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坂爪亮介、長野五輪以来のメダルへ。ショートトラック期待の星が、平昌で勝負をかける

2016.01.07 / 森 大樹

坂爪亮介

坂爪亮介は小学生の頃からスケートを始め、アジア大会500m銅メダル、2014年ソチ五輪出場などの成績を収めており、今後の日本を背負う期待の星。ショートトラック競技の日本勢としては長野五輪以来となる平昌五輪でのメダルを目指して、奔走中だ。

アメリカで始まったスケート人生

 

-坂爪さんのスポーツ経歴から教えてください。

小学校2、3年生の時からサッカーをやり、スケートは小学3年の冬に始めました。中学では卓球をしながらスケートを両立させていました。

 

-スケートを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

生まれは群馬県なのですが、2~6歳の間は親の仕事の関係でアメリカ・ミシガン州に住んでいました。そこでスケートをやっていたので、日本に帰ってきてからも始めることにしました。

 

-競技として本格的にやるようになったのはいつからですか。

小学校4年生くらいからでしょうか。近くのスケート教室に通うようになりました。その教室がショートトラックを専門としていたので、初めからずっと同じ種目で、転向を考えたことはないです。

 

-ショートトラック競技の魅力を教えてください。

レース中に駆け引きがあるところです!前で逃げる、後ろから差す、と戦略も豊富にありますし、相手を抜くという行為には危険も伴うので、観ている方も楽しいと思います。

 

-初めた頃から具体的に五輪に出たいなど、トップレベルを目指していたのでしょうか。

小学生の頃から五輪に出たいという想いはありましたが、なぜか日本一を獲ることについては自分の中でリンクして来なかったんです。もちろん日本のトップにならないといけないと五輪には出られないわけですが、そこはあまり意識していなかったと思います(笑)

ただ、繰り返しますが五輪に出たいという思いはありました。

 

-坂爪さんの今の目標を教えてください。

2018年の平昌五輪でメダリストになることです。

 

-協会の強化指定選手Aに選ばれていますが、具体的にはどういったサポートをしてもらえるのでしょうか。

ナショナルチームとして組まれている合宿などの活動費はかかりません。でもその他の部分の費用はかかるので、選手達は会社に所属したりして、賄っています。

坂爪亮介

 

 

-当然海外での試合もあると思いますが、何か苦労したこともありますか。

僕は時差がダメなんですよね。移動に関しては飛行機の席が通路側であれば大丈夫です(笑)長距離移動の場合、ずっと同じ体勢でいるのはよくないので、立って歩いたり、水分補給したりすることは意識しています。通路側だと、それがやりやすいんです!

 

-坂爪さんが好きな選手はいますか。

ヴィクトル・アン(ロシア)選手です。元々韓国の選手でしたが、様々な事情があって国籍を変え、現在も活躍しています。僕の中のキング・オブ・ショートトラックです。特に勝ち方の部分が素晴らしいと思っています。ショートトラックはレース運びや戦術の中でも一番差しが難しいのですが、それをやっているところが格好いいです!だからといって自分がそれになりたいというわけではないですけどね。あとは先行逃げ切りのタイプですが、ノ・ジンキュ選手(韓国)が好きです。自分はその2人のいいところを取って、様々なレース戦術で戦える選手になることを目指しています。

 

「元々日本も弱かったわけではない」

-そういった強豪国に今後どのようにしたら、日本は勝っていけると思いますか。

元々日本も弱かったわけではないんです。日本が強かった時代に、日本人がコーチとして韓国や中国に教えるようになってから、彼らは強くなっていきました。

選手としては海外と同じように強化費などの金銭的な部分を含めたバックアップがあると助かりますね。当然その期待に応えていける自信もあります。

大抵は五輪の2年前から強化費の額が大きくなってくるのですが、その間の2年間は夏もあるからなのか、少ないことが多いです。でも今年は五輪の3年前にもかかわらず、強化費が出て合宿が組まれたりしているので、ありがたいですし、結果を出したいと思っています。

 

-ショートトラックをするのに向いている体格や適性などはありますか。

種目にもよると思いますが、僕は体が大きい方がいいと思います。そしてその体を使いこなすことが大切ですね。

メンタル面について自分は比較的落ち着いている方だと思いますが、燃えて血が騒ぐタイプの選手の方がいいかもしれません。

 

-普段はどのような形で練習をしているのでしょうか。

ナショナルチームの練習に帯同するか、国立スポーツ科学センターで練習をしたり、合宿をしたりしています。所属先の会社にも応援して頂き、今の環境を与えて頂いているので、本当に感謝ですね。

 

-競技面での坂爪選手が持つ強みを教えてください。

相手を抜く技術と判断力、あとは気持ちを切り替られる部分ですかね。ショートトラックは1日に何ラウンドも滑るので、悪いレースをしてしまっても精神的に切り替える力が必要なんです。

 

2度の骨折を乗り越え、まず目指すはW杯でのメダル獲得

-競技を続ける中で一番嬉しかったことを教えてください。

先ほど話に出たヴィクトル・アン選手に実は過去に何回か試合でも勝ったことがあります。そのうちの1回がソチ五輪の1年前のプレ五輪で、僕以外のヴィクトル・アン選手や(※)J.Rセルスキー選手、(※)カク・ユンギ選手は五輪メダリストでした。その中で1位通過をすることができたのは成績以上に嬉しいものがありました。

※J.R.セルスキー選手:アメリカの選手で、2010年バンクーバー五輪・1500m銅メダリスト

※カク・ユンギ選手:韓国の選手で、2010年バンクーバー五輪・5000mリレー銀メダリスト

 

-反対に苦しかったこと教えてください。

私は過去に2度大きな怪我をしています。1回目は高校2年生の時に大腿骨を骨折しました。2回目は一昨年の五輪シーズン前年に右脛骨を折りました。

 

-怪我としては骨折が多いのでしょうか。

骨折もしくは裂傷してしまうことが多いです。転んで他の選手と重なってしまい、スケート靴の刃で切ってしまうんです。

 

-レースに対する恐怖心が生まれることはありませんか。

僕はあります。それも怪我を経験しているからだと思います。でもどのスポーツ選手にとっても怪我をすることは怖いですし、苦しいことだと思います。ただ、それでもレースになればそこに集中し全力で結果を求めます。

 

-もしショートトラックをしていなかったら何をしていたと思いますか。

よくそういうことを考えるのですが、思いつかないですね。スケートをやめてからも想像つきません。今これだけの情熱をスケートに注いでいるので、何か別の事を同じようにできるか、やってみないとわかりません。企画とか経営とか楽しそうでやってみたいなって思います。

 

-最後に読者の方へメッセージをお願いします。

 

平昌五輪でのメダリストになるためにまずは今シーズン、W杯でメダルを獲ります。僕らもSNSなどで魅力を発信していきますが、皆さんにはぜひ生で観戦してもらって、その良さを体感して頂きたいと思います!