鹿島アントラーズ×メルカリが生む、スポーツ界のデジタルイノベーションとは?

2017.04.28 AZrena編集部

 

4月7日に日本サッカー界にある1つの大きなニュースが流れた。それは、若年層に大きな支持を得ている日本最大のフリマアプリ「メルカリ」が昨年度の明治安田生命J1リーグチャンピオン・鹿島アントラーズのクラブオフィシャルスポンサーになるというもの。1月には障がい者アスリートを雇用してスポーツ界へ足を踏み入れたばかりのメルカリの次なる舞台への取り組みに移るスピード感には驚かされるばかりだが、今回のパートナーシップ締結の裏にはどういった経緯があったのか。そして、その狙いとは。

 

“世界を目指す”という共通点

スポーツチームとIT企業という別のカテゴリに属する両者だが、二つの共通点がある。それは”勝ちにこだわること“、“世界を目指す”という点である。昨年、FIFAクラブワールドカップ2016で決勝に進み、世界の頂点まであと一歩に迫った鹿島アントラーズ、そして「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを掲げる株式会社メルカリ。フリマアプリの市場で”勝利にこだわる”という部分も含めて、鹿島アントラーズと通ずる部分はある。フィールドは異なるが、目指すところは一緒だ。

※ 参考記事:メルカリの次のステージはスポーツ!?新たな領域へ進出したその理由とは
https://azrena.com/post/6756/

その共通項が今回の提携に繋がった1つの要因だが、メルカリとしてこのパートナーシップ契約において重視している点は、単なる企業名の露出ではない。

「メルカリさんと今回パートナーシップ契約を結んだメリットとしては、両社が獲得している顧客が不一致している点にあります。メルカリさんのユーザーは20〜30代の女性が中心ですが、アントラーズは30〜40代の男性やファミリー層が多い。そのためマーケット・新規顧客の開拓に繋がるというメリットがあると感じました」

鹿島アントラーズでスポンサー営業担当を勤める大澤隆徳氏はこう語る。鹿島アントラーズとして欲している新たなサポーター層とメルカリのユーザーが一致することで、互いに補完しあい、持っている事業の拡大のための新規顧客獲得に繋がる可能性があるということだ。そして、メルカリ側としてもその期待感を持っている。


メルカリの広報を務める中澤理香氏は「メルカリは国内4,000万ダウンロードを超え、中でも女性ユーザーが多いというイメージがあります。ただ、女性ばかりではなく男性や、幅広い年齢層の方にもユーザーになってもらえるようなサービスにしたいと考えているんです。その中で”スポーツ”というカテゴリは特に男性が多い。鹿島アントラーズさんとパートナーシップを結ぶことは、メルカリに男性を引き込める可能性があると感じています。また、スポーツクラブ側としてもメルカリの主な顧客である若い女性を取り込むことができるきっかけになる」と語った。


「メルカリとして一番メリットが大きいのは、鹿島アントラーズ提供品の出品です。難しいと言われがちなグッズの提供ですが、鹿島アントラーズさんがクラブアカウントを作成し出品していただくことになりました。スポンサーというと名前を出すだけになりがちですが、様々な取り組みを行う中で出品も選手とサポーターの距離が近く直接的なやり取りができることはクラブ、ファン・サポーターの両者にとっても良い点だと感じています。」
(中澤氏)

 

「サッカー界は閉鎖的な部分も多いので、メルカリさんの様な企業がクラブのスポンサーになっていただくことで、我々の価値観、クラブの見方、ファン・サポーターの皆様へのサービスが劇的に変化するチャンスだと思っています。

カシマサッカースタジアムのコンコースは、他のスタジアムと比べてもかなり広く、スポンサーやホームタウン・フレンドリータウンのイベントを行う際にメリットになる部分は多いです。ただし、昨今スポンサー企業からは広告露出やブランド名露出だけではなく、リアルの場でのアクティビティの要望も多くなり、コンコースが広いといえども限界は出てきます。その中で今回のスポンサー契約の中の1つであるスタジアム太陽光パネル下を、マッチデーにおいて、「メルカリロード」と命名しましたが、このスペースを活用したイベントやクラブが進めるデジタル戦略において、メルカリさんのノウハウをお借りし、様々な施策を行い、ファンサービスの向上を図りたいと考えております。」(大澤氏)

両者ともにこの提携から生み出される新たなスポンサーシップの形に、大きな期待を寄せている。

 

“メルカリ×鹿島”のデジタル施策を指揮するある企業

今季、鹿島アントラーズは“デジタルという新たなプラットフォームで、サポーターと心をつなぐ”というスローガンを掲げている。その中の1つとして、高密度Wi-Fiをスタジアムに飛ばす施策をスタートさせた。クラブとしてもデジタル化を進めていく中、日本を代表するITサービス企業であるメルカリとも連動して様々な取り組みをしていこうと考えている。

そんな中、メルカリと鹿島アントラーズの双方にとってデジタル面で大きなメリットを生み出すために“スポンサーアクティベーションパートナー”として間に立つのがSkyBall株式会社だ。サッカー動画サービスである「サカチャン」を運営する同社は契約交渉・締結、看板広告など一般的な広告代理店の機能はもちろん、デジタルを中心とした施策を企業、クラブの間に入って、企画、制作していく。4月8日に行われた施策であるメルカリウォールやPICSPOTに関しては、スタジアムに来場したサポーターだけでなく、いかにweb上で拡散させられるかが肝であった。その中で“どうやってSNSに投稿してもらうか” “そこからどうやって更なる反響を呼ぶか” という部分をクラブと一体になって共に設計していったのが同社である。

「スポーツ業界で約1年活動してきた中で改めてスポーツの偉大さを感じ、その力をもっと大きくしていきたいと感じました。その中でメルカリ小泉さんとスポーツマーケティングを議論する機会があり、このような展開になったんです。

鹿島アントラーズはクラブW杯準優勝、メルカリもグローバルを本気で獲りにきている。この2社の組み合わせはベストだと思いました。個人的には、子どもの頃に楽天野球団の参入を見ていて、非常に刺激を受けました。メルカリと鹿島アントラーズの両社の発展に貢献することが、我々の使命であり、そこで新しい事例を作ることが、スポーツ業界の発展につながると思っています。このような大きな取り組みは初めてですが、クラブや関連団体と連携して、あらゆるアクティベーション事業は行っています。東京五輪・パラリンピックもあるので、弊社が主導で新たなスポーツマーケティングを創っていきたいとも考えています。

スポーツ系スタートアップに大きな成功事例がないのも、スポーツ業界のイノベーションが遅れてしまう原因だと思っていますので、弊社としてはそれを創っていきたいなと。それも我々のスポーツ業界発展に向けた使命だと感じています。」

SkyBallの代表を務める熊谷祐二氏は参画の経緯とこの取組に掛ける想いをこう語った。

 

参考記事:中村俊輔360°FK動画の仕掛け人。iemoから独立した熊谷祐二が語るスポーツ×VRの新たな時代
https://azrena.com/post/4602/