【後編】ケガは自分の弱い部分を変えるチャンス。理学療法士が説く逆転の発想。

2014.10.05 AZrena編集部

玉置龍也

 

【前編】はこちら

 

多くの人に適切な方法でスポーツを楽しんで欲しい

 

-医科学センターの良いところを教えてください。

MRI、超音波など、整形外科の診断に用いる機材が豊富にあります。他の医療機関にもありますが、たいてい他科と兼用で検査が埋まっていてなかなかスムーズに受診できなかったりもします。それに比べて、医科学センターは検査を当日に行うことも可能で、スポーツに必須の迅速な診断が可能です。人というところで付け加えますと、スポーツに特化しているリハビリの専門家がいることも強みだと思います。スポーツでケガをした人の場合、身体の機能やスポーツ動作などを徹底的に調べて、ケガの原因を見つけて根本からしっかりと治療することができます。

 

-診察だけでなく、リハビリまで本当に充実しているのが医科学センターというイメージがあります。

他の医療機関のことはそこまでわかりませんが、医科学センターでは「専門家が治す」のではなく、「自分で治す」ためのノウハウを盛り込んだ運動によるリハビリの対応ができます。

 

-玉置さんの仕事や人生の目標を教えてください。

「若い子達をはじめ、多くの人に適切な方法でスポーツを楽しんで欲しい」という思いが一番です。また、できるだけケガを減らし、ケガをしたとしても適切に対処をして、スポーツが暗く悲しい思い出になってしまう人が減ってほしい、と昔から思っています。そのために、医科学センターに来た方達にケガやリハビリに関しての情報を知ってもらうことはもちろんですが、書籍やウェブを通じて外部に発信したり、実際に講演やイベントを通じて伝えにいったりと、いろいろな形の活動により情報を伝えていけたらと思っています。

 

-今スポーツではセカンドキャリアの問題があると言われています。

なかなか難しいですが、ビジョンや方向性はしっかりと持ちつつも、一つのプラン(例えば自分の行ってきた競技だけ)に固執はしない方がいいのかな、とは思います。私自身もある方向性には向かっていますが、1つに固執せずにいろんなことに取り組むようにしています。ただ、やりたいと思うことは自ら公言することも大切だと思います。そして、今やっていることをしっかりとやった上で、人の繋がりを大切にすること。そうした発信や繋がりがきっかけとなり、道が開けることも多いと思います。正直、今の私があるのもこうした姿勢で回りに助けられているおかげと思います。それまで様々な局面で努力してきたことは、誰かがきっと評価してくれるので、それを信じて進むのみです。

 

-今の仕事をしていて、面白いなと思うことを教えてください。

楽しいと思うことは、ケガでもトレーニングでもコンディションであっても、結果を目の前で見ることが出来て、その場で反応が返ってくることが嬉しいです。ライブ感があるというか。こちらで考えうる可能性を精一杯考えて伝え、結果としてその人に変化が現れることで共感を得られ、喜んでもらえることが本当に嬉しいです。それが現場の良さであると思いますし、出来るだけ直接多くの方の役に立ちたいです。「ありがとう」と言われると、今でもゾクゾクしますね(笑)

 

-いいですね!!反対に苦労されることはありますか。

いろいろ試行錯誤して悩むことはあります。治療に入るまでの経過が良くないと治りにくいこともあって、安静にして長期間休めば治るけれど、競技しながらだとなかなか難しい部分もあります。競技を中止して安静にしてください、と言えれば良いのですが、選手によって最後の大会である場合など、安静にしなさいと一概に言えない状況もあります。その時は、競技をしながらきちんと治してあげられないことが心苦しいし、効果的な方法がなかなか見つからないときはかなりつらい気持ちになります。

 

-選手は休める状況ではなくとも、一方的に「安静にしなさい」とだけ言う方もいるので、選手と相談して、競技を継続しながら治療やリハビリを行って、現場に復帰できる状態にまでもっていくことは、非常に大切ですね。

医科学センターでは、ドクターであっても「安静にしなさい」とだけは言わないです。ケガの状態を診て、これくらいの痛みなら競技をしながらでも治療ができる、リハビリをしながら治せるなどの判断もします。身体のことだけでなく競技のことも考慮に入れられる、それこそがスポーツ専門のドクターなんだなと感じます。もちろん、骨や靱帯の損傷のように運動を継続すると悪化する場合は止めますが、そうでない場合と切り分けて、医学的にダメという判断だけではなく、選手の状況に応じて、ケガの状態と競技をすることのメリットを天秤にかけて提案します。

 

-医科学センターに来られる年齢層は若い方が多いですか。

普通の病院よりは若い方が多いと思います。けれど、60、70代の方も多く来られます。基本的にはスポーツをされている方を専門的に扱う施設なので、年代を問わずスポーツを行っている方の受診が多いと思います。ただ、スポーツに関する方だけでなく、日常生活で膝が痛いなどの一般の方も整形外科を受診されますし、リハビリとは別の運動療法のコースに通って治しています。その点では基本的にどんな方がきても運動での治療により対応できる施設です。

 

-スタッフは何人くらいおられますか。

在職者は理学療法士が16人、運動指導をする助手が7名ですね。日ごとにシフトが決まっており、理学療法士10人と助手4人が勤務して臨床を担当しています。

玉置龍也

 

ケガは「自分の弱い部分を変えられるチャンス」

 

-医療系の仕事をしていなかったら、何をしていましたか。

大学で体育学科に移る前は、物理学者を目指していました。その前だと、電気電子学科に興味をもっており、情報やパソコンを扱うことに惹かれていました。

 

-東大理一出身ですものね。数字などがお好きなのですか。

データを処理することや、作業を効率化するのが好きですね。パターン化したり、データを簡単にまとめたり、自分の負担を減らすことになるのがいいですね。

 

-アメフトは戦術の数が多いと聞きますが、頭脳的な部分で東大は強いのでしょうか。

アメフトは1回1回プレーが止まるので、崩れても立て直しやすいと思います。プレーごとにある程度のフィジカルを発揮することができれば、プレーが止まって仕切りなおせるので、戦略も通用しやすいのだと思います。反対に、ラグビーは流れでどんどん進んでいくので、フィジカルと戦略のバランスが崩れるとプレーが壊れてしまいます。アメフトの方が、戦術が活きやすい面があるのだと思います。

頭脳的な面もあると思いますが、90年代始めはどの大学もあまりトレーニングが確立されてなかったと聞くので、トレーニングをして身体大きくして、パワーも発揮することができれば、一回一回のプレーで勝てました。東大は、90年代に身体を大きくするトレーニングを一気に行って、他の強豪校に負けないくらいの力をつけて、東大旋風を巻き起こしました。今では、どの大学もトレーニングをして大きくすることが当たり前になっていますけどね。

 

-玉置さんのスポーツ以外の趣味を教えてください。

バイクでツーリングしたり、そのままキャンプに行ったり、一眼レフカメラで写真を撮ったりします。あとは、簡単なプログラミングも趣味でします。

 

-プログラミングもされるのですか。

大学の先輩に教えてもらった程度で、あとは独学でやっています。やるたびに後から、もっとこうやった方が効率いいぞ!ということに毎回気づいて楽しいです。ちょっと無駄もある気がしますけどね(笑)

 

-自分の魅力を教えてください。

「反省はして後悔はしない」ことです。次に活かすために後ろは振り返りますけど、引きずりたくはないので、反省して次に繋げて終わりです。指導でも同じ様に、「今回はダメだったけど、こうしたら良くなるよ」という形で次に生かすようにしています。

 

-成長の極意ですね。最後に一言見てくださる方々にメッセージをお願いします。

ケガには必ず原因があります。筋力が弱い、柔軟性が低いとかだけではなくて、使い方が良くないだとか、動きの中で姿勢が悪いなどの原因も必ずあります。ケガをして休むのは辛いことですが、逆に痛みが出たことで自分の身体と向き合えて、自分の弱い部分を変えられるチャンスだと思ってもらいたいです。ケガを治すだけでなく、パフォーマンスも良くして復帰できるようにする。私はそれをできる場所を提供したいし、みなさんの近くにそういう場所が見つかることを祈っています。

 

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