DeNA再建のキーマンが明治大へ。日本の大学スポーツはどうなる?
4月3日、明治大学にてある記者会見が行われました。それは横浜DeNAベイスターズ前社長である池田純氏が学長特任補佐兼スポーツアドミニストレーターに就任する、というもの。昨年の11月に筑波大学が株式会社ドームとの締結を発表したように、日本の大学スポーツ界も徐々に変革に向けて動き出している現状があります。集客やブランディングについてまだまだ課題はあることは間違いありません。ただ、こういった動きが出始めていることは歓迎すべきことでもあります。そして、日本の大学スポーツをリードしてきた存在でもある明治大学が外部、プロスポーツの領域で成果を出した人間を招へいしたということです。今回はその会見の全文を掲載致します。
土屋 恵一郎 学長挨拶
池田さんの役割は大学スポーツ担当でございます。スポーツアドミニストレーターという言葉がございますけれども私の気持ちとしては明治大学のスポーツアドミニストレーターになっていただきたいという思いがございます。
ご承知の通り日本の大学はそれぞれ日本の大学スポーツを非常に大事にし、とりわけ東京六大学は野球やラグビー、駅伝、サッカーと様々なスポーツに取り組んできて、スポーツが大学自体のアイデンティティを示す非常に大事なものとして今日まで私たちは維持して参りました。
明治大学136年の歴史の中でも大学スポーツというのはとても大事なものです。
私自身も実は体育会の会長を兼務しておりまして、明治大学の体育会は現在46部ございます。その46部の中に様々に時々の話題なる各部、46の体育会になりますけれども、これからの課題が山積しております。一番大きな課題は実は大学スポーツが話題にもなり大きな関心ごとになっているにもかかわらず、学生の中では最近大学スポーツへの関心が薄まりつつあるという現状です。
それはどの大学も変わることはないと思います。駅伝とか大きな大会があればその時は盛り上がります、メディアで報道されることもあります。しかし、以前の状態に比べると、例えば早稲田と明治のラグビーの試合を国立競技場でやれば6万人集まる時代もありました。今はそれほどの人数を集めることはありません。また、私たちにとって一番大事なのは実は地域面ということ。大学スポーツをただ大学の中だけではなくて地域との連携の中でどうやってこれをみなさんに開放して行くのかが大きな課題です。とりわけ明治大学は各体育会が合宿所を一つのところに集めてスポーツパークを作る計策を持っております。
これがおそらく日本のカレッジスポーツの中では最大規模のスポーツパークとなりますが、そのスポーツパークが置かれている地域との連携をどうやって図って行くかは大きな課題の一つです。そういった面でも池田さんはDeNAベイスターズにおいて横浜という街の中で球団というものを大きくクローズアップして黒字に転換していく大変大事な仕事をなさいました。
私としては池田さんのその経験を生かしてなんとか大学のカレッジスポーツというものを地域の中に根付いた、地域と繋がり合いのある活気を持った場所へと転換していきたいと思っております。
カレッジスポーツでいうとこれは、おそらく日本だけの問題ではありません。おそらくアジアにおいてカレッジスポーツというもの、大学スポーツというものがこれだけきちんとしたシステムがあって、また、人々の関心を集めているのはおそらく日本だけであると思います。中国やASEANにおいてはなかなかそういうカレッジスポーツというところまで行っていない。
しかしこれからは、次々と大きな形でASEANや中国もカレッジスポーツに動いて行くと思いますが、そのシステムを提供できるのが日本の大学です。私はASEANやあるいは太平洋諸島センター、先日もサモアの大使館とお会いしまして、ぜひ明治大学のラグビー部と交流戦をやっていきたいというお話をしました。そうした海外の大学との連携の中でどうゆう役割を明治大学が果たしていけるのか。その連携のあり方、そういうものをこれから考えていかなければなりません。
つまりそういう要素が明らかに各大学にとっても大事なアイテムであり、大きなプロジェクトとなりますが、持っている課題はたくさんあって、私たちだけでは解決できない。ぜひ外側から、つまり、池田さんのような才能を持った人に来て頂いてこの問題を解決の糸口を与えていただいて、一緒に日本の大学スポーツというものを前進させていきたいなと思っております。
大学スポーツをより大きな部類へと展開して行く出発点を池田さんと一緒に歩んでいきたい。そのように思っておりますので、是非皆さんも関心をいただいてこれからの大学スポーツを支えていただきたいなとそのように思っております。
池田純氏 挨拶
今ご案内ありました通り、ベイスターズ在任時代から、土屋学長及び柳澤副学長、牛尾副学長から大学スポーツに関してアドバイス、ないしは補佐をしていただけないかというお話を頂いておりまして。この度明治大学の学長特任補佐兼スポーツアドミニストレーター、英語表記ですとアスレチックレジスタンスという立場でご一緒させていただくこととなりました。
まず、役割といたしましては、学長を補佐する立場といたしまして明治大学のスポーツ領域を戦略的かつ一体的に統括し、明治大学の学生スポーツを進行するとともに大学ブランドを向上させ、明治大学のスポーツ領域を管理運営するための体制を構築する補佐をします。
同時に全体としての視野において、明治大学のスポーツ領域において対外的、及び対内的に学長を補佐し、明治大学としての方向性を策定する補佐をします。あくまで現段階においてはまだスポーツ省、文科省の発表した日本版NCAAを含めまして具体的にどうこう詰まっているという段階ではないと認識しております。
これから日本のスポーツが産業化をして、2020年オリンピック以降もしっかりと日本にスポーツを文化として根付かせて産業として強く発展していく。そのために、プロスポーツもそうなんですけれども、やはり大学スポーツというものが占める重要度というものが非常に高いと思っておりまして、そこに関して現在の日本に、特定する言葉がない。そういう段階だと思っておりますので、この時点から明治大学に関わらせていただいて大学スポーツの振興を、明治大学におけるスポーツの振興を、また、明治大学の学生においてのスポーツのアイデンティティとしての強化というものを私の立場からサポートできればなという風に考えております。
また、目的が5つございます。1つ目が、先ほどもお話あった通り、スポーツに関する部署の設置を明治大学として行っていくという方向が柳澤副学長を主体としてあります。そのサポートを行います。その組織なんですけれども、まず1つ目がスポーツ領域の全域の統括と運営というふうに聞いております。
例えば学生アスリートやマーチャンダイジングなどの管理。イベントの企画運営、チケットの統括。マーケティングコミュニケーション、広報とかデザイン物ですとか各種制作物の作成、そういったものを統括して行く組織になるのではないかと聞いておりますし、考えております。同時に現時点において重要になっております、インターネット戦略を作り運営をする。資金ですとか財務、人材をリクルーティング、そういうものを統括する。大学におけるアスレチックデパートメント的なスポーツプロモーションをサポートをして行くのが1つ。
2つ目がアメリカをはじめとしたNCAA的組織ですとか、大学のアスレチックデパートメント等の組織。アメリカの大学では、スチューデントアスリートといいまして、アスリートスチューデントではないんです。あくまでスチューデント。学生が本業でそのあとにアスリートというものが来る教育がしっかり大学組織において行われているんです。その結果、学生時代にはしっかりスポーツをやっていて、そのあと企業に行ってスポーツをやる、プロに行ってスポーツをやる。ないしは学生の時代にスポーツを終わってそのまま社会に出て行く。そういったデュアルキャリアというものをしっかりと学生にこう植えつけて行けるような教育ないしは制度を一緒にやっていく。
3つ目が、明治大学のスポーツ施設の施策検討、同時に地域ですとか行政と大学との連携というものをサポートして行く。
4つ目が、それに伴って必要な大学内の連携です。色々な組織もありますし、人もいますし、スポーツチームも体育会もありますし、そういう連携を進めて行くサポートを行っていく。
5つ目が先ほど土屋学長からお話もあったように、日本版NCAAの検討が始まったということでこれから実際の中身、あり方、是非含めていろんな検討が進むと思いますので、その推進に対する課題の抽出及び検討というものを大学と一緒に行っていくというのが目的になります。
以上5つが目的で、最初に述べた役割に伴ってこれから大学で検討する組織を含め、色々と検討していかなければならない。まず今日の段階では、そういうアスレチックデパートメント、アスレチックディレクター、スポーツアドミニストレーターとしての学長を補佐していく立場に就任するという発表になります。
質疑応答
ー 今回の動きはスポーツ庁、国全体の日本版NCAAの検討の動きを受けてのものなのか、またそれとは別のものなのかというのと、また、今のスポーツ庁の取り組みについてどう思われているのかということを教えてください。
土屋 先ほどもお話ししました通り、スポーツ庁がNCAAを提案されているというところにも池田さんも関わっていらっしゃるようなので、そのことも含めて、それを大学としては当然受け止めてですね、今後検討していかなければならないと考えております。おそらく、今年度入ってから動きは本格化すると思うので、その中に明治大学としても入って行って、きちんと大学スポーツの言わばリーダー役を果たしていけたらと、大学の役割としてはそれを真剣に受け止めていきたいと思います。
もちろんそれはあるんですけれども、やはり私としては、明治大学だけではなく個の大学が、大学スポーツをとても大事にしてきてはいるんだけれども、今後どういうふうに展開していくかという課題がとても多いと感じております。それをなかなか解決できていない。我々大学内部からの目だけでは、例えば学生をどうやって野球やラグビーなど様々な試合に関心を向けさせていくのか、ということがあります。それは我々も色々な知恵を出しているのですけれどもなかなか上手くいかない。それから、アメリカなんかに比べるとやはりさっきも池田さんからお話あったけど、もっと有効にスポーツを通して大学自身の宣伝であるとか、あるいはOBとの関わりであるとかを作れるはずなんですよね。
例えば、スポーツグッズの販売であるとかを含めて、あるいはスポーツショップを大学が持っているかとかですね。アメリカなんかみんな持ってますから。学内にかなり大きなものを持っていますが、なかなか日本はそこができていないので、そういうことも含めて、企業とも連携しながら大学スポーツを単なるアスリートだけのものだけではなくしていきたい。学生たちのためでもあり、あるいはOBですね。明治大学のOBは50万人いるのですが、OBたちにとっても大事な、大学とつながる大きな要素であると思っているので、それをどうやって広げていくのかということをやっていきたいのですが、我々だけでは智恵は限られているので。
やってきてはいますが壁にぶつかっている状況でありまして、なかなかそこが上手く超えられない。だから、私としては、池田純さんに来て頂いて大学の限界を超えていく。スポーツだけじゃなく外からの人材をかなり大胆に受け入れて、大学の枠をなんとか壊していきたい、そのように考えております。
−池田さんには、いくつもお仕事のお誘いがあったと思いますが、なぜ、この仕事を受けられたのかということと、五つの目的をあげていらっしゃいましたが、特に取り組んでいきたいことは一体どういったことでしょうか?
池田 今、実際に、社外取締役ですとか顧問とかアドバイザーとか、あとはJリーグの特任理事や、いろんな仕事をやっています。明治大学”1つ”を選んだというわけではなくて、これから大学のスポーツというものがもっと進行していく中で、関わり方は変わっていくと思うのですけれども、今はあくまでサポート役としての関わり方です。
私はもともと早稲田大学なんですけど、明治大学のお話を受けさせていただいたというのはですね、やはりこれから日本がスポーツを産業化していく、プロスポーツビジネスが拡大していくのはもちろんなのですけれども、それだけでは目指すものに届かない。本当はハイスクールもそうなんですけれども、やはりアマチュアスポーツの過程は今、一番キーとなるし、これから軸となるのは大学スポーツだと思っています。
私はラスベガスにも6年間いて、アメリカとの差をすごく感じました。最近も向こうにいったのすが、例えばこの前、WBCの決勝をやっているのにも関わらず、ほとんどテレビで放映していなくて、アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNでは、ファイナルフォーとかいう名前のカレッジバスケットボールの試合がずっと放送されているんです。
インタビューもしているし、選手のドキュメンタリーもやっている。それくらい賑わっているんですよね。それはNCAAの力もあるかもしれないし、大学が地域と連携する中で色々と観客を捕まえていて、かつ大学でも学生の中でスポーツがアイデンティティとして応援する文化というのがすごい醸成されているんですよ。その先にビジネスとしてあんなに大きくなっている。
僕はプロスポーツビジネス以上にカレッジスポーツの差というのが日本と”スポーツ先進国アメリカ”との間にあるすごく大きな差だと思っています。そこでもっともっと成長して、学んで、育てていくことによって、日本のスポーツ産業というのもすごく成長する余地があるんじゃないかなと。そんな中でまずは大学スポーツに携わさせて頂きたいなと考えています。同時に、もともと私は住友商事の後に博報堂へ行って、独立した後もずっと神保町で会社をやっていた経緯があります。ここは本屋さんが多いじゃないですか。この街に大学スポーツが滲み出して広がっていくっていう感覚をまだ正直、神保町、御茶ノ水にいて感じていないんです。
やはり地域にどれだけ応援されて地域にどれだけ広まっているかというのはベイスターズが広まった構図と全く一緒で、その構造を、自分が関わってきた街に作っていくところにはある程度手助けできるんじゃないのかなということで、明治大学と一緒にやらせていただくこととなりました。
−池田さんに伺います。アスレチックデパートメントというのはアメリカの大学で非常に重要な役割を果たしていると思いますが、日本の大学に設置して、それが機能を果たしていく上で実現に向けて壁というものがあるとしたら一体どんなものが上がってくるとお考えになっているのかということと、今まで池田さんが取り組んでこられたことがそのアスレチックデパートメントを機能させるためにどういうように寄与できるとお考えになっているのかというところを教えて頂きたいです。
池田 まず、アスレチックデパートメントというものがどのように機能するかというのはまさしくプロスポーツとそんなに変わらないと思うんですよね。グッズ製作、例えばブランドコントロール。大学スポーツといっても色々なスポーツがありますけれども、じゃあどこのメーカーとどういう風に契約してどんなユニホームを着ていくかとか、じゃあカラーをしっかり統一してブランドコントロールはどうしていくかとか、50万人もの卒業者がいて、かつ学生さんがいらっしゃって、チケットを取って観る文化というものをどういう風に広げていくか。
マーケティングをしっかりして、例えば広報もそうですけれども、広告物もそうですし、コミュニケーションをどういう風に、大学内、地域、行政、大学を超えてしていくかというものを統括する。要するにプロスポーツでいうところの球団や会社やクラブですよね。そういった機能をしっかりとアスレチックデパートメント、スポーツセンターの中に作っていく。
アマチュアでもプロでも基本持つべき機能は変わらないと思うんですよね。プロスポーツをやって来た経験としてアドバイスしていきながら、大学側に実現していただければな、と。あとは、どういう風にやったらできるのかというのは柳澤先生の方がお詳しいと思うので、私としては大学側をしっかりと改革していくという情熱と、意思決定の仕組みというものと体制をしっかりして、人材をしっかり揃えていけばできるんじゃないかなという風に思います。
−サッカー部がユニフォームにキリンをスポンサーというような形で入れていましたが、このように企業とのタイアップといいますか、企業と絡んでこういう風なことをやっていきたいというのはあるのでしょうか。
池田 具体的なことはこれから大学内で色々話し合っていく必要があると思います。まだやはりその大学スポーツというものに関してはほぼどの大学も手付かずだと思うんですよ。その部分を色々と議論をして、どういうことに課題があってどういう風にしていくべきか、あるべき像というのもこれからだと思うので、企業との連携に関してもこれからですね。
一番重要なことだと私が感じているのは大学が外部のこういうスポーツを経験している人、例えば私ならプロスポーツの企業を経営していて、今リーグの方も見ていて、こういう風にアマチュアも見させていただいて、文藝春秋さんともスポーツの教育もやっているのですが、そういったあらゆるスポーツ領域に関わっている人間を外部から招へいしたということかなと。これから考えていくことがある中で、今はそのスタート時点であって、スタートできる意思がすごく高い大学だなと感じたので、これからだと思います。
−土屋さんにお伺いしたいです。先ほどの学業のお話もあったと思うのですけれども、例えばGPAが3以上ないと練習に参加できないだとか、そういった施策などをお考えなのでしょうか。
土屋 まさにそれは、スポーツアスリートの学業支援というのは既にやっているんですね、例えば、英語に関しては体育会学生に対する支援というのはやって来ているので、ただこれから成績が下がると大学では試合に出させないというような形をどうするのかというのは、我々としては一つの課題であり、検討中です。なにしろ46の体育会があって、だいたい毎年240〜250人入ってきて非常に大規模なものですので、それをどうやっていくのかというのは非常に難しいし、大きな課題ですよね。それはこれからやっていきたいとは考えています。
−池田さんに現状の大学スポーツの課題、もっとこういうことを変えれば結果が違うのではないかという現状について評価をお伺いしたいのと、学長にはスポーツパークについてですけれども今現状はどういうふうになっているのか、例えば以前は日野というふうなお話があったと思いますが、現在場所など決まっているのでしょうか。
池田 まずは今の大学スポーツの課題ということなのですけれども、競技面での成績云々というのは差し置かせて頂いて、やはり大学の中で、アイデンティティになっていない、絆になっていないというのはすごく感じます。最近アメリカのカレッジスポーツを見させて頂いて思うのは、大学生の間で(大学スポーツが)しっかりとアイデンティティになっているんです。色んなスポーツの試合に大学生が応援に行ったり、色々なスポーツをモチーフにした何かしらのウェアをきていたりしています。大学の中でスポーツがアイデンティティとしてある。日本も昔はそうだったと思うんですよ。私が大学生の時にはみんな早慶戦を見に行ったりとか、早明戦を見に行ったりとかしていた記憶がある気がするんですけど、それが薄れていってしまっている。
ただ、それを待っていても観にきてくれる文化ではないというのはプロスポーツも同じでベイスターズもまさしく同じだったので、大学側からしっかりとスポーツを学生の間に振興させる、ブランディングするという作業をしなければならないんですよ。その部分は大きな課題だと思います。
同時にそれが大学生の間だけでなく、大学のある場所ですね。大学のスポーツアシリティのある場所その地域における、観る文化というものを促進して行くことがまずは大学スポーツの最初の課題なんじゃないかなという風に思います。
土屋 スポーツパークに関して、日野市の多摩テック跡地にやるというプランで進めて参ったのですが、途中で大学の法人理事会の方針が変わったということで、キャンセルとなりました。ただ、日野市からはなんとかやってほしいという熱望が寄せられているので、私たちとしては日野市も含めて、様々な候補地を検討中です。それは今年度中にはなんとか結論を出したいと考えております。
−大学の課題の中で、結構大学の現状としては協会とか学連が力を持って色々決定している現状だと思うのですけれども、そことの連携はどのようなイメージでお考えになっていらっしゃいますか。
池田 先ほど申し上げました通り、まだこれからだと考えております。私も大学の現場というのはまだ経験してないので、柳澤先生(副学長)の方がお詳しいと思うので。
柳澤 今まで出てこなかった論点の一つですけれども、特に国立大学が典型的だと思うんですが、大学スポーツを大学教育の中でどう紐づけて行くのかっていうところでですね。
ほぼ日本の大学に共通している点があります。それが、いわゆる課外活動です。大学としては生活教育と課外活動、2つの車輪で大学教育が成り立っているという考え方なんですね。ですから、大学スポーツは課外活動の一つである。つまり、非常に乱暴な言い方をしてしまうと、学生たちの自主的なサークル活動に過ぎないこういったあり方が大学の教育の中でずっと続いてきたんです。今も圧倒的多数がそうであるんですね。
ですから、日本の大学スポーツの課題はどこにあるのかというと、まさに生活外の活動と大学スポーツのこれからのあり方をどうやって結びつけるかっていうのがだいぶ大きな課題になってきている。
そういう点からすると、今出た協会のお話ですといってみればある意味で独立してずっとやってきたわけですよ。そこでまた乱暴な言い方になりますけれども、自分たちの自主独立でやってきたものっていうものがありますからそれなりに気概があるわけですよね。我々の頑張ってきたところなんだ。我々の島だ。そういうふうになっているんですよね。その壁を乗り越えて繋がって行くっていうことは実はそう簡単なことではないと思っております。そういう意味で、今池田さんが話されたように、非常に大きな課題である。課題であるけれども、乗り越えられないというわけではないというふうに思っております。大学スポーツをどういう風にとらえていくのかという我々の考え方が一つのポイントになってくるのではないのかなと思います。
<了>