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「サッカーが難民の子どもたちに夢と可能性を与える」 林一章が難民キャンプで感じたこと

2022.02.18 / AZrena編集部

「鈴鹿ポイントゲッターズ」や「伊賀FCくノ一」でコーチを務めるサッカー指導者の林一章さんは、一般社団法人津市スポーツアカデミー MARAVILHAの代表を務め、難民キャンプの支援に長らく携わっています。“ボールを蹴ること”を通じ、遠く離れた難民キャンプで不安に苛まれる人々に希望を与えようと奔走中です。

<トップ写真:本人提供>

本企画はスポーツの力を活用して社会貢献活動を推進する日本財団のプロジェクト「HEROs」と共同で実施している特集企画です。

HEROsではアスリートや非営利団体に対して活動支援(資金提供)も行っています。詳細はHEROsのHPで!

 

三重県のサッカークラブ「鈴鹿ポイントゲッターズ」や「伊賀FCくノ一」でコーチを務めるサッカー指導者の林一章さんは、一般社団法人津市スポーツアカデミー MARAVILHAの代表を務め、社団法人の活動としてシリアやレバノンなどで行き場を失っている難民キャンプの支援に長らく携わっています。

自ら開いたチャリティーフットサルで集まった参加費を現地に支援したり、現地に赴きサッカー教室を開いたり。“ボールを蹴ること”を通じ、遠く離れた難民キャンプで不安に苛まれる人々に希望を与えようと奔走中です。

なぜ、林さんはこの活動を始めようと思ったのか。多くの人が知ることのない難民キャンプで学び、感じたこととは。

そして、サッカーが持つ力や現役アスリートだからこそできるアクションとは。

スポーツは難民に夢や可能性を与える

僕は子供の頃から地図を見るのが好きで、世界への関心が生まれた社会科の教師を志したのもここが起点です。自分の好きな “世界” のことを伝えたいと。結果として社会科の先生になれましたが、自分が熱量を持って世界のことを伝えても、興味を持ってくれる生徒は少ないんですよね。逆にこっちの熱量に引いてしまうくらい。難しいものだなと思って日々を過ごしていました。

そんなときに、元サッカー日本代表の北澤豪さんがJICAのオフィシャルサポーターとしてザンビアに訪問している姿をテレビで見たんです。現地の人たちとサッカーを通じて触れ合っていたのですが、スポーツを通じて人々に元気を与えている姿を見て、心が動きました。

これこそ本当に自分がやりたかったことなのかな、と。社会を良くするために困っている人たちがいる現場へ赴いて、サッカーを通じて触れあい、その経験が現地の子供たちの成長につながる。「これこそが人間教育だな」と思ったんです。社会科の先生として伝えたかったこととも繋がりました。

その後、友人を通じて北澤さんと交流をもたせていただきました。そして、2007年に北澤さんがJICAの活動でシリアに行く際、アシスタントとして連れていってもらいました。これが私にとって最初の“国際協力”活動になります。


<写真:本人提供>

 

このとき、UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)とJICAが共催するJICA CUPに参加しました。これはパレスチナ難民を対象に行なったものです。

現場で感じるものは非常にたくさんありました。

パレスチナ難民の人は、国外に出ることができない。移動規制もある中でいろいろと選択肢が絶たれています。その中でスポーツをすることによって、明日を頑張ろうと思えるし、夢も生まれるんです。

難民キャンプにいる多くの人は「この生活を続けたところでどうなるかわからない」という思いで過ごしています。ですが、スポーツをすることで「もしかしてここで活躍すれば、国外に出られるかもしれない」という可能性が生まれるんですよ。

この大会を通じて、新たな自分のなりたい姿を見つけられたような気がしました。「国際協力に関わりたい」という思いが強くなったんです。

そんな中、2011年にシリア内戦が始まりました。そして、翌年の2012年JICAの活動を通じて知り合った方が「シリア支援団体サダーカ」という難民支援団体を作りました。本格的に僕が活動を始めたのはここからです。シリア難民の支援活動をする中で、僕は日本にいながら広報や日本国内での予算集めを担い、サポートをしていました。

最初は物資を集めて送ることが手っ取り早いと思ったのですが、輸送費が膨らんでしまう。その輸送費の分で助かる命もあるかもしれない…と考えると、お金を集めてそのまま難民の移動先のヨルダンで活動する支援団体に送るほうがよいだろう、と。

集まったお金は生活必需品や、寒い冬を凌ぐための暖房器具や毛布などに充てられました。

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