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中谷エリナが語る、メンタルコーチング。「選手の行きたい方向に導く」

2015.05.14 / 森 大樹

中谷エリナ

 

今回はスポーツメンタルコーチの中谷エリナさんのインタビューです。中谷さんは大学卒業後、一般企業に就職されましたが、ある日メンタルコーチングと出会い、素晴らしいものであると感じたことをきっかけに今度はご自身でそれを伝える側へと転身され、現在INAC多摩川レオネッサ(なでしこリーグ・INAC神戸のアカデミーサッカースクール)でスポーツメンタルコーチを務められています。

 

決心した途端に開けたメンタルコーチへの道

 

-まず中谷さんのスポーツ経歴を教えて下さい。

幼稚園からジャンルは違いますが、ずっと踊ることを続けてきました。4歳から小学校まではクラシックバレエ、中学校からはバドントワリング部、高校からはスクールに通って、ヒップホップ系のダンスをしていました。大学ではジャズダンスサークルに入り、毎日練習に明け暮れていました。毎日練習で仲間のみんなも真剣そのもので、2ヶ月に1回は公演や大会がありました。社会人になってからも自主公演をしていました。今は休んでいますが、1年前までは踊りを続けていました。

 

-本当に踊ることが好きなんですね。

ダンスは自己表現をする競技ですが、今この仕事をするようになってからメンタルが大切だったことに気が付きました。私は負けず嫌いで周りをライバル視し過ぎてしまう性格もあり、踊りのポジション争いではセンターを取らなきゃいけない、絶対前で踊らないといけない、と自分自身を追い込んでしまって、うまくメンタルをコントロールすることはできていませんでした。

 

-そのままダンスの道に進もうとは考えなかったのでしょうか。

大学2年まではプロダンサーになりたいと思っていましたが、追い込みすぎてずっと好きだったダンスが嫌いになりそうになったことで仕事として踊ることは私には向いていないと考えるようになりました。また、大学3年のとき自主公演の総合責任者、演出リーダーに選ばれ、演出することの楽しさを知ったんです。それで演出に関係する仕事をしたいと思って、就職活動ではマスコミ関係を受けましたが、なかなかうまくいきませんでした。でもそれ以外を受ける気持ちにもなれませんでした。

結局大学卒業後は、結婚式の演出に携われるブライダルの仕事をしていました。想像以上に体育会系の職場で辞めたくもなりましたが、就職活動でうまくいかなかった劣等感もあったので、次の転職先をしっかり決めてから辞めようと思い1年間働きました。

その後は大学が法学部だったこともあって、興味のあった法律関係の仕事に就こうと思い、弁護士事務所の事務兼秘書を始め、弁護士の先生のサポートとして、3年間働きました。

 

中谷エリナ

 

-ではどのような形でメンタルコーチの道が開けていったのでしょうか。

当然すぐにメンタルコーチとしての道ができたわけではありません。ただ仕事に不満はありませんでしたが、私にしかできない仕事をしたいと思うようになっていきました。結婚もしてプライベートが充実していた中で、毎日同じような仕事では達成感がなく、どこか窮屈だったのだと思います。ここで自分が変わらないと心から幸せを感じることができないと悩んでいたときにFacebookでメンタルコーチという仕事を知り、やりたいことを見つける、未来に向かっていくという明るいイメージをメンタルコーチングに持ったのですぐに体験に行きました。実際に体験してみるとすごくいいものだったんです。

その後半年間メンタルコーチングを受けて、自分の夢が見つかり、目標ができて、性格も180度変わっていきました。毎日が楽しく、精神的にも強くなったように思います。

 

-自分が学ぶ側から、教える側になりたいと思ったきっかけを教えてください。

サッカーが大好きなので、どこかでそれに携わりたい、という想いを持っていることをメンタルコーチに話した時、「サッカーに携わることは今できないのですか」と言われ、ハッと気付かされました。それでとにかくやってみようと思えたんです。スポーツメンタルコーチになろうと決めた瞬間でした。

不思議なことに、決心した途端にいろいろなことがタイミングよく起きて、道が開けていきました。今まで勤めていた弁護士事務所も規模を小さくするというので自然に辞めることができ、スポーツメンタルコーチもやると決めた時からずっと書いてきたブログをINAC多摩川レオネッサの監督が見て下さっていて、直接連絡を頂くことができました。そして今そのチームにメンタルコーチとして入っています。

 

コーチは選手の望む方向へ導く人

 

-中谷さんの目標と夢を教えて頂けますか。

「自分の人生は自分が主役」だと思っています。心から今が最高に幸せだとずっと言い続けたい。そう言える毎日を送るために、自分がしたいと思ったことは挑戦して、私らしさを出していきたいです。

スポーツメンタルコーチは天職だと自分でも感じてきたので、今後も信頼関係を築き、将来プロで活躍したいという夢がある選手やトップアスリートといわれる選手のサポートをしていきたいです。

 

中谷エリナ

 

-選手が抱えている悩みはどのようなものが多いですか。

選手に多い悩みは、自分が成長しているか分からないので自信が持てないということです。あとは試合前の緊張や不安、プレッシャーといったものですね。

選手は想像以上に自分で何とかしようと抱え込んでいます。私に話してくれるのは、メンタルを強くしたいけれど、どうしたらいいか分からないという相談です。今までは自分で溜め込んでしまって、気合で乗り越えてきたという選手は多いですね。

 

-スポーツメンタルコーチになるためにはどのような勉強をされましたか。

私は3つの場所で勉強させていただきました。1つは心理学と脳科学を勉強されてきたメンタルコーチの人に3ヶ月教えてもらいました。2つ目は、コーチングについて自分が体験しながら学ぶスクールで勉強しました。3つ目は、実際にスポーツメンタルコーチで活躍されている人の元で学びました。

-メンタルコーチの必要性について教えて下さい。

コーチは選手の望む方向(ビジョン)へ導く人だと思っています。スポーツを楽しみながら、選手が目指すところへ進んでいけるように背中を押すことでサポートしていくのがコーチです。日本では体や技術の専門のコーチはいるのですが、肝心な心のコーチがあまりいません。体や技は鍛えるけど、心を磨くことがないんです。しかし心・技・体・それぞれのコーチが必要だと感じています。

 

中谷エリナ

 

-チームの他のコーチの方とはどのように連携されていますか。

練習が終わって選手が帰った後に監督やコーチと1時間ほどミーティングをしています。また私が帯同できなかった試合の情報も聞くなど、報・連・相を大切にしています。

 

-具体的に試合前に選手にされていることを教えて下さい。

不安そうな顔の子には声をかけるようにしています。選手の性格や、それまでの私との会話から、試合に集中できるように背中を押してあげるような声をかけるようにしています。

 

中谷エリナ

 

-ここからは中谷さんご自身に関する質問をしていきます。

 

-中谷さんご自身が思う自分の長所を教えてください。

選手から言ってもらえる部分としては話しやすさだと思います。あとは、行動力があるとか、パワーが強いと言われますね。私自身が元気で明るく、エネルギッシュでいること。これは意識しています。

 

-趣味を教えて下さい。

サッカー観戦です。Jリーグも日本代表戦もスタジアムに足を運んでいます。あとは本も毎日読みますね。自己啓発やスポーツ関係の本、美容系の本や雑誌を見ます。あとは会うと元気になるような人に自ら会いに行ったりもします。

 

-中谷さんご自身が悩んだ時はどのように解決されているのですか。

私自身にもメンタルコーチをつけています。また、いろいろなメンタルトレーニングを自分で実験して試しています。座学で学んだノウハウだけではなく、自分で試していいと思ったものを選手に勧めています。

 

-最後に読者の方にメッセージをお願いします。

自分のビジョンを信じ突き進んでいける選手が増えるよう私自身も前を向いてチャレンジし続けます。そして多くの方にメンタルコーチングの存在を知っていただけたら嬉しいです。読んで頂きありがとうございました。