サガン鳥栖からユヴェントスF.C.へ。Cygamesは何故スポーツへ投資をする?

2017.11.05 AZrena編集部

※写真提供:株式会社Cygames

2017年シーズンも残り2ヶ月になり佳境に入ってきた明治安田生命Jリーグ。各チームが熱戦を繰り広げているが、その中の1クラブである「サガン鳥栖」は2015年7月に株式会社Cygamesとスポンサー契約を締結している。

 

Cygamesは『神撃のバハムート』、『グランブルーファンタジー』、など著名なゲームを次々に世に送り込んでいる。中でも2016年にリリースした『Shadowverse』は日本語にとどまらず、英語版、韓国語版、繁体字版、フランス語版、イタリア語版と多言語版を発表した。自社の顔とも呼べるゲームという分野で世界の市場へ歩を進めている中、実は別軸でもグローバルな動きを加速させているのだ。

そして、ニュースでも話題となったが、2016年度の欧州ナンバーワンサッカークラブを決めるチャンピオンズリーグで2位となった世界的名門・ユヴェントスF.C.とスポンサー契約を結んだ。前述のサガン鳥栖に続き、2つ目のクラブスポンサー締結になるが、なぜCygamesはスポーツへの投資をすることを決めたのだろうか?そして、ゲーム会社がサッカー界にスポンサードするそのメリットとは。代表取締役社長である渡邊耕一氏に話を伺った。

地元の佐賀に元気が無かった。

-まずは、サガン鳥栖のスポンサーとなった経緯から教えて下さい。
私の地元が佐賀というのは1つの理由としてあります。「人づくり」「まちづくり」「夢づくり」を理念に置く、ホームタウンの人口が7万2千人程の決して大きくないクラブが「鳥栖市を、佐賀県を元気にしよう」という思いで活動していたことですね。選手の活躍や、サポーターや地域の皆様と成長してサッカーの普及・振興に努める姿に共感し、活動を支えるためにスポンサーの一員となりました。スポンサードを通じて様々な施策の中で地域・社会貢献活動を行うことにより企業価値や認知度をより向上させたいと考えています。あとは単純にサッカーが好きだからですね。

加えて、背景としてとにかく佐賀に元気が無かったことが挙げられます。僕が子供の頃は多くの子供達が道で遊んでたんですけど、そもそも子供が歩いてないどころか人が歩いていないという状況になっていたんですね。私たちはゲーム会社なのですが、ゲームという分野は極論、子供がいないと未来がないんです。

 

例えば僕が小さい頃、ファミコンで色々なゲームをやっていたから今がある。「小さい頃にゲームをやってました」と言える子供がいないとゲームの産業は大きくなっていかないのかなと。そういった観点から、人口が減っていくことになると僕らのようなエンタメ企業はジリ貧だと思うんですよね。だから少しでも地元を活性化できたら、という思いはありました。

 

-鳥栖のスタジアムは国内でも屈指の見やすさがありますが、そこに惹かれた部分はあるのでしょうか。
ベアスタ(※正式名称:ベストアメニティスタジアム)は良いスタジアムですよね。行ったときに、サポーターの応援が気持ち良かった印象があります。

 

-それこそ、スタジアムを使ったイベントを行うことは無いのでしょうか?
そういうのはやってないですね。グッズは作って販売しているのですが、スタジアムでどうこう、というのはベアスタが鳥栖市の持ち物なのでできないんですよね。ただ、様々な施策を通して鳥栖市との関係も良好になってきました。

 

-スポンサーになることでクラブにおける決裁権というところは少し気になる部分ではあります。
そういうことは一切ないですよ。勝った試合の後に監督とも勝った時に「今日の審判ひどくない?」とか「あそこ攻められたから次は修正しないとですね」というような話をする程度です。試合には行ける時は極力、足を運ぶようにしています。鳥栖でやる時と、関東圏でやるアウェイの試合ですね。息抜きがてらに仙台へ行ったりもしました。

 

複数チームからユヴェントスF.C.を選んだ理由

-ユヴェントスF.C.という新たな国外のチームへのスポンサーとなりましたが、複数のチームからオファーがあった中でこのチームを選んだということを伺いました。
代理人の方から色々とお話が来たのですが、明らかにユヴェントスF.C.の資料が1番しっかりしていたんです。また、クラブカラーと弊社の色合いというのも大きかったかなと。ユヴェントスF.C.のチームカラーである「ビアンコ(白)、ネロ(黒)」と弊社のコーポレートカラーは一致しているので、強い縁は感じますね。

ただ、もう1つの理由としてユヴェントスF.C.が絶対的に強いというのもありますね。国内リーグで6連覇中ですからね。チャイナマネーが入ってくることで勢力図は変わるかもしれませんが、イタリア国内で最も強いチームというのは大きいです。今年のチャンピオンズリーグも勝つことを期待していたのですが、少し脆さを露呈していまいましたね。

実は決勝の前に(スポンサーを)決めてくれたら、決勝の前にプレゼンをしてくれるという話もありました。ですが、「ちょっと待ってくれないか」と話をしたんです。そうしたら、「決勝で勝っても負けても値段は変えない」とユヴェントスが言ってくれたので、そこに誠実さを感じましたね。CLの決勝で勝てばクラブの価値は上がる訳で、勝ったことによって提示するスポンサー額を上げることも、普通なら考えると思いますので。

 

-締結に当たってはどれほどの時間がかかったのでしょうか。
詳しい交渉内容はお伝えできませんが、1年近くの交渉期間がありました。私自身がイタリア・トリノに足を運び、弊社の考え方を知ってもらい共通点を見出す作業からはじまりました。ユニフォームスポンサー以外の看板や広告物などの当社ロゴの入り方など、一つ一つ丁寧に話し合いを重ね、契約直前にはマーケティング担当役員も来日し、詳細を詰めました。契約発表の手法や他社との比較など話し合いを重ね、結果的に合意に達したという形です。

 

-イタリアに実際に足を運ばれたとのことですが、印象に残っていることはありますか?
スタジアムも見ました。イタリアの人たちの印象も良かったですね。人が良い。フランスだとフランス語が話せないと受け入れられないというような雰囲気が少しあるじゃないですか。ホテルマンがようやく英語が通じるぐらいで。イタリアは言葉は喋れないですけど「よく来たな!」、「これがうまいぞ!」というようなことを言ってくれて、全体的に親切だなと感じました。