鹿島が躍動した昨季のJリーグ。下克上と世界2位が与えた影響は?
そして、Jリーグチャンピオンシップ制覇を果たした鹿島アントラーズに与えられたのが「FIFAクラブワールドカップ2016」への出場権だ。ヨーロッパ王者や南米王者など、世界各6大陸の王者に輝いたクラブチームが日本に集結し、クラブ世界一を争う同大会に、“開催国枠”での参戦が決まった。
※FIFAクラブワールドカップの大会認知率と大会観戦率(2016年)
FIFAクラブワールドカップは2005年に新設以降、たびたび日本で開催されていたことから、一般層にも一定の認知度がある。Jリーグチャンピオンシップ終了5日後から10日間に及んで開催されたが、5位決定戦や3位決定戦を含む全8試合中4試合が地上波で放映され、観戦率はJリーグチャンピオンシップを約5パーセント上回った。
興味深いのは、FIFAクラブワールドカップもJリーグチャンピオンシップと同様、3月時点よりも12月下旬の大会終了後に認知率が上がっていることだ。ヨーロッパ王者のレアル・マドリードが来日し、世界的人気を誇るクリスティアーノ・ロナウドが活躍したことを考えれば、当然と言えるかもしれない。
しかし、それ以上にインパクトを与えたのは、日本の鹿島アントラーズが決勝に進出したことだろう。決勝ではレアル・マドリード相手に延長戦まで持ち込み、最後は2-4と敗れたものの、世界一にあと一歩のところまで近づいた。その快進撃が、大会の認知率と観戦率に影響したのではないだろうか。
スポーツにはドラマがある。今回取り上げたJリーグチャンピオンシップとFIFAクラブワールドカップも、1つのクラブチームがドラマチックな展開を繰り広げ、周囲の感動を呼んだことが、大会自体の注目度に影響を与えたはずだ。
一方で、両大会とも開催後に認知率は向上したものの、飛躍的な変化は得られなかった。劇的な展開だったにも関わらず、このような結果に終わったことは、業界にとってはマイナス面とも捉えられる。今シーズンからJ1リーグはチャンピオンシップ制度が廃止され、再び1シーズン制に戻ったが、昨シーズンを超える様々な感動がもたらされることを期待したい。