スポーツ×街づくり。ベイスターズが「横浜スポーツタウン構想」に賭ける思いとは?

2017.08.31 新國翔太

「I☆(LOVE)YOKOHAMA」

この言葉をコンセプトに掲げ、“スポーツ”を軸とした街づくりや産業創出を推進しているのが、横浜DeNAベイスターズだ。

球団初年度である2012年シーズンから、横浜の街が一体となって盛り上がるイベント『YOKOHAMA STAR☆NIGHT』を開催するほか、2016年シーズンにはビジターユニフォームのデザインを一新。胸に配置されているロゴを「DeNA」から「YOKOHAMA」に変更するなど、横浜の街に根ざしたさまざまな取り組みを行なっている。


写真提供:横浜DeNAベイスターズ

また2017年、「横浜スポーツタウン構想」を掲げ、スポーツxクリエイティブをテーマとした取り組みを発信する拠点「THE BAYS(ザ・ベイス)」をオープンしている。

スポーツと街づくりが融合した先にあるものは何か——今回、横浜DeNAベイスターズの経営・IT戦略部部長 木村洋太氏に話を伺った。

地域密着はベイスターズにとって“必然”だった

– 横浜DeNAベイスターズはもともと、「コミュニティボールパーク」化構想を掲げられていたと思います。なぜ、「横浜スポーツタウン構想」を掲げることにしたのでしょうか?

木村:まず前提として、「横浜スポーツタウン構想」は「コミュティボールパーク」化構想の拡大版である、と我々は定義しています。決して、別々のものではありません。

今までは、「コミュニティボールパーク」化構想を掲げ、横浜スタジアムに足を運ぶ“機会”と“場所”を増やしてきました。ただ、ここ数年で座席稼働率が90%を超えるようになり、「チケットがとれない」「横浜スタジアムに行きたくても行けない」という人が増えてきた。これは考え方を変えて、横浜スタジアムでの盛り上がりを街に広げていかなければいけないな、と。

– そうした経緯を経て、スポーツを軸に街づくりを進めていく「横浜スポーツタウン構想」が出来上がっていったんですね。

木村:そうです。横浜はもともと野球好きが多いことに加え、地域愛が強い人が多い。「どこ出身?」と質問したときに、神奈川県ではなく「横浜」と答えるくらいですから。そんな地域愛が強い場所をスポーツの力でもっと賑わいをつくっていきたい。

そういう考えの元、「横浜スポーツタウン構想」を掲げ、街づくりに取り組んでいくことを決めました。

空洞化が懸念される「関内」を盛り上げたい

– 地域密着の取り組みを行うにあたって、行政との連携は必要不可欠です。横浜DeNAベイスターズは横浜市と「I☆YOKOHAMA 協定」を結んでいますが、どのように行政を巻き込んでいったのでしょうか?

木村:正攻法です(笑)。我々と一緒に横浜を盛り上げていきましょう、ということを愚直に説明していきました。横浜市の課題に我々も一緒になって取り組んでいく姿勢を見せることが何より大事だと思います。

もちろん、異なる組織のため、ぶつかることもあります。ただ、「コミュニティボールパーク」化構想でさまざまな取り組みを行い、観客動員数を増やしたことで、行政にとって良い効果を還元できていたこともあって、少しずつできることが増えていきました。

ここ数年は、阿吽の呼吸と言いますか、すごく密にコミュニケーションをとれるようになっています。

 

– 2017年3月にオープンした「THE BAYS」は、どのような狙いがあるのでしょうか?

木村:狙いはスポーツという切り口を軸に街と密着することです。

現在、横浜スタジアムの目と鼻の先に横浜市役所があるのですが、2020年にみなとみらい地区に移転することが決まっています。そうすると関内というエリアの空洞化が起きてしまうんです。

そうした事態も考え、街ににぎわいを生み出すために、スポーツxクリエイティブというテーマを掲げ、情報発信する拠点として「THE BAYS」をスタートさせました。たとえば、スタートアップ企業を集め、私たちベイスターズと一緒にビジネスを生み出したら街が活性化することにつながっていくんじゃないか、と。それを実現するために、THE BAYS内には「CREATIVE SPORTS LAB」というコワーキングスペースを整備しました。

その他にも、ライフスタイルショップやカフェなどを用意し横浜の皆様と繋がる場所を設けています。

THE BAYS内にあるライフスタイルショップ「+B」

“横浜に来ればスポーツイベントがある”

– 最近、超人スポーツ協会とコラボして、『超☆野球』開発プロジェクトを実施していましたね。

木村:『超☆野球』開発プロジェクトは、子供の頃に諦めた夢を大人になって実現することができればいいな、と思い始めました。たとえば、だれでも200km/hの剛速球が投げられると楽しいよね、ということから、大リーグ養成ギブスのようなものが開発されていました(笑)。

 

こうした取り組みを通じて、最終的には「横浜に来たらスポーツの魅力にあふれている」というイメージをつくり、皆さんに足を運んでもらえればいいな、と思っています。

 

– 2016年1月にTOB(株式公開買付け)で株式会社横浜スタジアムを買収したのも、ひとつ大きな出来事だったのかもしれないですね。

木村:そうですね。球団、球場の一体経営が実現したことで、意思決定のプロセスが明確になったのは、大きいと思います。すごくスピーディーに物事を進められるようになりましたね。今後はより一層、ファンの皆様のため、横浜のためになるような取り組み、施策を実行していきたいと思います。

 

– ランナー向けCGMサービス「Runtrip」を運営するラントリップとタッグを組み、「Runtrip via Yokohama THE BAYS! Powered by Yokohama DeNA Running Club」というランニングイベントも実施されました。

 

木村:この取り組みは、球団ではなく、横浜DeNAランニングクラブによるものです。きっかけのひとつとして挙げられるのが、横浜市と話し合いをしているうちに、「この街に賑わいを作れるイベントをやりたい」という声が挙がってきたんです。もともとラントリップさんのことを知っていたので、声をかけてみました。打ち合わせを進めていったところ、「THE BAYS」をゴールにしてランニングをするのであれば、人も集まるし、健康づくりになる、ということで、トントン拍子に話が進んでいきました。

横浜DeNAランニングクラブの中にも「参加型イベントを作りたい」という考えは頭の中にありました。例えば、横浜スタジアムを舞台にした「ハマスタ駅伝」がそうです。5,000人が参加し、観覧者も含めると、1万人以上の人が集まった。毎回これほどの規模のイベントを開催するわけにもいかないですが、横浜公園や日本大通りを賑わせるイベントはできる限り、今後もたくさん開催したいと思っています。