「専門店はライバルではなくパートナー」。ゼビオが示すスポーツ小売りの新たな世界[PR]
ららぽーと堺に大型スポーツ専門店のゼビオと岸和田スポーツがコラボレーションOPENをします。 第2回目は、協業に至った経緯やこの取り組みに期待することなどをゼビオの木庭寛史さんに伺いました。
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全国展開をする大型スポーツ専門店と、特定の地域に根付いた専門店。一見してライバル関係にある両者が、手を取り合ってビジネスを加速させる事例が生まれます。
関西で店舗展開をするスポーツ小売りの岸和田スポーツが運営するサッカー&フットサル専門店「Kemari87 KISHISPO」が、2022年11月8日にオープンするゼビオ株式会社(以下「ゼビオ」)が運営するスーパースポーツゼビオ ららぽーと堺店とコラボレーションOPENをします。このゼビオ堺店舗内にサッカー売場は設けられず、実質的に「Kemari87」がゼビオ堺店に来店するサッカープレーヤーの受け口となります。
地域に密着しサッカー&フットサルを中心とする専門性で展開するスポーツ小売店と、全国展開で培ったオールスポーツの専門性でスポーツ小売りが展開する新たな世界に注目が集まります。
AZrenaでは、全3回にわたり異なる立場から施策に携わる人々のインタビューをお届け。
<第一回・岸和田スポーツ 阪下社長のインタビューはこちら>
今回は、ゼビオ株式会社 取締役兼上席執行役員で、本事業の責任者を務める木庭寛史氏に、岸和田スポーツとの協業に至った経緯や大型スポーツ専門店と専門店の違い、ゼビオとして取り組みから期待することを伺いました。
実店舗の存在意義とは?ゼビオが大切にする二つの“価値”
ーまずは、木庭さんの経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
高校時代まで熊本で過ごし、立命館大学に進学してから留学も経験しました。卒業後は、総合商社に入社し、繊維関係の仕事をしてきました。実は新卒から10年間、ゼビオの担当をしていたんです。それから香港と上海に3年間、海外駐在をして、帰国してからはまた繊維関係。しばらく大阪、東京で生地関連、経営企画の仕事をした後、ゼビオから声をかけられ、2021年4月にゼビオにやってきました。現在は、取締役兼上席執行役員を務めています。
ーゼビオと岸和田スポーツの取り組みがはじまりますが、木庭さんはどういった役割を担っているのでしょうか?
店舗の運営から商品の管理まで。事業の責任者という位置づけですね。
ーECが主流になってきているなかで、スポーツアパレルはとくに実店舗の運営が難しくなっている印象がありますがいかがですか?
おっしゃる通り、お客様の買い物の仕方も、我々が提供するべき価値も変わってきています。ゼビオとしてもECの売り上げは毎年順調に伸びているのが実情ですが、“実店舗の存在意義”についての議論を重ねています。
ゼビオは、お客様に商品を買っていただき、使ったときに感じる“使用価値”、その先にある勝利や記録更新などの時に感じていただける“感動価値”を大切にしています。なので、ただサイズが合うものをECサイトで購入する、もしくは1円でも安いものを買う、というのではなくて、店舗で商品を選ぶところからお客様のストーリーをサポートしたいと考えています。それが実店舗の存在意義だと考えています。
ー製品を手に取って検討できたり、スタッフとの交流が生まれたり、実店舗ならではの強みは変わらないですよね。
そうですね。実際に製品を試していただけるのも実店舗の存在意義だと思います。ただそれ以上に、販売を通してコミュニティの起点になることが重要だと考えています。
例えば、地方に移住して、サッカーをやりたいとき。どこでやったらいいのか分からない。そんなときに、地域のコミュニティと繋がっているゼビオのナビゲーターがいて、その交流がきっかけになってチームに入った、とか。そういうストーリーを全国各地でつくっていきたいと考えています。スポーツコミュニティのハブになるという部分を、今後の我々の実店舗の存在意義として打ち出していきたいと考えていますし、岸和田スポーツさんとも一致した考えです。
「専門店は競合ではなく、地域のスポーツを盛り上げるパートナー」
ー専門店のほうが一つの競技に特化しているため、店員さんの知識が深かったりしますよね。専門店との差別化はどのように考えていますか?
専門店のほうが深い知識を持っていることは間違いありません。今回、岸和田スポーツさんと協業することを決めたのも、彼らが持つ“専門性”や“地域性”がゼビオのパートナーとしてピッタリだと思ったからです。
我々は、専門店を競合とは考えていません。地域のスポーツを盛り上げるパートナーだと思っています。岸和田スポーツさんだけでなく、全国には特定の競技が盛んな地域や学校などの教育機関とつながりが強い専門店が多くあります。そういったお店と共存しながら、どうやって地域のスポーツを盛り上げていけるか、という視点で取り組みを広げていきたいです。
ーゼビオの思いを伝えるきっかけにもなりますよね。
岸和田スポーツの阪下社長とゼビオの役員には昔から接点があり、互いにリスペクトしてきた経緯があります。今回の協業もその会話の中から生まれました。
新しくオープンするスーパースポーツゼビオ ららぽーと堺店について話したときも、「子どものサッカー用品を買いにきたお父さんお母さんも、家族全員が楽しめるお店にできたらいいね」と、方向性は一致しています。
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ー岸和田スポーツとのコラボ出店での最大のメリットはどういったところにあると考えていますか?
彼らの“専門性”が勉強できるところだと思います。ゼビオとしても店舗が増え、店舗にいるナビゲーターの知識や経験値をどう蓄積するかが課題になっているなかで、岸和田スポーツさんの持つ知識を取り入れられるのが最大のメリットかなと思います。
ーゼビオは歴史もあって、多くのデータや知識がありそうな印象があります。それでもやはり専門店のほうが特化しているだけの強みがあるのでしょうか?
過去からの営業活動の中で、多くのデータ、経験はありますが、岸和田スポーツさんのように地域を知り尽くした専門性には及ばないところがあり、関西でサッカーを専門に取り組まれている岸和田スポーツさんの持っているノウハウ、地域に根ざした専門性は勉強になると考えています。
ー“地域に根ざした専門性”とは具体的に?
例えば、出店の仕方ですね。岸和田スポーツさんは、中には決して行きやすい場所ではないところにも出店するんです。その理由を阪下社長に聞いたら、「わざわざ来てもらえるお店にしたい」と。地域の特性をよく研究したうえで、店舗としての魅力・能力があるからこそできる出店方法だと思います。
一方、ゼビオが新たに出店する際は、人口などを調査して、どのように商圏をつくり出すかを考えています。これからは規模が大きければ良いという時代ではないと考えているので、地域のニーズに基づいた、あるいは新しいニーズをつくり出すような店舗運営をしていくべきです。そういった意味で、岸和田スポーツさんの動きは大変勉強になります。
強みと経験を生かし、関西から全国へ。
ー今回の取り組みはゼビオの役員の方と阪下さんの会話から生まれたとのことですが、ゼビオ社内ではどういった位置づけなのでしょうか?実施にあたりハードルとなる部分はありましたか?
すべてスムーズに進みました。やはり最終的なゴールが双方で一致していたのが大きかったかなと思います。
ー新たにオープンするららぽーと堺店について、出店する理由やそれまでの経緯があれば教えていただけますか?
ららぽーとさんとの関係は長く、堺に限らず全国各地に出店させていただいています。今回も岸和田スポーツさんとのコラボが決まる前から出店は決まっていました。
堺という地域は、先ほどお話した我々の出店基準と照らし合わせても魅力的な商圏です。出店するからには、周辺地域の皆さんに愛されるスポーツ店にしていきたい。そんな中、岸和田スポーツさんとコラボできるのは大きいですね。
ー最後に、今後の展望をお願いします。
企業として売上をあげることはもちろん大切です。ですが、それ以上にスポーツを愛する人が求めるもの、あるいは競技力上達に必要なものを提供したいという思いが強いですし、それがスポーツ用品店のミッションだと思っています。小売店の間だけではなく、将来的にはメーカーさんとも価値観を共有したうえで、よりよい製品を届けられる環境をつくりたいと思っています。
現在は関西地区、サッカーだけの取り組みですが、今回をきっかけにコラボの幅が広がる可能性はあると感じています。全国展開しているゼビオの強みも生かしながら、多くの専門店さんと共存共栄して、この取り組みを全国に広げたいです。今後もいろいろな切り口で、新たな事業を創造していけると考えています。