デウソン神戸の元日本代表コンビが語る、チームのためにできること
今回はFリーグ・デウソン神戸の元日本代表コンビ、松宮充義選手(写真:右)と原田浩平選手(写真:左)を迎えてのインタビュー。
松宮選手は名門・国士舘大学サッカー部を卒業後に本格的にフットサルを始め、シュライカー大阪など国内数クラブを経て、今シーズンからデウソン神戸でプレー。日本代表としては2010年AFCフットサル選手権メンバーなどに選出されている。
原田選手は大学4年時にフットサルと出会い、ブラジルへの短期留学を経て、Fリーグ発足時からデウソン神戸に所属。また、日本代表として2008年AFCフットサル選手権のメンバーなどに選出された。
一度は引退を考えた松宮選手。現役続行を決意させたのは…
-今までお二人はフットサルに至るまで、どのようなスポーツをしてきましたか。
松宮:一般的なスポーツは一通りやってきました。小学生の時はサッカーと同じくらいの割合でバスケットボールをしていた時期もありました。それはバスケットボールをやっていた兄貴の影響ですね。ただ、小学校卒業と同時にバスケットボールは辞めて、そこからはスケートボードを始めました。プロになりたいと思うくらい取り組んでいて、夜11時頃まで練習する日もあったほどです。でもやっぱりサッカーが好きで、そちらをずっと続けることになります。
-松宮さんは名門・国士舘大学に進学しています。
松宮:国士舘は上下関係も練習量も突き抜けて厳しかったですね。
フットサルとの出会いも大学時代です。元々兄貴が遊びでやっていて、時々一緒にプレーしていたんです。
元々僕の中での目標はサッカー日本代表になることでしたが、大学2年の時に骨折と靱帯断裂を同時にして、そこから自分では怪我前と比べると力が入らない感覚があったんです。部活の総監督と話をして、J2やJFLのチームでサッカーを続ける道もありました。ただ、Jリーガーになれたとしても日本代表にはなれないかもしれない、と直感的に感じたんですよね。
でももしかしたら、パワーよりもテクニック重視のフットサルなら日本代表になれるんじゃないかと思って。それでシュライカー大阪の前身チームであるマグフットサルクラブで本格的にプレーを始めました。
そこで元フットサル日本代表キャプテンである藤井健太選手とも出会っています。マグフットサルクラブでやった後は名古屋オーシャンズ(大洋薬品BANFF)で初めてプロになりました。その後藤井健太選手から熱心に誘われて浦安に行き、シュライカー大阪に移籍しました。
-2014-2015シーズン終了後にシュライカー大阪を退団することになり、引退を示唆するようなコメントを残していましたが、結果的に現役を続けています。
松宮:本当は14-15シーズン限りで辞めてもいいと思っていたんですけど、(原田)浩平やデウソン神戸元監督の千綿リカルドさんからデウソンに来てほしいと話をされました。彼らからの熱を感じたので、引き受けることにしました。
-長くFリーグでプレーしてこられましたが、今後よりよくするためにどうしていくべきだと思いますか。
松宮:たくさん改善すべきことはありますよ。マイナースポーツで環境が悪いという選手はいると思いますが、それを改善するために何か選手側でやっているかというと何もしていない人が多いですからね。例えば僕ら数人の選手が呼びかけてデウソンカップを開催するだけでもお客さんは増えるんです。そんな簡単なことですら今までやってこなかったわけです。当然そういうことをやればその分選手の力も時間も削がれてしまうので、良くないのかもしれません。本来であれば事務局がやった方がいいとは思うので、そこも改善すべき点ですね。
-原田さんはどのようなスポーツ経歴をお持ちなのでしょうか。
原田:僕はサッカー以外、特に他のスポーツはやっていなかったです。ただ、子供の頃は心臓が悪かったので、水泳は親に勧められて始めることになり、小学校6年生まで続けました。選手コースに入ったのですが、練習がホンマにきつくて、ゴーグルに溢れんばかりの涙を流しながら泳いでいましたね(笑)中学に上がるタイミングでサッカーか水泳、どちらかを選ぶことになったのですが、迷わずサッカーを続けることにしました!
-フットサルにはいつ出会ったのでしょうか。
原田:大学4回生の頃に先輩から日曜日のフットサルに誘われるようになって、面白いと思っていたんです。そうしたら、たまたま今所属しているデウソン神戸のGMが清風高校の先輩で、僕の大学卒業の次の年にFリーグが開幕するから、やりたいなら獲得してくれるという話になって、加入することになりました。ただ、大学卒業から開幕までの1年間は空いてしまうことになるので、開幕までの間にブラジルへフットサル留学に行っていました。
神戸一筋の原田選手。自由なチーム色には自覚と責任が伴う。
-原田さんはFリーグ発足時からデウソン神戸に所属しているわけですが、長くチームを見てきて感じていることはありますか。
原田:昔からデウソンは良くも悪くも自由なんです。でも自由というのが難しくて、自分をしっかり持っている選手が集まればいい方向に行きますが、持っていない選手が集まるととんでもないことになります。一人ひとりに自覚を持ってもらわないといけません。今は基本的に選手それぞれが仕事をしながらプレーをしているので、以前よりどうしてもチームへの帰属意識が薄い部分はあるようにも思います。
僕はもっと試合にお客さんを入れたいです。選手としてもお客さんがたくさん入っていれば「よっしゃ!やってやろう!」という気持ちになりますから。そのために本当はいろいろなイベントなどを企画したりしてほしいんですけど、運営に関わる人数が少ないですからね。現状維持で、試合をこなすだけで精一杯という感じがします。
もっと選手とフロントが一つになってチームを強くしていけるといいと思います。
交友は代表招集がきっかけ。今では互いがチームに不可欠な存在。
-お二人は以前、※フットサル日本代表にも選出されています。
※初めて同時に日本代表に召集されたのは2010年のタイ遠征。
松宮:元々顔見知りではありましたが、浩平とは一緒に代表に選ばれてからより親密度が高まりましたね。
もちろん一緒のチームでやったこともなかったわけですが、すんなりプレーに入っていけました。
代表に入ってくるようなある程度レベルの高い選手が集まるとそんなに話をしなくてもできるんですよね。
原田:代表で一緒にプレーした時にやりやすかったから、15-16シーズンが始まる時にミツくん(松宮選手)を神戸に呼んだんです。神戸にはミツくんのようにサイドでタメを作れる選手がいなくて、そのせいでうまくいっていない部分がありました。絶対ミツくんがうちのチームに来てくれたらプラスになると思っていました。
-逆に松宮さんから見て、原田さんはどういう選手ですか。
松宮:浩平は何でもできる選手という印象ですね。普通ピヴォ(いわゆるFW)はパワーがあるとか、動けるとか、何か一つに特化していることがほとんどなのですが、浩平はパワーもあって、頭の良くて、テクニックもあるという日本人に珍しいタイプだと思います。
両選手のフットサル観から考える重要ポジション
-フットサルをする上で重要だと感じている自分以外のポジションはどこですか。
松宮:(※)フィクソです。他のチームや代表でもやってきて、それは一番感じます。フットサルは特殊で、後ろがしっかりしていればいるほど、前にパスが入って得点に繋がるようになるんです。逆に後ろが崩されると前にパスが入らなくなりますし、簡単に失点して負けてしまいます。
原田:僕は(※)ゴレイロとフィクソです。特にシュライカー大阪のアルトゥーロ選手やバルドラール浦安の小宮山選手などのような守備だけでなく、点も取れるフィクソがいるといいですね。
松宮:ゴレイロは僕も重要だと思います。パワープレー返しを外して笑っているだけなのか、次のプレーで追い付かれて同点になることを想定してそこにこだわるのか。レベルの高い選手ほど、僕はそこにこだわっているように思います。フットサルは一瞬で流れが変わるスポーツですから。
※フィクソ:サッカーでいうところのDF。守備力、攻撃の起点となるパス能力に加え、隙を見て放つシュート力などを求められる。
※ゴレイロ:サッカーでいうところのGK。シュートセービング力、判断力、スローイング力に加え、パス能力やシュート力も重要。
-今までで一番印象に残っているサッカー、フットサル選手を教えてください。
原田:僕は昔からロナウジーニョ選手です。観ていて次に何をするのかワクワクさせてくれます。うまい人は他にもいますけど、魅せながらもちゃんと点も取る、点に絡んできます。何より状況を自分で打開できる力を持っていますよね。
松宮:僕もロナウジーニョ選手です。ちょっと別次元な気がします。フットサルだとアレマオ選手(元スペイン代表)が好きです。何でもできますし、ミスもほぼせず完璧にこなします。
松宮選手、原田選手が所属するデウソン神戸の直近の試合予定は
7月2日(土)vsバルドラール浦安(AWAY)@墨田区総合体育館
7月8日(金)vsシュライカー大阪(HOME)@グリーンアリーナ神戸 ※関西ダービー