パラリンピックの更なる発展へ。成功の鍵を握るのはアジア!?
2018年から4年間で3度、パラリンピックがアジアに
このほどリオ五輪が終わったが、その後はアジアでの五輪とパラリンピックの開催が続く。下記の図が示している様に、2018年には韓国北東部の平昌で冬季五輪が行われ、2022年には中国の北京で冬季五輪が開催される。そして、間の2020年には言うまでもなく東京五輪がある。2018年から2022年の4年間の間に、アジアで3度五輪とパラリンピックが開催されるだけに、日本も含め、アジア全体でパラリンピックを盛り上げたいところだ。
では、アジアの国のパラリンピックに対する関心度はどうなっているのだろうか。
アジアの国のパラリンピックに対する関心度は低い?
※各国のパラリンピックへの関心度を示すデータ
上のデータによると、パラリンピックに強い関心度を持っている国の上位3カ国はコロンビア、イギリス、アルゼンチン。その中で気になるのはアジアの国だが、日本は19%と低くはないものの、韓国は9%、サウジアラビアは4%とアジアの国における関心度の低さが目立った。
韓国にとって五輪・パラリンピックが開催されるのは1988年のソウル大会以来。これを機に、よりパラリンピックに対する関心がもっと高まる事を期待したいところだ。そして、同時にアジア全体でパラリンピックの関心度を上げていく契機にもしたいところである。
アジアの国がパラリンピックで成功する為に
先ほど示したデータでは、イギリスはパラリンピックに対する関心度は高かった。この理由として、2012年のロンドン五輪の成功が挙げられる。前回記事でも言及したように、その後、イギリスのChannel4が制作した2012年以降のパラリンピックとパラ・スポーツのイベントに関する報道番組は非常に高い評価を獲得している。カナダでは、CBC,Yahoo,Sportsnetを含む大手のメディア数社によるコンソーシアムをカナダパラリンピック委員会が設立し、放映権を一括で獲得している事実もある。
欧米ではパラリンピックの商業的な発展が進んでいる中、日本やアジアの国が行動を起こしていないわけではない、日本やアジアの企業も着実に、パラ・スポーツの支援に乗り出している。
上記の様にVISA、総合医療福祉機器のメーカーであるOTTO BOCK、SAMSUNGらがワールドワイドパートナーとなっている中、日本の企業では、TOYOTAがIPCのコマーシャルプログラムに参画している訳だが、IPCの活動資金の約半分は、パラリンピックで得られた収入である。
パラリンピックで選手が競技に全力を出せた背景にはIPCの支援の力が大きい。IPCは、リオ五輪以後を見据えて、すべてのパートナー企業との契約更新に向けて既に話し合いを進めているという。その他、IPCはパラリンピックに対する長期的な関心の向上を図る為に、世界中で行われている他のパラ・スポーツ大会に対する認知・関心の向上にも尽力している。
2017年には、ロンドンでパラ世界陸上選手権やメキシコでのパラ世界水泳選手権などの世界大会の開催が予定されている。これらの大会が継続していくことで、パラリンピックのファン、放送局、そして、スポンサーが付くことによって選手が競技により一層集中出来る環境が整うはずだ。
すでにパラ・スポーツに対する関心度が高い欧米に続いて、アジアで開催されるパラリンピックの成功が、パラ・スポーツの更なる発展の鍵を握っている事は間違いないだろう。