王国”で輝きを放つ

2014.11.22 森 大樹

市川大祐

 

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長年慣れ親しんだ清水エスパルスを離れる

 

-市川選手は本当にサポーターに愛されていると思いますが、普段から応援してくださる方々に向けて意識されていることはありますか。

応援してくれるファンがいるからこそ素晴らしい環境でプレーできています。意識の面ではこのチームの試合なら、この選手のプレーならいくら出してでも観に行きたいと思われるようでなければならないとは考えています。もちろん調子の善し悪しはあると思いますが、その中でもベストを尽くして何かを感じてもらわないといけません。なので諦めたプレーはプロとして見せてはいけませんし、その義務を果たしてこそピッチに立つ権利があると思っています。

 

-大切なプロ意識ですよね。今日も気を抜かずに黙々とトレーニングしている姿に感動しました。

アップとかも一生懸命やっているとはよく言われますね。奥さんからは全力でやり過ぎじゃないかと言われたこともありますけど(笑)それはサンちゃん(※サントス元選手)が教えてくれました。アップでは誰よりも高く足を上げて、大きくブラジル体操をするんですよ。これはプロだなと思いましたね。手を抜いているところを見たことがないです。そういう選手がお手本として近くにいたことは本当にありがたいですね。

※サントス元選手:鹿島、清水などに所属し、41歳までJリーグでプレーした「鉄人」。

 

-それを見習って自分のものにしようと思うのもすごいと思います。

そこは気付くかどうかでしょうね。ただあれだけ長く一流でプレーを続けられるのには理由があります。アップは確認作業ですからね。普段と違うことをやっていたら自分の調子は分かりませんが、同じことをやっていれば分かりますから。

 

-市川選手の年齢も当時のサントス元選手の近づいて来ていますが、改めて思い出すことはありますか。

やっぱり試合前に声をかけてもらうと落ち着きましたね。今日あなたすごくいいプレーをするよ!と言われたり。そんなに今日俺いいのかな、と思うこともありましたよ(笑)

 

 

市川大祐

 

-清水に所属されていた期間が長く、そこで選手として幕を閉じるという選択肢もあったと思います。その中でチームやリーグを変えてでも選手として続けられているモチベーションはどういったところにあるのでしょうか。

J1でやっている時はJ2のことは分かりませんし、J2や今のJ3でプレーするというイメージもなかったです。やる以上はトップリーグで続けたいと考えていました。J2に移籍する時考えたのは、やっぱり僕がやりたいのはサッカーだったということです。自分が好きで始めたサッカーをまだまだやり続けたい、納得するまでやりたいと思いました。もちろんそれで辞めるという選択をできることは素晴らしいですし、やっているからすごいというのはないと思います。ただ僕よりも1年でも長くプレーしている選手は尊敬しますね。年齢を重ねることの難しさはどんどん分かってきますから。

好きで始めたサッカーをこのまま終わらせたくなかった

 

-長く選手を続ける秘訣があれば教えてください。

オーバートレーニング症候群を通して、さらに体に気を使うようになりました。僕はトレーニングをガンガンやってしまう方なので、コントロールすることが大切だと思っています。ただ、コントロールすることが甘えだったり逃げになってしまうんじゃないかと考えたりもします。そこが難しいところです。調子が良ければどんどんトレーニングしてしまいそうですが、試合でベストな状態で臨むためにはここでやめておいた方がいいだろうと経験を通して判断できるようになりました。若い選手はどんどん練習や無理なプレーをしてしまって体への負荷を大きくかけてしまった結果、調子を維持できない、波ができてしまうところがあると思います。本当は調子がいい時ほど体の手入れをしないといけないんですよね。若いからどんどんやれ、ではなくちゃんとしたケアの仕方を早い段階で学んでおくべきだと思います。

 

-藤枝MYFCの魅力とどういったところでしょうか。

魅力をこれから付けていかないといけないチームです。観客動員も平均で1200人ちょっとですし、周りからもっと知ってもらったり、認めてもらったりすることが必要でしょうね。そういった部分をつくっていくやりがいや面白さはあると思います。

 

-市川選手から見て日本のサッカーのレベルは上がっていると思いますか。

上がっていると思いますね。海外で活躍している選手を見てもそうですよね。僕が18歳でJリーグに入った時にミランで10番を背負い、インテルでキャプテンマークを巻き、マンチェスターUでプレーする日本人選手が出てくるとは想像もできなかったと思います。しかし実際に今は各チームで軸となる活躍をしています。もちろん海外の目が日本に向いているというのもあるのでしょうが、それを差し引いてもやはり選手の力があるからこそポジションを勝ち取っていっていると思います。

 

市川大祐

 

-今後の市川選手の目標を教えてください。

清水の最後の年から膝の調子が悪く、甲府、水戸とケガの調整で苦しみながらプレーしていました。斉藤俊秀前監督から藤枝の話を頂いた時も迷ったんです。でもこのまま終われないなという気持ちがあり、去年膝の手術をして夏の天皇杯のエスパルス戦で復帰しました。今の目標はすごくシンプルで、ケガで思うようにサッカーを楽しめなかった時期が続いたので、ピッチでプレーする喜びを始めたころと同じように感じたいと思っています。好きで始めたサッカーをこのまま終わらせたくなかったんですね。そこには目標がないわけではなくて、もちろん高いレベルでプレーしたいという気持ちはありますが、根底にあるのはそういうところです。

 

-サッカー選手をされていて、面白い話や豆知識があれば教えてください。

そうですね・・・サカつくというゲームがあるじゃないですか。自分でJリーグのチームを運営するゲーム。その中で、自分を獲得しようとするんですよ。市川大祐を。そうすると、当時エスパルスで貰っていた年俸を自分は知っているわけですから、それより高い金額で交渉しようとします。そこでも首を横に振った時、なんでこんなに渡すのにOKしないんだよ!今より高いだろ!!と、思ったりしますね(笑)

 

-最後にファンや読者の方にメッセージをお願いします。

サッカーはやればやるほど深いものがありますし、年齢を重ねてきてそれをより感じることができる素晴らしいものです。皆さんにそういった魅力を伝えられるようにピッチにこれからも立って、元気な姿で表現していきたいと思います。

 

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