【後編】ボクシング世界王者・藤岡奈穂子。見据えるは前人未到の3階級制覇

2015.02.17 森 大樹

藤岡奈穂子

 

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自分が道を切り開いて後輩のための土台づくりを

 

-最近では※ファスティングにも挑戦されていますが、その理由を教えてください。

※ファスティング:断食のこと。ここでは酵素を摂取しながら行う気軽で安全なプチ断食のことを指す。

やはり一回内臓をキレイにしたいと考えたからです。血管も若返ったりするみたいなので、少しでも競技をする上で有利になるためにやることにしました。食事は5日間抜きましたが、前後2日くらいも含めると2週間食事には気を付けていました。水を1日2リットル以上と酵素を取るようにしていました。自分は元々脂肪がそんなになかったので、2kg弱くらいしか体重は減りませんでしたが、普通の人はもっと減らせると思います。

ファスティング期間中もスパーリングなど、トレーニングはしていました。スタミナは落ちますが、筋肉は落ちないので時に問題はなかったです。深く呼吸ができるようになりましたし、速くも走れました。その期間中は肉、魚、卵などは一切口にしていません。意識して生野菜を食べるようにしていましたし、終わった後はそれまで結構飲んでいたお酒の量が減りました。効果が実感できたので、定期的にやっていきたいと思います。

 

-今後は3階級制覇も見据えているのでしょうか。

はい。でも上ではなくて下の階級にいきたいですね。2階級飛ばしているので(笑)上のバンタム級は難しいと思います。

※3月14日にWBC女子インターナショナルスーパーフライ級タイトルマッチに挑戦予定

 

-藤岡さんが思う、ボクシングの魅力を教えてください。

長くやりすぎていて表現するのが難しいですが、アマチュアとプロで違うと思います。アマチュアだとオリンピックでメダルを取ることが一番です。スポンサーも付きませんし、自己満足な部分が多いです。プロはスポンサーや後援会が付いて応援してくれる人も増えるので、自分だけではなく、いろいろな人も期待も背負うことになります。結果による恩返しの部分が大きいかもしれません。自分が道を切り開いて後輩のための土台づくりをしたいという気持ちもあります。

 

-選手生活の中で一番苦労したことと嬉しかったことを教えてください。

苦労してばかりです。女子ボクシングは知名度も低いですし、慢性的に人が増えないという悩みもあります。あとは私がミニフライ級のタイトルに初挑戦する日取りが2011年3月12日でちょうど東日本大震災発生の翌日だったんです。前日の計量の直後に地震がありました。連絡も取れなくなって、試合が中止になるのかも分からず、結局日付が変わったくらいに中止の連絡がありました。やはり自分は運がないのかなと思いました。元々東京には運試しに来ているようなものでしたし、ボクシングなんてしている場合ではないのかと考えたりもしました。

結局5月に試合は延期になりましたが、タイトルを獲得したときには本当に嬉しかったです。地元にそれを持って帰ることができることを楽しみにしていました。宮城からはまだ世界チャンピオンが出ていなくて、私が初という喜びもあり、ベルトを持って炊き出しに行ったりしました。私の地元は内陸だったので津波の被害はなかったですが、地震の被害が大きかったです。

 

-2階級制覇の時はどういった心境でしたか。

ただ驚いただけでしたよ。取れちゃった、というくらいの感じでした(笑)2階級制覇は誰しも無謀だといいました。でもそれを覆すのは気持ちいいことです。ボクシング雑誌の下馬評も悪く、オッズも低かったのでさらに燃えました。

 

-今女子ボクシングが強い国はどこになりますか。

メキシコ、アルゼンチン、あとはヨーロッパの方です。日本もボクシング大国だと思いますが、取り上げられ方がまだまだだと思います。海外だとかなりの金額をもらえるようです。

 

-それは海外のファイトマネーが大きいということですか。

ファイトマネー自体はそんなに日本でやるのと変わりません。もちろんチャンピオンとして行くのと、挑戦者として行くのでも違ってきます。渡航費込みでの提示なので、主催者は費用がかかっていると思いますが、もらう方の額はあまり変わりません。数年前は景気がよく、数百万円単位のファイトマネーがもらえたと聞いたことがあります。試合のプロモーターによっても金額は変わります。

藤岡奈穂子

まずはボクシングに触れてみてほしい

 

-競技以外の時間の趣味はありますか。

ないです。いつも寝ています。それかお酒を飲んでいるかです。人としてこのままでいいのかと思いますよ(笑)

 

-もしボクシングをされていなかったら何をしていたと思いますか。

たぶんそのまま佐川急便で荷物を運んでいたでしょう。もしかしたらドライバー日本一になっていたかもしれません(笑)

 

-今の藤岡さんの目標を教えてください。

今はひたすら女子ボクシングの知名度を上げることです。あとは後輩を育てることです。タイトルマッチを控えた子達がスパーリング相手をお願いしに地方から来てくれたりもしているので、こちらも身を削ってやるようにしています。スパーリングもそうですが、ミットを持って動きを教えてあげるとすごく喜んでくれます。所属先でどの程度やっているかもありますが、実績がある程度ある人に教えてもらえると自信にもなるみたいなので、やってあげたいです。

 

-チャンピオンを身近に感じる機会が増えることで裾野も広がっていくといいですね。

今は部活でも女子ボクシング部ができているところもあります。私の頃では考えられないことです。なので今からアマチュアでやる子達には期待しています。当然今後アマチュアで始める人はみんなオリンピックを目指すことになると思います。でももしダメでもプロに転向してくれれば基礎がしっかりしているので伸びると思います。プロが解禁になった時もアマチュアの人が転向してきたことでプロのレベルが上がりました。

 

-ご自身で思う、藤岡さんの魅力を教えてください。

ストイックでないことですかね。いつもダラっとしています。ボクサーはトレーニングですごく追い込むイメージがあると思いますが、私は全然しないです。走り込みなんていつも走っているように言っていますが、そんなにやらないです。だから普段走っていないから合宿に連れていかれるんです(笑)

自然体だから続けられているというのはあります。後輩に聞きましたが、きついトレーニングばかりを続けていると負けてしまった時に辛い思いをしても勝てないのであればやめてしまおうと心が折れてしまうようです。それと自分を比べるとダラダラやっていたことがよかったのかもしれません。何か正しいかは分かりません。

 

-女子ボクシング選手をやっていたからこそ起こったエピソードがあれば教えてください。

お風呂やトイレに行くと驚かれます。髪も短いですし、肩もがっちりしているからだと思います。なので少し躊躇しますし、驚かせて申し訳ない気持ちになります。

 

-最後の読者の皆さんにメッセージをお願いします。

なかなかテレビで放送される機会もなく、観てもらいたいですが観るのは難しいと思います。入り口は何でも構わないので、まずはボクシングに触れてみてほしいです。いろいろな選手がいるので、近くのジムにいる女の子でもいいですからまずは応援してあげてください。そこから深くボクシングに関心を持ってほしいです。

 

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