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田島達朗(フロアボール元日本代表)が放つ、競技普及への熱意。

2014.05.26 / AZrena編集部

田島達朗
 
本日は、フロアボールの日本代表選手として活躍されていた田島達朗さんにお話しを伺いに参りました。現在はフロアボールショップ「SANNO SPORTS」を経営されています。現役時代は、フロアボール選手とサラリーマンという二足のわらじを履きながらの活動されていたとのこと。フロアボールとは何か、その魅力に迫ります!
 
※フロアボール(ネオホッケー)とはプラスチックのボールをステックを使い、相手のゴールに入れる得点競技です。アイスホッケーの室内競技のイメージです。(ネオホッケーは、フロアボールを簡易的にしたレクリエーションスポーツ)
 

知られざるフロアボールの世界

 
――まずは、フロアボール歴を教えてください。
 
小学3年生からネオホッケー(ユニバーサルホッケー)をやっています。中学三年生からフロアボールを始めました。去年(2013年)までやっていたので・・・何年になるんだろう?トータル18、9年はやっていたことになると思います。
 
――長いですね!
 
放課後にサッカーや野球もやったりはしましたが・・・。僕は東京都調布市出身なのですが、小学生のクラブ活動でも中学校の部活でもネオホッケー(ユニバーサルホッケー)がありました。高校では部活に所属せず、クラブチームに所属し、大学も続けました同クラブでプレーしていました。出身の国士舘大学には今でこそフロアボールのチームがありますが、当時は無かったですからね。社会人になってからはSEとして働いていたのですが、そこでの企業から資金を援助してくださり、応援をして頂き、日本代表としてプレーしていました。
 
――フロアボールとの出会いはどのような感じだったのですか。
 
実は僕が小学校3年生の時に出会い始めたのは「フロアボール」ではないんです。海外から日本にフロアボールが来たときに、レクリエーションスポーツに変換されて紹介されました。「ユニバーサルホッケー」と「ユニホック」という2つのレクリエーションスポーツです。僕が小学3年生の頃に始めたのは「ユニバーサルホッケー」です。これはフロアボールから作られたスポーツですが、今説明したように、日本独自のスポーツということになります。
 
――ユニホック…、ユニバーサルホッケーが省略したみたいな名前ですね(笑)。今は2つともスポーツとして存在しているのですか?
 
今はどちらもありません。いや、無いというよりか、2つの競技が1つに統合されました。統合されて「ネオホッケー」という名前に変わりました。レクリエーションとしての要素が強いです。
 
ちなみに、「ユニバーサルホッケー」というのは日本の大手Aメーカーが用品を作って提供していました。普及の速度はフロアボールをそのまま広めるよりも速かったと思います。もうひとつの「ユニホック」は『ユニホック』というフロアボール用品メーカーの名前から付けられたものです。「ネオホッケー」と「フロアボール」のふたつとなり、レクリエーションの部とスポーツの部で別れています。
 
僕は小学3年生で「ユニバーサルホッケー」に出会って、小学6年生の頃このホッケーで日本代表になって世界を目指すんだ!と思っていましたが、いざ高校生になってより詳しく調べてみるとそれが日本にしかないスポーツだったという現実を知ったというわけです。
 
――なるほど。競技がいくつかに分かれているということは、団体、もしくは協会自体も別だったのでしょうか。
 
はい。協会はフロアボールを入れて3つありました。昔は協会が別々でしたが、今は1つに統合されています。
 
――なるほど。また、現在田島さんは日本初のフロアボール、ネオホッケーの用品を扱う専門店を経営されています。
 
はい。これも面白い話なのですが、先ほど話に上がったスウェーデンの『ユニホック』というメーカーがあったため、今年(2014年)まではルールでネオホッケー用品は「ユニホック」メーカーのものしか使えなかったんです。サッカーで例えるならば、ナイキの用品しか使えない、ナイキのウェアでしか大会に出られないというようなものです。そういう縛りがあったので僕のお店の用品は何も売れなかったんです。それが協会がひとつになったことから打診を続け、他メーカーでの販売もOKになりました。
 
――道具だけでなく、ルールも違うのですか。
 
そうですね。フロアボールは競技レベルが高い。サッカーみたいにルールが危険か危険じゃないかという度合でのファールラインがあります。レクリエーションの部は子供から年配の方まで競技をするので、スティックを上げて良いのも膝より下までというルールだったり、身体では当たってはいけない、など、きっちりとしたルールが決まっています。競技のレベルとしてはそこまで高くはないですが、安全性は保たれています。
 
――ちなみに、競技人口はどのくらいなのでしょうか。
 
フロアボール連盟の人数は、ネオホッケー(レクリエーションの部)が8割、フロアボール2割です。そのフロアボールの2割もネオホッケーとの掛け持ちをしている競技者が多いのが現状です。3,500人が競技者として登録しています。登録をしていない人を入れたら5,000人を超えるでしょうが、フロアボールはその2割、また掛け持ちをしているという少ない人数の中から日本代表を出したりしているなど、現状としては厳しい、日本ではまだまだマイナーなスポーツだと思います。
 
――田島さんは昨年まで選手として第一線でご活躍されていたということですが、何故辞めてしまわれたのですか?
 
昨年1年間、選手である僕はコーチを兼任しました。選手兼コーチというのはマイナースポーツではよくあることなんです。でも、掛け持ちは良くないと感じたんですね。これは僕の考え方の話になってしまうのですが、コーチであるのに、考え方が選手よりになってしまったり、指導という点において障害があったり。指導者という枠をつくるべきだと感じて選手を辞めました。今はコーチ専任です。
 
ただ、今後はフロアボール普及のために活動の幅は広げていこうと考えています。例えば、今は関東リーグが1部と2部しかないのですが、フロアボールを楽しむ人向けに3部を作るため自分が2部の選手として登録、活動をすることだったり、依頼を受ければフロアボールを教えたりすることです。実際に、授業で教えて欲しいとの依頼を受けて相模原の卒業前の高校生に教えてきました。その時は男女混合だったのでレクリエーション性の高いネオホッケーを行いました。

スティックと上履きさえあれば手軽に楽しめる

 
――Link Sportsでもイベントでフロアボールを教えて頂くことは可能ですか。(5/2に実施済。下記が実施時の写真)
 
フロアボール
 
もちろんです!ぜひ!!フロアボールの普及活動は厭いません!
 
――小学3年生から社会人まで、続けられたということですが、田島さんをそこまで惹きつけるフロアボールの魅力って何ですか。
 
いやー、ホントその質問よくされるんですけど、いつも困ってしまうんですよ。純粋にフロアボールがやりたいだけ、というか。
 
――レクリエーションの要素が強いということもあってかお話を聞いていると実際にやってみたくなります。
 
確かに、スティックと上履きさえあれば手軽に楽しめるというのも魅力の一つですね。ユニフォームやスティックが結構オシャレというのはポイントが高いかもしれません。(海外メーカーの製品を見せて頂く)
 
――相当オシャレですね。スティックもウェアも。
 
そういった点で魅力とも言えます。ただ、魅力という観点とは異なるかもしれませんが、僕がフロアボールを普及させたい思いは別のところにあるんです。スポーツは人を豊かにするという考えが僕にはあって。
 
スポーツをやっている子供、特に上手くなりたいと切実に思っている子が、例えばサッカーでドリブルが上手くない、シュートが上手く蹴れないと、「うまくいかないことに悩むこと」と、大人になって仕事をやっていて「うまくいかないと悩むこと」って考え方は根本的に同じだと思います。恋愛も同じです。悩んでそこで止まってしまったら終わりだけど、そこから「考えて成長できる」ところはスポーツの考え方とやっぱり一緒だと思います。
 
だから子供の時からそういった考え方をいっぱい持てる人が増えたらいいなと思ったんです。サッカーでも野球でもスポーツなら何でもいい。でも僕がそれを気づけたのがこのフロアボールだったのでフロアボールを広めて、そういうことを知ってくれたらいいな、と思っているんです。サラリーマンを経験して良かったです。こういうことろにも気が付けました。
 
――仕事では何か迷い悩んでいるときに、お金(給料)が出ることでそれでもまあ、仕方がないかと流される人も多いだけに、考えて解決する力。というのは重要になってきますね。どの年代にも。
 
本当にそうだと思います。
 
【後編】へ続く