障がい者スポーツが将来性NO.1!パラリンピックの“五輪を超える”魅力とは?
リオオリンピック開幕を間近に控え、同時にパラリンピック開幕も約1カ月後に迫っている。自国開催の五輪・パラリンピックが決定したことで、日本でもより一層関心が高まっている障がい者スポーツ。その注目度の高さは、データに目を向けても顕著に表れている。
障害者スポーツが評価される理由
今後、将来性のあるスポーツについての調査(SportAccordが実施)
まず話題に挙げたいのは、今後将来性のあると見られているスポーツのデータだ。2014年3月に1500人を対象に行われた調査では、スノーボードと女性スポーツの58%を抑え、障がい者スポーツが72%でトップに躍り出ている。近年は冬季パラリンピックの視聴者数が世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」を超え、日本でも障がい者スポーツのメディア露出が増えていることを考慮すれば、納得のデータといえるかもしれない。
五輪/パラリンピックへの興味度の経年変化(上が五輪、下がパラリンピック)
次に、五輪とパラリンピックの興味度の経年変化に着目してみよう。すると、五輪は2014年6月から2016年6月までの2年間でわずか3%の上昇に留まった一方、パラリンピックは2014年6月から2015年12月までの1年半で約2倍にも膨れ上がった。2016年6月時点では28%とやや落ち込んだが、ここ数年で注目度が増していることは明白である。
パラリンピックに関心を抱いているのは、スポーツファンだけではない。東京五輪・パラリンピックではスポーツメーカーはもちろんのこと、NECや富士通といった先端技術を駆使する大手企業がスポンサーに名乗りを上げている。障がい者スポーツ最高峰の大会であるパラリンピックは、企業にとっても認知度拡大やマーケティングという様々な理由から、重要な場所である。
実際にパラリンピックのスポンサー企業が「パラリンピックアスリートに関するストーリーは、オリンピックアスリートよりもある意味強い共感を与える」「パラリンピックは高いパフォーマンス性と社会性が結合された非常にユニークな二元性を併せ持つ」と語っている。パラリンピアンの成し得た、障がいを乗り越え、スポーツの世界でトップレベルまで上り詰めるという事実は常人のそれとは比べ物にならないくらい険しい道程であることは想像に頑ない。そして、そこにたどり着くまでに彼ら彼女らが辿ってきた過程、ストーリーは見るものを惹きつける力がある。そういった点を考えると、企業の中にも純粋に“サポートをしたい”という思いが生まれるのだろう。この大会のスポンサーとなることには、障がい者スポーツを支えるというCSR的な側面があることも間違いない。
パラリンピックを通して、より住みよい社会の実現へ
五輪/パラリンピックに対するイメージについての調査
では、五輪とパラリンピックではどの程度イメージの差があるのだろうか。
「グローバル」「社会貢献」「共感できる」など、大会への印象が10項目用意された中で、五輪がパラリンピックを上回ったのは「グローバル」「影響力がある」の2項目のみだった。「夢を与えてくれる」「挑戦している」といった項目でパラリンピックが五輪を上回った理由には、先に述べた物語性や、すべての障がい者がパラリンピアンから勇気や希望を受け取っているという背景が目に見える。
パラリンピックの開催は、障がい者スポーツを取り巻く環境の向上やバリアフリー化に寄与することは間違いない。日本でも2020年に向けて競技会場の整備や、各競技の体験会などが積極的に行われており、今後はより一層、障がい者スポーツへの関心が増すはずだ。単なる競技としての魅力だけでなく、障がい者の自立や社会参加の支援体制を強化する意味でも大きな役割を成すパラリンピック。大会を通して、4年後に日本が今と比べ、障がい者にとってより住みよい社会となっていることを期待したい。