ダブルダッチ界の中心人物が伝授!“究極のロープスポーツ”の楽しみ方

2017.05.11 田中 紘夢

2本のロープを用いて、ターナー(回し手)とジャンパー(跳び手)が多種多様なテクニックを披露する「ダブルダッチ」。その起源については諸説あるが、1970年代にアメリカで広くスポーツとして楽しまれるようになったと言われており、当時から大会も開催されていたと言われている。日本では1996年4月に日本ダブルダッチ協会(JDDA)が発足し、近年は積極的な普及活動が進んでいる。

 

縄跳びや大縄など、誰でも一度は遊んだことのある「ロープスポーツ」の一種ではあるが、その中でもよりパフォーマンスに特化しているのがダブルダッチの特徴だ。アクロバティックなダンス要素や音楽との融合など、見どころは多岐に渡る。

 

現在は日本でも数多くの大会が行われており、世界大会に直結するバトルやイベントも存在する。その一つが、今年3月に行われた「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN」である。このコンテストは日本最高峰のダブルダッチの大会と位置付けられ、世界への舞台を賭けた戦いとなっている。

 

 

ダブルダッチには様々なジャンルが存在するが、日本では決められた時間でどれだけ多くジャンプできるかを競う「スピード」と、チーム演技の技術力・表現力・構成力・独創力を競い合う「パフォーマンス」がメインで、パフォーマンス部門はジャッジの審査によって順位・勝敗が決まる。今回行われたDOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2017では、国内で活躍するダブルダッチプレイヤーのほか、海外のプレイヤーや日本のトップダンサーもジャッジとして招聘された。

 

そのジャッジを務めた一人であるSHUNに、ダブルダッチの審査方法や大会を観る上での楽しみ方を伺った。

 

ターナーとジャンパーの技術力を“総合評価”。音楽との融合にも注目

SHUNは、日本初のプロダブルダッチチーム「J-TRAP.」のメンバーとして、数々の大会やイベントに出演する業界の中心人物であり、その実績から現在は大会のジャッジとしても活躍している。今大会のパフォーマンス部門は構成力、独創力、技術力、表現力という4項目に分けて審査が行われたが、SHUNは技術力および独創力の項目を担当した。

 

各項目の審査基準について、SHUNは「技術の項目では、技の熟練度を審査します。一つ一つの技を危なげなく安定して魅せられるか、技に合うロープの回し方ができているのか、音楽のテンポに技術が合っているのかなど、ターナーとジャンパーの技術力を総合的に評価します」と、ポイントを明かした。

 

独創に関しては「今まで見たことのない、誰も行ってこなかった表現方法を取り入れたチームにオリジナリティの点数を加算します。ただ、ジャッジのメンバーによって初見かどうかは分かれてしまう可能性があるので、公平性を図るために複数人で独創力を審査しています」と語っている。

 

今大会は総勢8人でジャッジを務め、各個人が1〜2項目の審査を担当した。構成は3人、独創は4人、技術は3人、表現は2人でジャッジを行っている。ダブルダッチを含めたストリートスポーツは、フィギュアスケートのように技ごとの明確な得点が定められていないため、ジャッジの好みなど、主観的な考え方が審査に影響を及ぼす可能性は否定できない。

その不公平性を防止するために、ダブルダッチはジャッジの人数を多く確保し、各項目を複数人で担当することで厳正な審査を行っている。なお、大会によってはオーディエンスジャッジ(観客による審査)も稀に存在するという。

 

また、今大会ではSHUNの担当外ではあるが、表現力の項目に含まれる「表情」もキーポイントになるという。各チームは「音楽とパフォーマンスにあった表情」が求められ、表情の統一感も採点に影響を及ぼすのだ。また、観客を意識しているかどうかも重要視され、「観客やジャッジに目でアピールをせず、パフォーマンスで手いっぱいになっているチームは点数が伸びない」とのこと。見る者にエンターテインメントを提供するパフォーマーとして、視線の配り方も表現の一部となり、評価の対象となる。

 

ダブルダッチのパフォーマンスでは様々なテンポの曲が使われ、ヒップホップやハウス、J-POPなど、ジャンルもチームによって異なる。日本人が初めて音楽に合わせてダブルダッチの演技を行ったことから、音楽に合わせて行うスタイルを海外のプレイヤーから「ジャパニーズスタイル」と呼ばれることもある。

 

かなり稀なケースではあるが、演技時間内の一部を “無音”でパフォーマンスを行うチームもある。ジャンパーがロープの上を跳ぶ音や、ターナーがロープを回す音が直に伝わるため、音楽との融合とは違った躍動感が感じられる。このように、ダブルダッチは使用する音楽の自由度が高い。ただ、もともとダブルダッチの起源が“非行防止”であることから、スラング(ある階層・社会だけで用いられる卑語・俗語)が含まれた音楽はNG、または減点対象になる大会があるほか、中には課題曲に合わせてパフォーマンスを行う場合もある。