パラリンピックの課題は、認知度向上。観戦率わずか1%から抜け出せるか
2020年の東京パラリンピックに向けて、日本では様々な障がい者スポーツのPR活動が行われている。
障がい者スポーツには、健常者スポーツとは違った見方や楽しみ方ができるという魅力がある。尚かつ、自国開催のパラリンピックとなれば、実際に世界レベルを間近で見られる絶好の機会でもある。
東京パラリンピックでは22競技が行われるが、国民はどの競技に関心を持ち、どのようにパラリンピックと関わっていくのだろうか。世界最大のスポーツマーケティング調査会社・ニールセンスポーツが2017年に調査したデータを元に検証していく。
最も関心の集まった競技は...?
この表は、東京パラリンピック全22競技の関心度を表している。アンケートは全国の16〜69歳を対象に、3月と9月の2回に分けて実施された。
最も国民の関心が強かったのは陸上競技だった。次いで水泳、車いすテニスと続き、1位の陸上競技から7位のバドミントンまでは関心度が2割を超えた。一方で、視覚障害者5人制サッカー(ブラインドサッカー)以降の競技は、関心度が約1割や、1割以下にとどまっている。
結果的にはオリンピックでも人気が高い陸上競技、水泳、卓球や、障がい者スポーツの中で人気が高い車いすテニス、車椅子バスケットボールが上位を占めた。一方で、健常者スポーツで発展途上の競技は、障がい者スポーツにおいても関心が低い。国民の関心をいかに引き寄せていくかが課題と言える。
なお、3月と9月のデータでそれほど大差は見られていない。
本番に向けた認知度アップが必要不可欠
次に、各競技の認知度を示した表に着目すると、いずれの競技も現地での観戦率は1パーセントにとどまった。
メディアで注目度の高い陸上競技、車いすテニス、車椅子バスケットボールの認知度は、約6割まで伸びてきている。ただ見方を変えれば、注目度の高い上位3競技であっても、約4割の国民には認知されていないのが現状である。
2020年の東京パラリンピックは、各競技の認知度を上げる好機でもある。しかし、大会への関心や参加を促すためには、大会前の認知度アップは必要不可欠となるだろう。
現地観戦の層をいかに増やすか
最後に「東京パラリンピックへの関わり方」を、一般層と東京2020パラリンピックに興味があると答えた層に分けて分析を行った。
注目すべきは、「パラリンピック競技と関わることには関心がない」と答えた一般層が、半数を超えたことだろう。
障がい者スポーツはメディアに取り上げられることも少なく、体験できる場も限られており、一般層が競技に触れる機会はごく僅かだ。一方で、大手フリマアプリの「メルカリ」がパラリンピアンの支援を行うなど、障がい者スポーツに携わる有名企業は、ここ数年で徐々に増えてきている。
今後は選手や大会関係者だけでなく、メディアや企業とも力を合わせ、一般層へのアプローチを強化していく必要がある。
前述の通り、パラリンピックは障がい者スポーツの認知を得る格好の機会となる。本番で盛り上がりを見せるためには、事前の認知度向上が必要不可欠だ。障がい者スポーツを身近に感じさせる取り組みを今以上に増やし、東京パラリンピックがより注目度の高い大会となることを期待したい。
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